堕落
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そう言うとレナはシャブのよいんに浸っている。
注射器でシャブをやるレナを見ていると注射器でやればどうなってしまうのか?どのくらい気持ちが良いのだ?仲村はだんだん好奇心が沸いてきた。しかしその反面、これ以上はシャブにハマリたくないという気持ちが入り乱れている。
レナはシャブの効き目になりうつろな目をして言った
「あと一回分あるから、あんたもやりなよ」
そう言うと注射器を差し出した。
「いいよ、私はポンプ(注射器)ではやった事ないんだ。注射は怖いしね」
レナは何が面白いのかわからないがツボに入って一人で笑い転げた。
「ワッハハハ・・・あんたいい年して、炙ってたの?笑わせないでよ。いい年した大人が針が怖いって」
「・・・・」
「シャブなんかポンプで入れないと全然良くないんだよ。ほら腕だしな。やってやるから」
レナは強引に仲村の腕を引っ張った。
ここで注射をやらなければ仲村も良かったが、すでに覚せい剤で正常ではなくなっていた。やってはいけないとわかっていてもシャブの誘惑には勝てなかった。

レナはコップに入った水を注射器で吸っては出し吸っては出しの簡単な洗浄をすると先ほどのようにシャブを注射器に詰めた。
仲村はレナから言われた通り腕をタオルで縛り、血管を浮き上がらせた。
レナは慣れている手つきで仲村の浮き上がってきた血管にシャブ入りの注射器を刺した。何度か注射器を動かすと血液が逆流した。血管に入ったのだ。
「いくよ」
レナはうれしそうに言うと注射器の棒をゆっくりと押しシャブを体内に入れた。
「入れ終わったよ」
レナはそう言うと注射器を腕から抜いた。
仲村は豆鉄砲を食らったような顔をしている。
これが注射なのか?大して変わらないじゃないか。
そう思い腕を縛っていたタオル外したとたんに足先にスーというような寒気がした。
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その瞬間、全身から鳥肌が立ち、ノドの奥からはなんとも表現できないシャブの香りがして、頭の髪は逆立った。
身体が宙に浮いたように軽くなり、何がなんだかわからないが気分は高鳴り、頭の後ろ辺りから強烈な快感が湧き上がってくる。
これはヤバイ、こんなものを覚えたらやめられるわけが無い。
炙りなどとはレベルが違う。仲村は心でつぶやいた。


迎夢 ( 2013/07/31(水) 10:21 )