case.4 桜井玲香
04
次の日。朝の7時に目覚めた渉は、隣の布団に寝ている佑唯の顔にふと目がいった。
寝相の悪い佑唯はぐっすり寝ていて幸せそうであり、渉はその顔をしばらく見ていた。
だが顔だけではない。佑唯は胸が大きく、Tシャツの胸元から谷間が見えるのだ。

「・・・!」


突如、渉の脳裏によぎる邪な本音。佑唯を見ていると、性欲が沸き上がってきてしまう。


(ゆ、佑唯さん・・・)



佑唯の顔が自分の顔の目と鼻の先にある。歯を食いしばって性欲から解放されようと踏ん張る渉の目の前、佑唯は目覚めた。

「んん、あぁ・・・」

「!!」


「ん?あれ、わっ!白兎夜さん?」

「な、なんでしょう」

「目の前にいたらびっくりするに決まってるじゃないですかぁ」




その後、佑唯はシャワーを浴びに風呂場に入った。渉は先程の抑えられない欲情に頭を押さえていた。
普段から佑唯と一緒にいるのになぜあれほどの欲情をしてしまったか、渉には検討がつかなかった。
これまで女性に対し、姿を見ただけであれほどの欲情をする事はなかったのに。
だがその時、渉は思い出した。昨夜かかってきた、あの電話を。


(白兎夜渉さん?)

(誰でしょう)

(久しぶり、覚えてる?かわいい白ウサギさん・・・ううん、ドス黒い黒ウサギさん)



・・・黒ウサギ・・・」


あの電話の内容も、混乱で記憶していない。だが今、渉を暴走させているキーワードは、“黒ウサギ”だ。
これが意味するのは何なのかわからないが、この電話の相手は、確実に渉を知っている人物。
追求しようとするが、なぜなのか、その一歩を踏み出せない。
混乱する渉は窓の外の景色を観るのだが、ちょうどその時、佑唯があがってきた。


「白兎夜さーん、シャワー浴びますかぁ?」

「!?」

(ダメだ、ダメだ、佑唯さんに手は、出しちゃ・・・!!)


「白兎夜さん?あれ、どうかしたんですか?お腹でも痛いんですか?」


近寄ってきた佑唯。渉はその瞬間、佑唯を押し倒し、覆い被さるように四つん這いになった。


「きゃ!」

「はぁ・・・はぁ、うぐっ!」

「・・・し、白兎夜さん!?」

「だ、ダメだ・・・やめてくれ」

「やめて?白兎夜さん?え、ちょ、嘘!」

押し倒した佑唯の胸を、バスタオルの上から揉もうと右手を出した。だが渉は歯を食いしばって、左手で右手を握った。
佑唯にこんな事をしてはいけない。
五分五分の自制心と欲情が、渉を苦しめていた。


「ぐ、っ・・・はぁ!」

渉は体を回し、横に転がった。欲情も収まり、少しだけ楽になったが、状況の理解が出来ない佑唯は、渉を揺すって起こした。


「白兎夜さん!もう、起きてくださいってば!」

「はぁ・・・はぁ、ありがとう、ございます・・・」

「もう、何なんですか。朝からびっくりしてばかり。起きたら目の前にいるし、シャワー浴びたらおっぱい揉まれそうになるし」

「・・・シャワーを、浴びてきます・・・朝食は、そこに・・・」



渉は体を引きずるようにして、風呂場へ入っていった。


「どうしたんだろう、白兎夜さん。ん?あれ、白兎夜さんの携帯かな」


渉の携帯を手に取ると、佑唯はつい中身を見てしまった。丁度受信したメッセージを開くと、それはメッセージではなく、画像だった。
だが佑唯は、その画像を見て衝撃を走らせた。


「これ、白兎夜さん?・・・女の人とセックスしてるけど・・・顔が、まるで別人みたいに怖い!」


画像には渉と謎の女性。ここに写っている渉は、まさに別人のような、凶悪な顔をしている。強姦魔なんか比ではない。本能だけに支配された猛獣の如く、狂喜乱舞していた。


(誰なの?この女の人?元カノ?)


佑唯がアドレスを見ようとした時、シャワーの音が止まった。
渉はシャワーを早く浴びるのが得意な事を知らなかったため、慌てて携帯をホーム画面に戻すとテーブルに置き、自分の携帯を見てゲームを起動した。


「ふぅ・・・」

「あ、白兎夜さんすごい、腹筋ついてる」

「え?ああ、別に凄くなんかありません」


渉は気付いてはいないようだ。
佑唯はチラチラと渉を見ながら、ゲームをして誤魔化していた。

■筆者メッセージ
渉くんが突然覚醒しました。
ずーみんは写真見ちゃって、さらに女の正体は誰やら?


どまさん

リクエストありがとうございます。
白石麻衣からの深川麻衣とつながったストーリーはありませんが、深川麻衣は書きます。
もう一つのリクエストですが、エグいですね(笑)
諒、颯、淳と渉くんが大集合したら大変ですよ。自分の作品の主人公は優くんを除いてみんなエグいし、
サブキャラはイケメンしかいないで大変なことになりますよ(笑)
壮流 ( 2017/02/15(水) 21:34 )