01
私には彼氏がいる。私の彼氏は勉強、運動能力、ルックス、全て普通というか、地味な部類の男子だが、変わったところがあると言えばひとつ。私は彼と、既にセックスを経験している所。
ある時、興味本位から「AVを観てみない?」と私の家でこっそり観た結果、本物をその流れで経験してしまった。
だが私は彼について、まだ知らない事がある。彼は元々、秘密主義者なところがあるのだが、学校関係者との間に何か秘密を隠しているに違いないのだ。
それも、私とのセックスと同レベルかそれ以上の秘密だ。
卒業するまでにその秘密を暴くと私は決めている。現在高2になったばかりのため、今年度中には暴きたい。
「未央奈?」
「え?あ、ごめん、和希の前なのにボーッとしてた」
「いやいいけど、なんか気付いたら未央奈が明後日の方向を向いてたから・・・」
よっぽど私が彼にぞっこんなのだろう、変な妄想をしては彼に「どうした?」と聞かれる。妄想の激しい私だからどうしようもないのだが。
「あ、和希、お昼食べる前に現文の課題提出してくるから、先にラウンジ行ってて」
「ああ、わかったよ」
和希と別れ、職員室へと向かう。課題提出はいつもギリギリになるため、授業中に提出するよりもこういう休み時間に出すのが私のいつものやり方になっている。
和希を待たせないよう、足早に階段を下りる途中、上ってきた先生とすれ違い様に声をかけられた。
「未央奈ちゃーん」
「あ、こんにちは」
物理の担当の倉持先生。いつも白衣と白いワイシャツ、黒いタイトスカートで、セクシーさが際立つ美人な先生だ。
でも物理の先生だから頭はいいし、なのに可愛さもあるしで羨ましい。私が和希と付き合っているのも実は倉持先生は知っている。
「和希君とお昼?」
「はい、先に現文の課題提出してから和希のとこ行こうかと思ってて」
「ふぅん、絶好調かぁ」
「あははぁ、それじゃ行きます」
「がんば、がんば!」
職員室に着き、今度は現文の先生を呼んだ。
「平川先生、これお願いします」
「おお、堀、待ってたぞ」
平川先生。現文の先生でありながらバスケ部の顧問をしてる、文武両道の才能を持つ先生。
和希との恋愛事情は話してないから知らない。しかしこちらの相談や勉強の質問は快く受けてくれる。
「この前薦めた本は読んだか?」
「はい。一度読み終えて、二回目を読んでる途中です」
「そうか。なら今度は少し変わり種を薦めようと思ってるんだ、今の本を読み終えたらまた教えてくれ」
「わかりました。楽しみにしてますね。それでは失礼しました」
平川先生に薦められて、初めて文学作品を読み始めたのだが、これが面白い。そしてその感想をまとめる事で文章力が非常にレベルアップしたのもあり、お陰で国語そのものの成績が上がった。
勉強の合間の暇潰しにとても良いため、一人の時間にとてもリラックスできるようになって、最近和希から好印象を持たれている。
「お待たせ」
「おかえり。あれ、なんかいい事あった?笑ってるけど」
「え?マジで?やめてよ、なんか変な妄想してるみたいで恥ずかしいじゃん」
「いや、妄想じゃなくて、マジでニコニコしてるから・・・」
いつもの日常、こんな感じだ。