08
「あぁん、あん、あっ、はぁ、ぎもぢいぃひぃ!」
「もう、止まりません、から・・・だか、ら、注いで、やりましょう」
「はぁ、あっ!あああ!ぐぃい!」
言葉の通り、陽菜に何回注いだか分からない回数の中だしを決めた。
足腰が立たなくなった陽菜はその場に膝をつき息を整えるが、今度は渉に髪を引っ張られ、イラマチオをされた。
「しっかりと洗ってもらいますよ。汚いままセックスをするのは嫌でしょう?」
「ご、ぅ、おぅ、おぉぉ」
(ですがしかし、何なんでしょうか、この感覚は・・・セックスがこんなにも快感だなんて。普通はそうなんだと言う方の方が多そうですがこの感覚は違う・・・)
性欲が強いだけ、というわけではなさそうだ。まるでこの瞬間を楽しんでいるかのような、そんな感覚。
何度も中に出し、孕ませようとしている。
生物的な雄の本能が振り切れた結果というのか。
(そうだ、自分は・・・白ウサギなんです。雄の本能だけで生きてきた空っぽの男なんです。でも、そうなる前は・・・・・・そうでした、こんな性欲だけの怪物に堕ちる前は、心ある一人の男でした・・・それを思い出させてくれたのは・・・)
「ぐぶぅ!んん!!ごはぉ!」
むせている陽菜の手を取り、立たせると、渉は更にバックでピストンを再開した。
(そうだ、もう一度自分を心ある人間へ戻そうとしてくれたのは・・・祐唯さんでした・・・ここでセックスなどしている場合では・・・)
「あぁぐぅう!!・・・も、もう、ダメ、立てない・・・中に、タプンタプンに、出てる・・・」
すぐに服を着ると、渉は陽菜の元から走り去った。祐唯を追いかけなければならない。この短い時間ではあるが、陽菜に会ったのは偶然にも良い結果になった。
祐唯にまた会うために行かなければならないという目的を思い出せた。
こそこそ隠れて移動してきたが、そんな事は時間の無駄。ただひたすら走ればよかったのだ。
祐唯の事だけを考えて走ればよかったのだ。
「ですが、自分は、白ウサギ・・・セックスは相手を孕ませるまで、続けなければ。もし自分が死んでも、その意志が新たな命に残ってさえいれば、それでいい・・・自分にはもう、何も残っていないんですから」
独り言を言いながら全力疾走する渉は信号も無視し、歩いている人も無視して突っ走っていた。
サングラスもハットも捨て、素顔を丸見えにして。
「はぁ、はぁ、もっと早く、もっと急がなければ、はぁ・・・なんでしょう、誰かが・・・?」
電灯の灯す道の先、車の走っていない交差点の角に誰かがいた。
「・・・え!?」
角にいたのは背の低い女性。するとそこに一人の男が現れ、女性は自分から服を脱いで、股を開いた。
露出狂なのか、男が露出プレイを強制したのか、とにかく進もうとしていた先で女性は男に弄られていた。
「はぁ、はぁ・・・これは一体」
「・・・あぁ?誰だ、テメェ?」
男は渉よりも年下のようだ。だが、その目付きはまるで人間ではないような、そんな恐ろしい目であった。
「ちょ、諒くんたらぁ、やっぱここでセックスはやめようやぁ」
「あぁ?これで悦んでんのはテメェだろうがよ?」
「ぐっ!」
渉は目の前の諒という男の言葉に反応した。
また性欲が自我を失わせている。
「ん?なんだ、テメェもヤるか?」
「ええ、自分は白ウサギですから。目の前でセックスを断るわけにはいきません」