02
俺を呼ぶ聞きなれた声
「珠理奈……」
息を切らしながら走ってきた彼女
片手に持っている小包が目に入った
「これ、あげる。今日バレンタインじゃん」
小包を差し出した彼女の目の下にはくまが出来ていた
徹夜してくれたのかな…なんて考えると少し照れ臭くなった
「ありがとう」
小包をありがたく受け取った
「もう…行っちゃうんだね……」
暫くの沈黙を破るようにそっと珠理奈が言った
「ああ…元気でな」
他にもっと言葉は無いのか
こんな素っ気ない言葉で終わるのか
「“さよなら”って言わないよ私」
「え…」
「きっとどこかでまた会えるって信じてるから」
彼女は笑ってた
「俺も信じてるよ。また絶対何処かで会おうな」
「おい、諒急げ!」
どうやら本当のお別れの時が来たようだ
俺たちは何も言わず背を向けて歩き出した
また会えるって信じてるから
言葉は要らないと思ったから…