03
渉はサイトに登録し、竹内舞の名前を探した。本名登録だけではなく、あだ名で登録もされているためか、竹内舞という名前ではヒットしなかった。
あだ名だとすれば、どんなあだ名があるだろうか。
「舞という名前から思い付くあだ名はあるのでしょうか」
「まい、だったら、そんなに沢山は無いんじゃないですか?だって二文字ですし、名前の終わりが“あ行”ですから、こういう場合は名字からあだ名が出来るんじゃないかと思います」
「竹内・・・ふーむ、先程の須藤さんに聞いておけばよかったですね。行き詰まってしまいました」
「あ、じゃ一つ思い付いたのあるのでいいですか?“まいまい”で検索してみてください」
佑唯に言われた通りに検索すると、まさかのヒット。顔写真を見るに、この女性で間違いない。
「この人、写真と動画をいっぱいアップしてますね」
「一番古い日付の画像・・・ん?」
「何かありました?」
「この男性、よく見たらこのジムのトレーナーです。ポスターにも載っていました」
「あ、本当だ!入口のとこのポスターにも写ってる!」
「どうやら竹内舞さんはこの方とは恋仲にあるようですね。他にも何枚か、プライベート写真があります」
「それじゃ、トレーナーさんに聞く必要もありますね!」
「その前にもうひとつ。この動画も観ておきましょうか」
と、さくさくと進めたが、渉と佑唯が観たその動画は、想像の遥か上を行く衝撃映像だった。
「!!」
「えっ・・・」
その映像は、竹内舞が目隠しをされて裸になった状態で、数人の男達にセックスをされている映像だった。
彼女は意識が朦朧としているのか、何を喋っているのかわからない。
確認出来た男は、ガタイがよくて、目を除き顔を完全に隠した男。
「・・・白兎夜さん、これ、竹内さんがアップした・・・と、考えますか?」
「・・・いえ、あり得ません」
「ですよね。意図的にこんなの載せるわけないですよね」
「ただ、まだ不自然なのですがね、この動画が撮られた場所、屋外じゃないんですよ」
「え?」
「女性は竹内舞さんで間違いないでしょう。ただ、この動画が撮られた場所は屋内なんです。という事は、竹内さんの強姦は二日前どころではない可能性がありますね」
「もっと前、ですか・・・」
「可能性が高いですね。強姦以上に深い闇が埋められています・・・。掘り起こしてみたくなりましたね」
「ちょ、白兎夜さん!あまりちょっかいかけちゃダメですからね」
「ウサギは、気になるものがあれば穴を掘って掘り起こします。エサが埋まっているのに、流すなんて出来ません」
その日の夜、民宿に戻った二人は、夜ご飯を食べ終えると眠りについていた。佑唯はストリートライブに備えての仮眠程度だが、渉はぐっすり眠っていた。そもそも、渉はいつ寝ているのだろうか。セックスを終えたばかりなのにシャワーをさらっと浴びて服を着たらダッシュで逃走。体力、健康面にも謎が多い男なのであった。
時刻は夜の11時。佑唯は柔軟体操をしており、渉はまだ寝ていた。
その同時刻、竹内舞の身に、危機が迫っているなど、露知らず。
「・・・んん!」
「動くな」
「!!・・・」
竹内舞はハンカチで口を押さえられた。薬品の匂いにより意識が遠退いて、力が抜けていく。路地裏に連れていかれると、服を脱がされた。
「・・・っ!」
「わっ!白兎夜さん、急に!」
「・・・なんでしょう、気のせいか分からないんですが、女性の悲鳴が聴こえたような・・・危険を察知しました」
「危険を察知って、千里眼じゃないんですから」