最終章
26


「珠理奈といるときは安心した。心から支えてくれる人がいるんだと思って嬉しかった。」


木崎は黙ってこっちを見ていた。その目は真剣その物だった


「でも…木崎は……木崎と一緒にいるとドキドキするんだ。」


本当にそうだった。俺は珠理奈が好きだった。事実、付き合っていた

でも、木崎と一緒に居たときはずっと心拍数が多かったような気がした。珠理奈とは全く違うタイプの女性。木崎ゆりあ


彼女に惹かれていたのもまた、事実だった



「期間限定カップルになった時、本当にずっとこのままでいたいと思ってた。お別れが嫌だったよ…」



「うん…」



木崎は俯いた。きっと過去の自分のキツいものの言い方に後悔しているのだろう。確かに傷ついた時もあったが、今となっては彼女なりの愛情だったことも気づいている


「だから…今日一緒に過ごして分かったんだ。まだ胸がドキドキする、今も凄いドキドキしている。」



冷たい暗いリビングのソファーの中俺は決意した



何年かぶりの告白


そして…



人生はじめてのプロポーズ





「木崎ゆりあさん。僕と…僕と結婚してください」



何故だろうか。目から涙が溢れ出る。前がぼやけて見えない




「諒くん…」


小さく俺を呼ぶ声がした


「よろしくね」


同じく涙声の木崎。俺の胸がズシッと重くなった


優しく髪を撫でる。そっと唇がふれあった






月が驚くほど綺麗な満月の夜だった。俺たちはいつまでも…いつまでも抱き合っていた

■筆者メッセージ
これで最終章は終了になります
BBQ ( 2013/12/22(日) 23:31 )