case.3 竹内舞
07
「・・・もう一度、言って」


舞は怒りやら、悲しみやら、感情が混乱している。彼にとって、舞の価値とはその程度でしかなかった。
嘘だと信じてもう一度聞くのだが、彼は全く悪びれてもいないし、言葉を訂正する様子もなかった。


「もう一度?じゃ言うよ。舞は確かに魅力のある体をしてるさ。それを取ったら何が残る?そのスケベな体しか、舞に価値はないんだよ」

「・・・本気、なんだね」

「ああ、本気、120%本気。でも、俺は優しいからさ、こんなエロ女を独り占めしようなんて事は思わなかったよ」

「・・・どういう事」

「こんなエロい体の女、男なら皆がヤりてえって思うに決まってるさ。だから、俺の女ではありつつ、他の男にもこの体を食わせてやろうって事で、舞の体を晒したんだ」

「まさか、あのサイト!」

「そ。あの出会い系は合法サイトだからさ、いくら舞を晒そうがリスクは無いわけよ。それで舞を見た奴は夜中に襲ったんだ。屋外プレイがしたい舞の為に、ね?」

「そんな・・・うぅ」

「そういや、最近ヤった相手、今日もまたヤりたいって言うからさ・・・・・・連れてきたよ」


扉を開けて入ってきたのは、見覚えのある男達。昨夜、舞を襲ってきた二人組の大男だ。しかも彼らはこのジムに通う黒人の会員であった。
犯人はこんな身近にいたのだ。舞はジムでの知り合いだと知った途端に泣き崩れた。
ひょうきんな面白い黒人だと思っていたら、彼の非道なやり口に乗った伏兵だったのだ。


「あんた最低・・・っ、もう、嫌、別れて・・・人の風上にもおけないクズ野郎・・・」


「は?嫌だね、別れるなんて俺が許さねえよ。そんな事言う女は調教するしかないか。俺から離れないで、尚且つ他の男にヤられるのが好きなビッチにしてやるよ」

「ひぅ、ひぃん・・・貴ちゃん・・・諒・・・マリア・・・皆、助けて・・・」



縄跳びの縄で縛られ、服を剥がされた舞はベンチに寝かされた。
自分がこの男を選んだのも間違いだったのだが、それ以上に間違っているのは、彼の異常な性癖である。

(貴ちゃん、マリア、あいりん・・・諒・・・皆、助けて!)





「クソ!」

舞の叫びに応えるように、貴博達はジムにやってきた。だがあいにく、今日は休業日。
邪魔物を閉め出せるようにと、予防線を張られていた。

「休業日だぁ?ふざけやがって」

「弱りましたね、先手を打たれてしまった以上、状況が悪い」

「中に入る方法はないのか!?」


歯を食い芝る貴博と渉。舞は助からないのか。と、その時である。
佑唯がジムの裏から出てきた。


「あの、白兎夜さん、こっちから入れます!」

「え?」

「裏口、なぜか開いてました」

「・・・よかった、待ってろ、まいまい!」


貴博達はジムに突入した。階段を上がり、ドアを開けると、トレーニングマシンの後ろに大男がいた。口と秘部で男性器を受け、その様子を高らかに笑う彼氏も目に入れると、三人は突撃した。



「ちょっと待てや!お前ら!」

「ん?あれ、休業日なんですが?」

「休業日にして、屋内でこんな事をするのは見逃せませんねぇ」

「竹内さんを解放してください!」


「・・・いやだね。というか、そこのイケメン野郎、舞が言ってた、貴博ってやつか」

「だったらどうした?」

「ちょうどいい、舞の体、味わってみない?友達なんだろ?いつも一緒にいるから、ヤりたい気持ちを抑えてただろうし」

「てめぇ・・・」

「いいの?こんなエロい女、なかやかいないぜ?今なら俺の女を食わせてやるって言ってんのに、マジでいらないの?」

「・・・いらねぇよ」

「はぁ、残念。なら帰って、と言いたい所だけど・・・・・・これを見られたんだから、口封じしないとなぁ」


黒人の大男二人に加え、隣の部屋から三人の男が出てきた。皆、外国人であり、背丈も大きな筋肉質の体をしている。
絶体絶命の状況に追い込まれたが、貴博は渉を見て驚いた。
渉はニヤリと笑っていたのだ。この状況を楽しんでいるのか。それは分からないが、怖がっている場合ではないのは確かだ。貴博は目を閉じると、すぐに見開いた。


「あんた、喧嘩できるか?」

「・・・フフフ、何やら策があると言いたげですねぇ」

「俺に任せろ。いいか、俺の手から離れるなよ?」

貴博の目が血走っており、渉は驚いたが、すぐに冷静になり、貴博の策に乗ることにした。
貴博は渉のコートの背中部分を掴んだ。


(な、これは?視界が歪んで・・・)


貴博の手から伝わるイメージ。それはまるで、あの外国人達の心が読めて、攻撃がどこから来るかが手に取るようにわかる。
貴博が昨夜、ひらりと強姦魔の拳をかわしたのはこれだったのだ。


「なるほど、これは、凄いですね」

「かわすだけじゃなく、カウンターぶちかましてやれ!」



貴博、渉はヒラリヒラリと攻撃をかわし、急所にカウンターを打ち込んでいく。佑唯に手を出そうとした男もダウンを取り、3分経つ前に全員のダウンを取ってしまった。
残りは舞の彼氏だけ。


「嘘だろ・・・お前ら、何なんだ!何をしたんだよ!」

「うるせぇ、何でもいいだろ」

「ま、ま、舞、舞がどうなっても、いいのか!ほら、今、裸なんだぞ!俺が今から犯しちゃうぞ・・・」

「では、やってみてください」

「!?・・・ほ、ほんとにいいんだな!舞を、犯しても!」

「・・・どうした、早くやれよ」

「く・・・あ、そ、そうだったな!お前らにも舞を犯す権利を、与えてやるよぉ・・・ほら、やれよ?」

「・・・」


じりじりと近づく二人。部屋の角に追い詰めると、貴博は胸ぐらを掴んで睨んだ。

「まいまいはな、お前みてぇなクソ野郎のおもちゃじゃねぇんだ・・・体だけが魅力で、それを取ったら何もない?・・・ふざけんじゃねぇ」

「ぐはぁっ!」

「まいまいがどれだけ魅力があるか分からない奴が、“舞は俺の女”だとか、薄っぺらい事を語んな・・・」

「ええ、どうしようもなく薄っぺらいですね」


貴博、渉は拳を構えると、彼の顔に真っ直ぐ突きだした。

「ぐっ・・・」

壮流 ( 2017/02/03(金) 01:28 )