近づく早足の季節
俺は無事二年生に上がることが出来た。
そして春が過ぎ夏が訪れる…
「相変わらずクソ暑いな〜日本は…」
強い陽に手を翳しながらもうじき夏が来ることにぶつぶつと文句をたれる少年がいた。
その強い陽射しが校舎の窓をキラキラと照らしていた。
俺は今年もまた心の中で君を探していた。
水泳部の俺は親友の真吾とプールの掃除をしながら夏の訪れを待った。
「ハア〜今年こそはアイツに伝えなきゃな…」
彼はこの夏に思い出をひとつ作ろうとしていた。
カレンダーをめくれば近づく足早な季節のなかで…
「ハア〜どんな言葉で伝えたらいんだよ?」
俺は微笑みながらつぶやく。
「まあ、今は未来へ泳ぎ出すしかないよな」
真吾が言った。
「真吾は好きなやついないの?」
俺はホースの先を細めながら聞いた。
その時青空の向こうに水しぶきで虹ができた。
「もしいたら、楽しくて眩しい日々が来るかもな、でもただ辛いだけの日々が来ることもあるよな…」
真吾の言葉を聞いた時なぜか瞼をを閉じた…そして俺はたしかに切なさを感じた。
「俺好きなんて絶対に言えないよ…」
「でも言わなきゃ伝わらないぜ!」
カレンダーがめくられるにつれ俺は焦っていた。
でも真吾はそんな俺の横で楽しそうに笑っている。
「お前さ、このままだと気づかないうちに夏が逃げて終わっちまうぞ?そしてまたこの太陽を去年のように悔やむことになるぞ?夏はもうそこまで来てんだぞ!あの夏の日に言い出せなかったことを今年はちゃんと伝えろよ!」
「ああ、そうだな…真吾ありがとう。俺ちゃんと伝えるよ」
「頑張れよ」
そうして優弥は走り出した。
はてして彼は思いを伝えられるのか?