第十章
02


俺を呼ぶ聞きなれた声




「珠理奈……」



息を切らしながら走ってきた彼女

片手に持っている小包が目に入った





「これ、あげる。今日バレンタインじゃん」



小包を差し出した彼女の目の下にはくまが出来ていた



徹夜してくれたのかな…なんて考えると少し照れ臭くなった





「ありがとう」


小包をありがたく受け取った









「もう…行っちゃうんだね……」


暫くの沈黙を破るようにそっと珠理奈が言った






「ああ…元気でな」




他にもっと言葉は無いのか



こんな素っ気ない言葉で終わるのか






「“さよなら”って言わないよ私」


「え…」


「きっとどこかでまた会えるって信じてるから」







彼女は笑ってた







「俺も信じてるよ。また絶対何処かで会おうな」











「おい、諒急げ!」






どうやら本当のお別れの時が来たようだ










俺たちは何も言わず背を向けて歩き出した











また会えるって信じてるから



言葉は要らないと思ったから…

■筆者メッセージ
終わりっぽい感じですがまだです笑

次はanotherstoryとしていろんな人目線で書いていきます
BBQ ( 2013/11/05(火) 23:33 )