最終章
24


枕にしていた右腕を起こし、寝返りを打つと木崎がいた


「どうしたんだ?」


質問しても答えは返ってこない。彼女はただ黙っていた。握られた左腕はまだ話されておらず、ヒヤリと冷たい感覚だけが伝わってきた


「入ってもいい?」


ようやく彼女が言葉を発した。小さい声だったが俺の毛布を指差して確かにそう言った


「やっぱ来客がいると落ち着かないか?」


確かにいくら知り合いとはいえ男が同じ空間にいると言うことは彼女にとって大きな不安要素なのかもしれない。ホテル探しが難航しそうな俺をかわいそうに思い気遣ってくれただけかもしれない。そう思うと少しだけ罪悪感が湧いてきた


しかし木崎は首を降った


違うのかと思う反面、ではなぜなのかという疑問も出てきた


「何で?…あっ、普段ソファで寝て…」

「一緒に寝たらダメなの?そんなに嫌?」


俺の質問は木崎の声でかきけされた

大きくは無いけどなんだか今の言葉は心に刺さった。木崎の悲しそうに見える表情を見ると余計にそう思えた



「いや…そんなことない…けど…」


オドオドした態度の俺を無視するかのようにして木崎は毛布に潜り込んできた



狭い毛布のなかで体が密着する。ドクン、ドクンと心臓が脈打つのがハッキリ聞こえる



一回りも二回りも小さな体、木崎は比較的小柄ではなかったが女性という生き物がいかにか弱いのか実際に確かめられたような気がする















「好きだよ…」









微かだが俺の胸元でそう聞こえた




「え…?」


間抜けだったかもしれない。でも今の一言が信じられなくて反射的に出てしまった言葉


しかし返ってきたのは同じ言葉だった


さっきよりハッキリと聞こえた








「諒くんのことが好き」







BBQ ( 2013/12/19(木) 23:36 )