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「珠理奈といるときは安心した。心から支えてくれる人がいるんだと思って嬉しかった。」
木崎は黙ってこっちを見ていた。その目は真剣その物だった
「でも…木崎は……木崎と一緒にいるとドキドキするんだ。」
本当にそうだった。俺は珠理奈が好きだった。事実、付き合っていた
でも、木崎と一緒に居たときはずっと心拍数が多かったような気がした。珠理奈とは全く違うタイプの女性。木崎ゆりあ
彼女に惹かれていたのもまた、事実だった
「期間限定カップルになった時、本当にずっとこのままでいたいと思ってた。お別れが嫌だったよ…」
「うん…」
木崎は俯いた。きっと過去の自分のキツいものの言い方に後悔しているのだろう。確かに傷ついた時もあったが、今となっては彼女なりの愛情だったことも気づいている
「だから…今日一緒に過ごして分かったんだ。まだ胸がドキドキする、今も凄いドキドキしている。」
冷たい暗いリビングのソファーの中俺は決意した
何年かぶりの告白
そして…
人生はじめてのプロポーズ
「木崎ゆりあさん。僕と…僕と結婚してください」
何故だろうか。目から涙が溢れ出る。前がぼやけて見えない
「諒くん…」
小さく俺を呼ぶ声がした
「よろしくね」
同じく涙声の木崎。俺の胸がズシッと重くなった
優しく髪を撫でる。そっと唇がふれあった
月が驚くほど綺麗な満月の夜だった。俺たちはいつまでも…いつまでも抱き合っていた