06
午前2時前。着いたのは、美彩の自宅だった。
美彩は部屋着に着替えると、化粧を落としに洗面所へ。
渉はコートやサングラスを外すと、居間に座って美彩を待った。
一人暮らしの部屋で住み心地は良さそうである。部屋を見渡していると渉の目に不思議なものが入った。
(これは・・・男物の下着?)
美彩は一人暮らし。男物の下着があるのはおかしい。更にぐるっと見回すと、今度はテーブルの端に怪しいものがあった。
(これは・・・また男物・・・)
悪い女になっちゃおうかな、という言葉を思い出した。もしかすると、美彩は彼氏がいて、今から自分と浮気をしようとしているのでは。
だが残念ながら、渉には美彩の事情や思惑など何も関係なかった。もし本当に浮気しようとしているのか、もしくはただの男遊びが好きだから一夜限りの付き合いか、どっちにしても渉は美彩を抱く。そう考えていた。
「お待たせ。お茶でも飲む?それともお酒にする?」
「お酒でも軽くいきましょうか」
「そう、じゃ軽く飲みましょ」
部屋着の美彩は妙に露出が多い。
何かをそそるようにわざとそういう部屋着を選んだのか。更に、美彩は何のお酒を出すのかと思えば、日本酒を水割りで出してきた。
「日本酒お好き?」
「まさか日本酒とは思いませんでした」
「はぁ、ダメ、酔っちゃった」
「一口で酔いますかねぇ」
「ちーがーう。渉さんがイケメンだからー」
「ただの甘え上手ですか?」
「もう、失礼」
「そうですかねぇ、これを見たら、美彩さんは遊び人なんじゃないかと勘繰ってしまうんですがねぇ」
「あ!それ!」
「ちなみに、こんなものも」
「あ!それは!」
「これは彼がいるのか、遊びなのか教えてもらいましょうか」
美彩はやってしまった、と黙ってしまった。少ししてから俯いたまま、美彩は事情を話した。
どうやら美彩は過去に彼氏がいて、その人数が“もうすぐ二桁”なのだという。
今は彼氏がおらず、美彩は合コン等出会いの場を求めては彼氏を探しているらしい。渉はどうやら偶然出会っただけでそんなつもりはなかったのだが、あまりに渉がイケメンの為我慢できなかったのだという。
「彼氏欲しいけど出来なくてぇん、でもぉ、渉さんはぁ、本物の運命を感じちゃったのぉ」
「本物の運命ですか・・・」
気がつけば美彩はかなり飲み続け、渉にベタベタくっつきながら話をしていた。
「ねぇ、美彩の事ぉ、抱いてよぉ」
「・・・・・・いいんですね?」
「いいのっ。渉さんは、イケメンですからぁー」
双方同意の上、文句は言われない。
渉は内なる本能をむき出しにした。ニヤリと笑いながら美彩の顔を自分の方に向け、いきなりキスをした。