第一章
第三話

学校に着き姉と別れた後、二講目が始まるまでの間七瀬と図書室で勉強する事に。


向かい合って座り資料を開くと、スマホが振動した。


見てみると、飛鳥からのLINEが。


『どこにいるの?』
『図書室』
『行ってもいい?』
『いいよ 七瀬もいるけど』
『すぐ行く』


七「どないしたん?」
響「ああ、飛鳥から。今から来るって。」
七「…そうなん。」


少し口を尖らせるような仕草を見せた七瀬。

その直後、図書室のドアが開き息を切らした飛鳥の姿が見えた。
僕らを見つけると早歩きでこちらに向かって来て僕の横に座った。

響「おはよう飛鳥。」
飛「…おはよ。七瀬もおはよ。」
七「飛鳥おはよう。」
飛「…最近の響冷たい。」
響「何で?」
飛「大学に一緒に行ってくれないし。」
響「講義の時間が合わないだろ?」
飛「この所七瀬とばっかりいるし。」
響「取ってる講義同じだから。」
七「せやな。」
飛「家で勉強見てくれないし。」
響「この前2回都合が悪かっただけだろ?」
飛「そんなにみなみが大事かー。」
響「飛鳥声が大きい。…じゃあ二講目まで一緒に勉強しようか。」


そう言って頭をポンポンすると、


飛「うん!」


機嫌を直し、道具を机に広げる。
その様子を見て七瀬がつぶやく。

七「…あしゅええな。」
響「ん?七瀬何か言った?」
七「あしゅの事可愛がってるんやな。」
響「まあ、小さい頃からずっと一緒に遊んでたし妹みたいな感じかな。」

そう言うと膨れっ面になった飛鳥。

飛「妹じゃないし。あたしだってもう結婚出来るんだぞ。はやくみなみと別れろー。」
響「そういう事言わない。僕が悪かったよ。飛鳥は可愛いどこに出しても恥ずかしくない幼馴染です。」

再び飛鳥の頭をポンポンする。

飛「そうかそうか。なら…、」
響「みなみとは別れません。」
飛「ちぇっ。」

そうは言っても満更でもない様子。

響「さ、勉強しよう。どこか分からないところあるの?」
飛「うん。ここなんだけど…。」
七「………。」

暫く3人で勉強していると、視線を感じたので顔を上げる。


七瀬が僕を見ていた。


響「七瀬どうしたの?」
七「…なあ、隣行ってもええ?」
響「ん?ああどうぞ。」
飛「………。」


飛鳥と反対の席に移動すると今度は、

七「響、さっきあしゅにやったみたいにななにもしてくれへん?」

上目遣いで僕を見る七瀬。

響「頭ポンポンするやつ?」
七「うん…。」
響「いいけど。じゃあ失礼します。」


七瀬の頭をポンポンすると、穏やかな笑みを浮かべた。


七「ありがとう。」

そう言った七瀬の頬は少し赤くなっているように見えた。

響「どういたしまして、って痛い。」

振り向くと、脇腹を抓る飛鳥。

響「何してるの飛鳥?」
飛「人の前でイチャイチャするな。」
響「してないよ。」
飛「してた。まるで七瀬と付き合ってるみたいに。」
七「………。」
響「はいはい。ほっといてごめん。さ、勉強続けよう?」
飛「今日の夜は空いてる?レポートの内容見て欲しいんだけど。」
響「ごめん夜は先約があるから。」
飛「七瀬と?」
七「ななやない。」
響「みなみと約束してるから。明日の夜ならいいよ。」
飛「むう。仕方ない、じゃあ明日の夜響の家に行くから。」
響「分かった。晩ご飯も用意しておくね。」
飛「うん!」

そんな話をしていると、反対側から声が聞こえる。

七「…ななも。」
響「ん?」
七「ななも行ってもええ?」
響「七瀬も?」
七「あかん?」

少し瞳を潤ませて僕を見る。

響「いや、僕は構わないよ。じゃあ七瀬の分の晩ご飯も用意しておくから。」
七「ありがとう。」
響「飛鳥もいいでしょ?」
飛「ちぇっ、せっかく響と2人だと思ったのに。」
七「ごめんな、あしゅ。」
響「言っておくけど姉ちゃんいるよ。」
飛「なんだ。」
七「ふふ。」



部屋片付けておかないと。
そんな何て事ない出来事だと思っていたんだ。



■筆者メッセージ
早速感想を頂きました皆さんありがとうございます。
本文では少し説明不足だったので、ここで補足しようかと。

美彩さんは、札幌ですけど同じ大学ではないです。まだ出番は先ですが。みなみも専門学校卒、現状響と同じ大学にいるのは、奈々未さん、飛鳥さん、七瀬さん、それから塁君ですね。
塁君はこの後登場します。
飛鳥さんが響を追いかけて同じ大学にという設定はこの小説の中である意味必要なものだと考えています。
この後も新しい登場人物を出していく予定です。お楽しみに。
hinata ( 2016/08/08(月) 20:52 )