5月2日…昼
気がつくと、彩希にLINEをしていた。
"またお泊り行ってもいいですか?"
と。
すぐに既読が付き返信が来た。
"逆に今から奈々の家に泊まり行ってもいい?"
まさか向こうから来たいと言うと思ってもいなかったので一瞬迷ったが、勿論OKを出した。
返信するなりすぐ準備を始めた。まずは片づけ。広げまくった写真をまとめてしまった。
次に生活用品の準備。歯ブラシ、タオルなどを手際よく用意していった。
…
それから数時間後、玄関のチャイムが鳴った。開けるとそこには制服の時とはかなり違う姿の彩希の姿があった。
一言で言うと、
"美しい"
へそ出しにオフショル。最近の流行に合わせたスタイルにピンクのメッシュが入った髪。
髪は校則違反だがいいのだろうか…一瞬そんなことを考えてしまったが彩希の美しさのほうに見惚れてしまい、そんなことはどうでもよく思えてきた。
彩:奈々ぁ〜!!昨日ぶり〜♡
奈:昨日ぶり…ってついさっきまでLINEしてたけどね(笑)
彩:それにしてもぉ…都会は眩しい(笑)あんまり昼間外出てないから…。
言われてみれば確かにそうだ。彩希の姿を学校で見たことは無いし、乗り過ごした時も夜遅かった…。
あれ…?入学初日…後は…そうだ。痴漢に襲われた日…。あの日は昼間だっただろうが…まぁあんまりだし。たまには出てるんだろうな。
奈:全然都会じゃないよぉ(笑)まぁこんなとこじゃアレだし入って入って♡
彩:『お邪魔しまぁ〜す♡
奈:ここに引っ越したの最近だから…ゆうちゃん来たことないよねぇ?
彩:ごめん覚えてない(笑)
奈:こっちが私の部屋だよ!今日はこちらにお泊りしてもらいま〜す(笑)
彩:流石お金持ちはお家が広いね…(笑)この椅子も大きいし…部屋もピンクと白ばっかりでお姫様だよね!
奈:そんなことないよぉ…ゆうちゃんの部屋も奇麗だったよ?凄い♡
彩:え…?私の部屋…奈々入ったの?
あ…寝てる間にこっそり入ったって言ったらハダカ見たのバレちゃうしなぁ…
彩:奈々?どうしたの?急に黙って…。
奈:あ、ごめんごめん(笑)ちょっと考え事(笑)
彩:まぁいいや(笑)じゃあ…何する…?
奈:うーん…普通にお喋りとか…?
彩:奈々らしいかも(笑)うーん…じゃあ最近の話とか?
奈:えぇ〜?それよりゆうちゃんの話色々聞きたいなぁ…♡
彩:私?落ちこぼれて学校にも行かなくなっちゃった私の話…?
奈:ねぇゆうちゃん…昔そんなんじゃなかったよ…?何があったの…?
彩:ごめん…。今は言えない…。その時が来たら…ね!
奈:そりゃ言いたくないこともあるよね。ごめんねなんか。じゃ、じゃあ飲み物持ってくるね!
そう言って奈々はキッチンへ行った。昔とは大きく変わった彩希の姿に若干戸惑いを覚えつつ、それも成長のうちだと思うことにした。
飲み物をとってきて部屋に並べ、乾杯をした。