おつきさま

小説トップ
第一章
第一話:抗戦
〜何が何でも“フクロウ”を見つけ出し、世の女性が安心して眠ることができる夜をお届けしなければ。〜

警視庁所属、秋元康によって設立された対フクロウ秘密組織、「日向坂46」の存在はフクロウこと、黒飛颯太(くろとびそうた)も気づいていた。

「警察は俺を捕まえるために相当なことをしてくれるな...だったら俺も挨拶しに行くか。囮ってこと は、かわいいんだろうな?..ホホホホッ...!」

フクロウはむしろその状況を楽しんでいるかのようにも見えた。

「今夜、視察に行こう。敵を知ることが大事だしなァ...それで良さげなのがいたら、いただきます...かな...ホホホホッ!」



一方日向坂サイドではまた、期待と使命感に駆られる者たちがいた。

「私がこの組織のキャプテンを務めさせていただくことになりました、佐々木久美です。以後、よろしくお願いします!」

キャプテンの話の後、発案者の警視庁の権力者でもある秋元康が言い放つ。
「この組織の目標はただ一つ。フクロウの情報を集め、最終的には逮捕までたどり着くことだ。なお、フクロウを捕まえれば、この組織は解散だ。」

「つまり、なんとしてでもフクロウの正体を暴いて捕まえる。ですよね?」

メンバーの一人である加藤史帆が言った。

「その通りだ。皆、その覚悟で来ているのだろう?絶対に捕まえろ。そのためには卑怯なことをしても構わん。手段を選ぶな。大きな声では言えないが...多少は法を犯したって目を瞑ろう。それほどまでに、奴を捕まえるのには大きな意味があるのだ。」


ハイっ!!




日が暮れ、夜になった。フクロウは、秋元康を小型ドローンで監視しており、いとも簡単に事務所の場所を判明させてしまった。

「ここか...さてさて、どんな女がいるのかな..?とにかく調べてみますか...」

夕方、フクロウは事務所の前に行き、サラリーマン風の通行人に後ろからスタンガンを持って忍び寄り、素早く気絶させた。
そして、応急処置の手伝いや救急車を呼ぶために、事務所のインターホンを押した。
出てきた女性を見てフクロウは息を呑んだ。
「こりゃ...相当レベル高いな...やるな警察ども!」

その女性はすぐに倒れているサラリーマンの横に行き、脈を確認しに行った。その隙に、フクロウは米粒ほどの、小さな黒いチップをその女性のカバンの中に入れた。GPSであった。

サラリーマンは無事搬送された。
「すぐに目を覚ますだろうからな...それにしても...あの女のようなのが他にも何人かいるのか...?」

事務所に戻ろうとする女性をフクロウが呼び止めた。

「...あのっ!」
「...何か?」
「ご協力ありがとうございました。」
「いえいえ、当然のことをしたまでですよ。あの男性も、きっと大丈夫そうでしたし。良かったです。」
「その、お礼がしたいのですけど...お名前伺ってもよろしいでしょうか?」
「お礼なんて大丈夫ですよ!そもそもあなたが感謝されるべき人じゃないですか!」
「とにかくお名前だけでも..!」

女性は少し躊躇った。仕事柄、あまり名前を名乗らない方がいい。しかし、油断した。フクロウにさえ名前が知られなければいい。フクロウはいつも単独行動をしている。さらに、まさかフクロウが、わざわざ敵地に堂々と来るわけがない。
そして女性は名乗ってしまった。
目の前の男がフクロウであることを知らずに...


「齊藤京子です」
「ありがとうございます、齊藤さん」

齊藤京子はそう言うと、事務所に戻っていった。フクロウも自宅へ戻った。道中フクロウの目は、サディスティックに満ち溢れていた。


「今夜が待ち遠しいなァ...!ホホホホッ!」
BACK | INDEX | NEXT

■筆者メッセージ
次回、齊藤京子がフクロウに狙われる!?
フローレス ( 2021/04/06(火) 23:45 )