case.3 竹内舞
02
スポーツジムはポスターを見た場所から20分ほど歩いた場所にあった。
ジムはかなり大きい施設で、窓から中を見ると、外国人の利用も多い事が分かる。だが、竹内舞の姿は見えなかった。当然と言えば当然。
連続で強姦されたのだから、心身が深い傷を負っているに違いない。
無駄足を踏んでしまったか。と、思われたその時。渉と佑唯の後ろから話し声が聴こえた。



「あの竹内舞って、強姦されたのは“わざと”って説があるんだって」

「わざと?なんでそんな事を?」

「なんか噂だと、出会い系のサイトに登録してて、度々“ヤれる人待ってます”的な事言ってたみたい」

「ええ、それ本当の話?」

「まだ分かんないけど、これが本当だったら竹内舞が最低女になるよ」

「うーわ、怖っ」




「・・・出会い系ですか。これはますます面白いですねぇ」

「面白くはないですよ」

「探してみましょうか、その出会い系サイト」


渉はスマートフォンを取り出すが、出会い系サイトは有料無料、違法合法も含め、あまりに数が多い。
そこで詰まってしまった渉は諦めてスマートフォンをポケットにしまった。が、しかしその直後、渉は後ろから声をかけられた。


「教えようか、そのサイト」

「えっ・・・誰ですか?」


声をかけたのは若い男。20代後半、と言った顔立ちだが、あまりにイケメンであり、佑唯は思わず口を開けたまま固まってしまった。

「あんたの心の声が聴こえてな」

「・・・面白い事を言いますねぇ」

「残念だが、これは嘘じゃねぇぞ。で、その声を聴いて、あんたは悪い奴じゃなさそうだから、教えてやるって言ったんだ」

「ほう。なるほど。ではそのサイト教えて頂けますかねぇ」



彼は須藤貴博という。竹内舞は彼の高校時代の同級生らしい。
心の声を聴けるのは本当のようで、渉も佑唯も考えを読まれていた。
強姦事件のせいで心を痛めていたらしく、聴く力を満足に使えなかったために、渉のような、事件に興味を持つ人間を探していたらしい。


「この方はお子さんもいらっしゃるのですか」

「二人の子持ちでシングルマザーなんだ。子供の方も心配だな」

「そうですよね・・・お母さんがそんな目に遭ったんですから・・・」

「情報提供、感謝します」



渉は早速、そのサイトにアクセスをした。

■筆者メッセージ
貴博くん登場!竹内舞ちゃんはあのまいまいでした。
壮流 ( 2017/01/23(月) 20:31 )