堕落
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シャブを辞めるにはどうしたら良いかと聞けばポン中はほとんど全員が仕事をしてシャブをやる人間との交際をやめろというと思います。
仕事をして規則正しい生活をして覚せい剤と関わりのある人との交際を断ち切ればいい訳です。

簡単なようではあるが覚せい剤の快楽に溺れ堕落した人間が覚せい剤を断ち切り更生して人並みの生活をするのはなかなかと出来るものではない。
それほど一度レールを踏み外した人間がもとのレールに戻るのは大変なものだ。

仲村はヤクザ達から解放されてから1ヶ月が過ぎた。あれから覚せい剤は一切やってない。
開放された次の週に東京湾に身元不明のイラン人の死体があったと週刊誌やテレビでは報道されていた。仲村と一緒に監禁された外国人密売人かはわからないがもしかしたらそうかも知れない。
マスコミは外国人麻薬密売グループ同士の抗争か?ヤクザ対不良外人の抗争か?と面白おかしく書いていたが次の週にはその事は一切載らなくなった。恐らくは誰もそんな記事覚えていないだろう現代社会はそんなもんだ。
アユミの事はいまだに尾を引きずり覚せい剤の快楽の誘惑に誘われるが我慢している。
今では携帯電話の写メールに残っているアユミとの変態セックスの記録だけが仲村とアユミの形に残る思い出だ。
仲村はいい年こいて夜になるとアユミとの思い出をオカズにしてマスターペーションする毎日だ。

1ヶ月の間、何度も職業安定所に行って就職活動をしたが折からの不景気と仲村の年齢から来る問題で再就職は現実問題難しかった。
このままじゃダメだ。
田舎の実家にでも帰らなければダメだと思ったが両親に心配もかけたくない。
現実の社会では大した学歴も無い中年の男を雇ってくれる会社などほとんど無い。
仲村は厳しい現実から自宅でビールを飲みしんみりしていた。
そしてホロ酔いしては携帯電話のアユミのシャメを見てはシャブの快楽を思い出しながらセンズリをこいた。
今の仲村は覚せい剤の誘惑を我慢して射精する事で絶っていた。

1ヶ月の間、シャブをやっていない為に体重はある程度は戻り幾分人間らしさを取り戻したが再就職が見つからない。
自給を貰いコンビニのアルバイトでもやれと言うのか?それともスコップを持って土方でもやればよいのか?
現実社会は仲村の持ってるほど甘くは無かった。頭のはハゲかかった大した学の無い中年のオッサンの再就職先そうは見つかる物ではない。
仲村はこの1ヶ月の間に何度も前に勤めていた時のような会社に面接に行った。仕事をすれば薬漬けの堕落した生活から抜けだせアユミの事も忘れられると思ったからだ。
しかし世の中は不景気である仲村の年齢と見た目をだけで履歴書すらまともに見てはくれなかった。

その日も仲村は朝起きてサラリーマン時代の様にヒゲを剃り、歯磨きをしてスーツに着替えて職業安定所に向かった。
38歳の仲村は年齢的な問題で再就職先はかなり厳しい。
職安に行ってもサラリーマン系の仕事は年齢不問はほとんど無い。
その日も電車を乗り継ぎ職業安定所に向かった。
サラリーマン時代なら毎日乗っていた朝の満員電車も9時を過ぎればガラガラだ。広い電車に揺られながら仲村は職業安定所に向かう。
電車を下りて職業安定所に付いても周りは昨日と同じ顔ばかりだった。
仲村と同じようにリストラされたであろう何だか惨め過ぎて笑えてくる。
昨日と同じように職業安定所のパソコンに年齢と希望職種を入れると出て来る答えも一緒である。
(該当はありません)38歳の男に事務職などこの不景気に難しいのだろう。
職種をパート、アルバイトにしてみた。

・コンビニ、年齢18〜40歳、学歴不問、時給950〜1200円、時間8:00〜17:00、17:00〜22:00、22:00〜8:00、元気がある人募集中、私達と楽しく仕事しませんか?
仲村はニタ付きながら自分のコンビニで働いている姿を想像した。
いらっしゃいませ〜!ありがとうございました〜!40歳手前のオッサンが元気にコンビニで働けるか?

・布団営業販売、年齢18〜45歳、学歴 高卒以上、時間10:00〜17:00、定休日月曜祭日、当社は完全出来高制のです。平均給料は38万円、貴方のやる気次第です。
仲村はニタ付きながら自分のフトンを販売している姿を想像した。
おじいちゃんこの布団で寝れば疲れが一気に取れますよ。30万円ですが今回は特別に15万円で良いですよ。・・・詐欺じゃないか。

・土木作業員、年齢18〜60歳、学歴不問、日給1万〜1万3千円、定休日日曜、時間8:00〜17:00、やる気のある方、続く方を募集
仲村はニタ付きながら自分がスコップで穴を掘ってるいる姿を想像した。
顔を泥だらけにして働き、一回りも年下の者から新人ジュース買って来いと言われる自分の姿を・・・

職安のパートのおばさんにも言われたが労働者くらいしか今の時代に再就職先は難しいようだ。


結局その日も変なプライドが邪魔をして面接すら行かずにスーツ姿のまま帰宅した

自宅に帰って寝巻きに着替えると仲村は携帯で撮影したアユミのシャメを見ながらセンズリをこいた。
あの時こんなイヤらしい言葉をアユミは言っていた。
陰毛を剃りパイパンにした事。浴室で顔に小便をかけて貰った事。
アユミのアナルに色んな異物を入れた事。
沢山の記憶を思い出しながら仲村は射精した。
ティッシュで精液を拭くと何だか物凄い虚しさだけが通り過ぎてゆく。

「は〜、シャブが有ればな・・・」
仲村は本音を漏らした。シャブが有れば射精の快感は10倍、朝から晩まで変態極まりないオナニーができる。これが仲村の本音だった。
しかし、また堕落した生活には戻りたくない。
仲村は簡単な食事を取りビールを飲みテレビを見ているとテレビでは夜回り先生と呼ばれる仲村を少し男前にしたような眼鏡をかけた男が写っていた。

迎夢 ( 2013/08/11(日) 03:44 )