case.7 堀未央奈
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「ねえ渉さん、これからどうするの・・・?」

「・・・その名前も呼ばない方がいいでしょう」

「あ・・・でも、そしたら・・・」

「翔(かける)にしましょう。今後はそれでお願いします」

「か、翔さん・・・で、このまま、どこまで行くの?」

「・・・祐唯さんのところまで」

「何があったの?まさか逃げられたわけじゃ・・・」

「・・・彼女に会いに行く、ただそれだけでいいんです。理由など必要ありません。そしてさっきから何か分からないですが、妙な視線を感じるんですが」

「え?」

「玲香さん、ちょっとここで待っててください」



翔は席を立つと、車両の前側に進んで連結部分の通路に立った。
ここなら誰にも見えない。すると、翔が出てから5分ほどして後ろの方から誰かが翔の元へ向かった。
なんとその人は堀未央奈だった。玲香の近くまでくると、玲香に笑顔で会釈をして連結部分へ出ていった。


「ねえねえ、あたしだけに血をくれるんじゃなかったのぉ」

「未央奈さんだったんですね、さっきから付いてきていたのは」

「あの血が忘れられないんだもん、今朝起きてあなたがいなかったのにびっくりしたわ」

「泊まっていられませんでしたからねぇ」

「あの血が欲しくて・・・ムズムズしちゃって、そしたら駅前で事件が起きたじゃない。犯人であるあなたを追いかけて、列車に乗ったのよ」

「全く・・・」

「また旅に出るんでしょ、楽しそうだから私もついていくわ。その代わり、また血を貰うわよぉ」

「わかりました、電車から降りたら血をあげましょう。それまで我慢して寝ていてください」



未央奈、翔は時間をおいて席へ戻った。玲香は不安な顔で翔に問い詰めた。


「あの、大丈夫だった?」

「ええ、大丈夫です」



祐唯の元へたどり着くのはいつなのか。翔、玲香、未央奈の三人旅は始まった。

■筆者メッセージ
また更新が遅延しました、拍手メッセージをくださった方々、本当に申し訳ありません。
これで本章は終わりです
壮流 ( 2017/11/06(月) 02:21 )