case.3 竹内舞
04
佑唯を置いて、渉は外へ出た。
危機を感じた方向へ一目散に走っていくうちに、見覚えのある場所にやってきた。ここは昼頃、一服していたカフェの近くだ。
一体何の危機感なのかわからないのだが、この近くから感じる。そこで渉は耳を澄ませた。



(いや!また!助けて!)


「!・・・誰かの声が・・・」



車も人も無い道だったのも幸いしたか、誰かの叫び声が聴こえた。
相当、甲高い声をあげたため、渉に聞き取る事が出来たのだろう。声のした方へ走ること3分。たどり着いた路地にある建物の間から、複数の人の声がする。
そこにいたのは、竹内舞だった。



「ちょっと、そこの方々、お取り込み中にすみませんねぇ」

「?」


とてもガタイの良い男が二人。顔を隠して竹内舞に襲いかかっている。
間違いなく、この二人が強姦の犯人だ。



「あなたの声が聴こえました、竹内舞さん。ウサギは視野と聴覚の優れた、危機を察知する能力の凄さがウリですからね」

「・・・・・・誰か、知らないけど助けて!」


すると男達が、渉に向かってきた。渉の身長は180cmを超えているが、この二人は軽く190cmを超えるうえに筋肉質な体。渉では勝ち目がなく、一人に後ろから腕を押さえられると、もう一人の男のパンチが渉の腹を打ち抜いた。


「ごはぉ!!」


「ひっ・・・!」

(一発が、重い・・・!)


その後も滅多うちにされた渉は意識が遠退き、膝をついて四つん這いになる。男達は渉を抱えると、壁へと押し付け、何発もの膝蹴りをくらわせた。


「ごべぇっ!・・・・・・」

「やめてぇ!」


渉は意識を失い、2度目の吐血をしてその場に倒れた。舞はもう見ていられなくなり、男の手を掴んだ。

「やめてください・・・関係ない人に、ひどい事しないで・・・私の事犯したいなら、その人は見逃してください・・・!」


顔はわからなかったが、二人は目でニヤリと笑ったのがわかった。
レイプの続きをしようと手を出したのだが、その時だった。昼に渉と出会った、須藤貴博が現れたのだ。


「まいまい!それに・・・」

「貴ちゃん!!あいりん!」

「うわ、ひどいね、あれ・・・」


須藤貴博と古川愛李に気付いた男達は、同じように痛め付けようとしたのだが、貴博は渉と違い、まるで真逆のオーラを発していた。


「・・・てめぇら、ぶち殺すぞ」


「貴、頼んだ!」


向かってきた男達。しかし貴博は、まるでどこから拳が飛んでくるのかわかっていたかのように、ヒラリとかわすと、男の顎を下からパンチで打ち抜いた。


「貴ちゃん、凄い・・・」



もう一人は蹴りが飛んできた。またも貴博は、ヒラリとかわすと膝の裏の「ひかがみ」を蹴って転ばせた。更に顎を横から殴り、ダウン。
怒りに満ちた貴博に怯んだ二人は、立ち上がってその場から逃げた。


「まいまい!大丈夫か!」

「ありがと、貴ちゃん、あいりん・・・でも、あの人が」

「誰なの、こいつ」

「知らない人。でも、うちの声を聴いて駆けつけてくれたって」

「!・・・この人!」


「え、貴、知ってる感じ?」

「ああ、今日の昼、知り合ったよ」

壮流 ( 2017/01/30(月) 12:16 )