第一章
第十話

そして土曜日。

例のメンバーが集まる日。
僕とみなみはすでに塁が手配した店に来ていた。


響「最近会った?みんなに。」
み「ん〜ん、未央奈と連絡はしょっちゅうしてるけど、澪とは結婚式以来。塁はこの間店にパン買いに来てくれたよ。可愛い子連れて。」
響「へえ、もしかして桜井玲香?」
み「え〜と、うんそう、桜井さんって言った。」


なんだかんだ仲良くしてるみたいだな2人。
そう思ってると、


澪「おっす響にみなみ、久しぶり。」
未「こんばんは。響は久しぶりだね。」
響「やあ、澪も未央奈も元気そうだね。」
み「こんばんは。相変わらずラブラブだね。」


2人は手を繋いで僕達のいる個室に入ってきた。


未「みなみ達だって変わらないでしょ?連絡したって響との話ばっかり…。」
み「未央奈〜、それは内緒だって言ったじゃん。」
響「どんな話してるの?」
澪「俺も気になる。」
未「そりゃあもう、のろけ話ばっかりよ。」
み「もう、未央奈だって新婚さんのラブラブな話ばっかりするくせに〜。」
響「はいはい、分かったから。どっちも幸せなんだからいい事でしょ?」
澪「そういう事だな。」
未「あれ?塁は。」
澪「もう直ぐ着くってよ。」
響「席が6つあるって事は…。」
澪「そういう事だな。」



3分ほどして塁がやって来た。

その後ろに女性の姿が見える。

塁「悪い遅れたな。」
澪「おう、お疲れ。で、後ろの子は誰だ?」
み「あ、桜井さん?」
塁「ああ、紹介するわ。同じ経済学部の桜井玲香。」
玲「…桜井玲香です。ねえ白石君、私来て良かったの?」
響「もちろん大歓迎だよ。さ、2人とも座って。」
未「じゃあ飲み物頼もうよ。」


玲香に自己紹介をしながら飲み物が来るのを待つ。





「「「乾杯!」」」



響「玲香、今日は来てくれてありがとう。」
玲「…うん。白石君が『俺だけパートナーいないんだよな』って言うから。」
塁「そりゃあピンクのオーラ出しまくりの2組に入って1人はツライだろ?」
澪「じゃあ2人も負けず劣らずそうなのか?」
玲「あ、いや別に付き合ってる訳じゃないし…。」
み「そうなの〜?この間、お店来てくれた時は凄く良い雰囲気に見えたけど〜。」


そう言うと顔を赤くする玲香。


塁「尋問はその辺でやめてやってくれ。」
未「続きは塁が酔っ払ってからね。」
み「ならはい、塁ガンガン飲んで。」


苦笑いの男衆。
実際すごいペースで酒が出てきた。



2時間ほどすると、男と女で固まって座り話し始めた。


響「澪、未央奈少しは料理上手くなった?」
澪「まあ、今料理教室通ってるから少しはな。」
塁「いつだかオムライスの卵がスクランブルエッグになってたな。」
澪「あまり言うな、俺はこれでも幸せなんだから。」
響「だね。で、塁はどうさ?」
塁「俺?」
澪「桜井さんとだよ。」
塁「玲香は凄くいい子だよ。育ちがいいから礼儀もしっかりしてるし、慣れてくるとすごく明るい子だし、それに美人だし。」
響「確かに、塁は美人系が好きだよね。」
澪「結局、高校の時はちはると付き合ってたしな。」
塁「人の趣味の事はいいだろ。それより…、」



一方、女性陣は


未「桜井さんは塁の事どう思ってるの?」
み「みなみも気になる〜。」
玲「えー。…最近一緒にいる事が多くなったんだけど、白石君すごく優しくて。」
未「優しくて?」
玲「私、中高一貫の女子校に通ってたからそもそも男の人とあんまり喋った事なかったんだけど…。」
み「うんうん。」
玲「白石君は喋りやすいし、イケメンなのに気さくで一緒にいても楽しいなって。」
未「て事は〜、」
み、未「気になっちゃう感じ?」


2人が声を揃えて言うと、恥ずかしそうに頷く玲香。


玲「もう、私の事はいいじゃないですか〜。私も2人のそれぞれの馴れ初めとか聞きたいな。」
み「じゃあ未央奈と澪の事からだね〜。2人は…、」
未「なんでみなみが話すのよ。」
み「いいじゃん。恥ずかしいでしょ、自分で言うの。」
未「じゃあ私もみなみの馴れ初め話すね。」
み「あ〜ダメ。恥ずかしいもん。」
玲「ふふ。」






楽しかった時はあっという間に過ぎ、


響「そろそろ締めようか。澪も大分飲んだみたいだし。」
塁「だな。」

澪は飲み過ぎて半分居眠りをしている。

未「全く、タクシー呼んで貰おうっと。」
み「久しぶりだったから楽しかったんだよ。」
玲「私も楽しかったです。」
響「それなら良かった。」
み「みなみも玲香ちゃんといっぱい話せて楽しかった〜。」
塁「未央奈、店の人にタクシー頼んでおいたから。」
未「ありがとう塁。気がきくね。」
塁「どういたしまして。玲香、家まで送る。」
玲「うん、ありがとう。」
響「みなみ、一緒に帰ろうか。」
み「うん。」



タクシーが来たタイミングで店を出た。


塁と僕で澪を抱えてタクシーに乗せる。

澪「…おう、また集まるぞ〜。」
塁「今度はほどほどにな。」
響「未央奈に迷惑かけるなよ。」
澪「…分かってる…。」

再び眠り始めた澪。

未「じゃあまたね。」
み「うん、また連絡する。」
響「澪頼むね。」


澪達を乗せたタクシーを見送ると、


塁「じゃあ俺達も行くわ。」
玲「橋本君もみなみちゃんもまた。」
み「またね〜。」
響「また大学で。」



それぞれの帰路につく。


み「塁と玲香ちゃん、上手く行くといいね。」
響「きっとお互い意識してるんでしょ?塁はかなりお気に入りみたいだし。」
み「周りの人の事はよく分かるんだね、響は。自分の事は鈍感なのに。」
響「………。」
み「飛鳥とかに迫られても手出しちゃダメだからね。」
響「そんな事しないよ。心配性だな、みなみは。」
み「響は優しすぎるから。ちゃんとみなみの事だけ見ててね。」
響「分かってるよ。…みなみ明日は休み?」
み「うん。…だから今日も家に泊まっていって?」
響「…じゃあ遠慮なく。明日は2人で出掛けようか?」
み「うん!みなみ行きたいところがあったんだ〜。」



僕はこの何気ない時間が何より大切で、幸せなんだと感じていた。


握った手を離さないように…。




■筆者メッセージ
また空いてしまいました。ご無沙汰しております、hinataです。


という感じで、久しぶりに親友達と集まってのネタでした。これからもボチボチ出していく予定ですが、最近さっぱり筆が進まない日々です。
まあ、何とかやっていきます。

ではまた。
hinata ( 2016/08/25(木) 21:22 )