本編
07
†数年の寝たきり生活で、兄の体からは死臭が漂う。
それは汚物臭か腐敗臭に も似た刺激臭である。
霞には兄の匂い…いつしか嫌いでは無くなった。
兄のベッド脇には、女性器を露わに広げる産婦人科の診察台があり、14になっ たばかりの妹が、ほぼ完成された陰部を晒して固定されている。
脚を両脇に固定されているばかりか、両手も診察台の下を通して縛られている 。
一糸纏わず全てを晒す妹、その水々しい柔肌、まだ完成されていない膨らみか けの乳房、薄い色素の乳首、薄く茂る陰毛、やや幼さは残るが十分に女性として の機能を持つ陰部、小さく口を閉じる肛門。
その若き肉体は薄紅色に色づき、汗ばんだ肌が照明に輝き、なんとも言えない 妖しさを醸し出している。
霞に似た妹の顔、瞳は潤み、頬は紅潮し、口元はだらしなく酸素を求めている 。

「霞、尋が我慢出来ないと言っているぞ。早く私に力を与えなさい。」

固定された妹の横に立つ全裸の父親が、尋の陰部へ手を伸ばし、半分被った包皮 を中指で押し上げ、露わになった肉芽を人差し指と親指で摘む。
摘んだ肉芽を 乱暴に捻り上げ、上下左右に引っ張る。
「…っくふっ…っひ…ぁふっ…」

尋の顔が歪み、口元から涎を垂らして喉元まで濡らしていく。 立て膝で広げ られた脚、その内腿が微かに痙攣しつつある。

…淫乱極まり無い妹…父の虐待を受け入れている…かつて私もそうだった様に… 我が子の肉体を貪る母親の遺伝子…決められていた運命なのだろうか…

僅かにしか動かせぬ腰を‥びくびく‥とくねらせ、乱暴な刺激で悦に浸る妹か ら目を逸らし、横たわる兄の枕元へ近づく。
血の気は無く、土気色の痩けた顔、頭蓋骨に僅かばかりの肉を付け、乾いた皮 で覆っただけ。 目の周りは窪み、眼球は剥き出しになりそうである。
もう…あの包み込む様な笑顔は蘇らないであろう。
その屍同然の顔を覗き込 む。
兄の瞳の焦点は霞に合わず、霞の背後を捉えたままだ。
その瞳を‥じっ‥と見つめ、ゆっくりと唇を重ねる…
乾燥し、ささくれだった兄の唇、霞の温もりを感じても、それに反応する事は 無い。

…お兄ちゃん…優一郎さん…起きて…起きて私を救って…

自らの唇を開き、兄の唇を覆う。 溢れ出る唾液を、舌先で兄に与える。
乾 いた唇をなぞり、押し開き、止まらぬ唾液を咥内へ流し込む…
…こくっ…と兄の喉が鳴る。
その反応に喜びを感じ、両手で兄の顔を包んで舌を求める。
十分に霞から水 分を与えられた咥内で、霞の舌先が兄の舌を捉える。
だが、いくら霞が求めて も、兄からの反応は無い。

…いつもの事…

糸を引く唇と唇…ゆっくりと離れる兄妹の接吻…そこに淫は無い…あるのは生 命の繋がり…
ふと‥兄の瞳が輝きを増した気がする。
はっとして兄の瞳を覗き込むが、今は変化を見てとれない。

…優にぃ…優さん…優一郎さん……

兄の額から頬へと掌で撫でつける。
兄を自分の子供にも感じる。
…私しか居ないんだよね?…私しか…そうだよね?お父さんが無理強いしなくて も、私が欲しいんだよね?必要だよね?…私じゃなきゃ…

「おい…いつまで飯事してるんだ?」

父親の冷めた声が響く。
数回の絶頂を迎えたのだろうか、ぐったりとした妹 が、小さな胸を小刻みに上下させている。
だが、その横に立つ父の男根は、未 だ精力を取り戻さず、力無くうなだれている。
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迎夢 ( 2013/09/22(日) 22:35 )