case.4 桜井玲香
05
佑唯と渉はまだこの町に滞在する為夜の喫茶店ライブまで待たなければならない。
今日は別行動をとり、ライブが終わるまで佑唯から離れる事にした。
朝早くにあんな事態を起こしてしまったのだ。また起きたら止められる自身はない。

渉は昨夜の公園で携帯を開いた。
あの画像である。しかも画像は佑唯が見たものだけではなく、その後に4枚、更に送られてきた。
5枚の画像はほとんど同じようなもので、悪魔の表情をした渉が女性とセックスしているところ。
女性は渉を知っているが、渉は全く覚えていなかった。
あの女性についてはいずれ明らかにしなければならないが、その前に、渉の前には相手をしなければならない女性がいるようだ。


「偶然ですね、白兎夜さん」

「・・・ええ、本当に偶然ですね」

「私の事、覚えてます?」

「桜井、玲香さんでしたかねぇ」

「そうです!嬉しい」


昨夜渉が出会った女性、桜井玲香。陽が当たって輝く艶々の肌は、若いイメージを持たせるのだが、彼女は大人にも見えた。


「昨夜は、すみませんでした。麻衣が悪態ついちゃって」

「いえいえ、あれは事実ですから。佑唯さんに先に行かせた自分のせいなんですよ」

「佑唯、さん?あの子はさん付けしないといけないんですか?」

「いいえ、自分の旅の同行者なだけですからねぇ、さん付けしてるのは自分だけでしょう」

「旅、ですか。昨日も聞いたんですけど、どんな旅をしてるんですか」

「何なのか分からない探し物です。それが見つかるまで、この旅は終わりません」

「・・・ミステリアスですね」



玲香は渉の隣に座ると、いきなり密着してきた。


「こんな格好いい人見たことないんです。あぁ、都会に出てみたいな」

「・・・自分みたいな腹の内が黒い男は腐るほどいますがねぇ」

「腹黒でも見た目がよければ十分です」

「・・・へへ、面白い方ですなぁ。見た目が良いからって中身もいい男は、指折り数えられる数しかいません。いや、もしくはいないか」

「・・・中身なんていいんですよ、見た目がよければ、私はなんだって彼氏の為に頑張れますから」


見た目がよければ。その言葉からは過去に男と何かがあったようにとれる。



「昔の元カレが皆、ゲスだったんですよね。そのせいか、私は男の人を信用できないんです」

「ふむ、その事情については置いておきますが、だとしたらなぜ自分に対してはそんなに持ち上げるような発言が多いのでしょうかねぇ」

「それはイケメンだからです!中身は・・・どうでもいいんです、付き合ってから、私が中身を変えてやれば!」

「中身を変える・・・並大抵の事ではありませんねぇ。人の心を変えて支配させようとするのは、そうそう出来ません」

「う・・・それは、その、わかってますけど」

「お話を聞いていましたら、あなたは相当、男を嫌ってらっしゃるようですからねぇ。何があったのかは、お聞きしませんが」


玲香は少し沈黙を続けたあと、重い口を開いた。


「さっきも言いましたけど、元カレがゲスだったんです。浮気したり、体を欲しがったり、何もしてくれなかったくせにプレゼントくれなきゃ大激怒するし。だから別れたんですけど、その人、次は麻衣と付き合ったんです」

「あの、お友達と・・・」

「結局一緒でしたけど。ただ麻衣は反抗できる強さがありましたから、私とは違うんです。ちなみにその人は、今は都会に出ちゃったんですけど」

「確かに強そうな方でした」

「でもそんな事はどうでもいいんです。白兎夜さんに会えたのは二度とないチャンスかもしれないんです!だから白兎夜さん、旅を再会するまでの間だけでも、一緒に過ごしませんか!」


玲香はどんどん話を進めてしまう。悪い話ではないのだが、渉は昨夜から女性を相手にする事に恐れを抱いていた。
佑唯を見ただけで、突然頭が混乱して欲情してしまうのなら、玲香でもそうなるのではないか、と。
だがここで怯えていてはいけない。渉は玲香の為にデートに付き合うことにした。


「じゃ・・・あなたの行きたい所ならどこでも行きましょうか。自分はこの町を知りませんからね」

「え、いいんですか!やった!」


玲香に一目惚れされた渉。欲情しないように気を付けながら腕を組み、道を歩いていった。

■筆者メッセージ
完全に体を壊しました。
おまけに北海道は突然気温が下がりだして寒いです。
また文章をストックしますので更新が遅くなりそうです、すみません。
壮流 ( 2017/02/23(木) 00:06 )