02
「なあ橘、お前だるまから連絡来たか?」
先日の襲撃を受けて、隆治は能力の対策について頭を悩ませていた。
そんな中、ふと七輪を前にしているヲタから声を掛けられる。
「連絡?いや、なにも。だって連絡先すら知らないし」
「SOSメール送ってきたぞ。手、貸してやったらどうだ」
挙げられた名前に疑問を抱く隆治であったが、携帯の画面に表示されているだるまからのメールに目を向ける。
いつもの強気な態度ではなく、プライドを捨て低姿勢に依頼をしている文面を見た隆治は口を強く結んだ。
「出来ないかな。ここで協力したら前田さんの協力者って認識持たれるし」
「意外と冷たいやつだな」
少し間を開けてから中立である旨を改めて告げると、ヲタとの会話を聞いていたアキチャが割って入る。
「冷たいというか、ちょっと誰かの肩を持つって立場があまり好ましくなくてさ」
困りながらも再度隆治は説明をするが、アキチャは納得をしていない様子で左右に首を振ると七輪へと目を戻した。
「お前、オレらボコったくせにボコられるのが怖いだけなんじゃね?」
「そうかなぁ、そうかも」
「認めるのかよ!」
今度はバンジーが挑発するように告げると、隆治は曖昧に言葉を返す。
中途半端な返答にバンジーは咄嗟に指摘をするものの、相手の回答が本気ではないと察してか呆れながらも言及を放棄した。
「前に喧嘩ふっかけてきた時、覚えてる?」
「え?ああ、やってる間にいつの間にか意識失ってたな」
次々に飛んでくる指摘を受けて今度は隆治から話題を切り出すと、ウナギの答えを聞いてからチームホルモンのメンバー全員が顔を見合わせてから頷く。
「そう、喧嘩に巻き込まれた時に出来ることって瞬間的な血行障害での立ち眩みとか、手足痺れさせたりしかないんだけどさ」
さらりと続けられる言葉の内容が衝撃的だったのか、先程まで静かに相槌をうっていた彼女らは今度は慌てた様子で目配せを行った。
「ちょっと待て、お前そんなヤバいことオレらにしてたのか!?」
「でも、後遺症とか無いでしょ。ちゃんとそこは考えてるから」
「それは……無いけどよ」
話に不安を抱き我慢出来なくなったのかムクチは何か言おうとするが、それより先にアキチャが口調を強めて告げる。
しかしながら隆治から即座に柔らかく反論をされると、何も言い返すことが出来なくなったため口を閉ざした。
「ただ四天王レベルには通じないのかも。前のことがあるから自信なくしちゃって」
以前ゲキカラと遭遇した時のことを思い出した隆治は、目の前にいる彼女らと対峙した時に使用したものより威力に重きを置いた一撃が通じなかったことを思い出す。
「だからそんな小技に頼らずにちゃんと喧嘩すればいいだろ。まさか、今更女を殴れないとか理由つけんのか?」
以前に何かあったことを感じ取り、ホルモンのメンバーはそれ以上問い詰めることを躊躇する。
暗くなった空気を明るくしようと半ば冗談まじりにヲタが告げると、彼女の肘辺りを隆治の手刀の先端が突いた。
「なにすんだよ!」
「ちょっとイラッとしたから仕返し。ま、10分も経てばちゃんと箸持てるようになるよ」
突発的な彼の行動にヲタは不服そうに告げるが、隆治は簡単に説明をすると逃げるようにその場をあとにした。
「何言って……痛っ!」
「ヲタ?」
彼の話を理解することが出来ず首を傾げながら箸を持とうとするヲタであったが、指先が箸に触れた瞬間に箸を床へと落とした。
突然声を上げたことで七輪を囲む全員がヲタへと視線を向けると、手に視線を落としているのを見てウナギが心配そうに名前を呼ぶ。
「腕がめっちゃ正座したあとの脚みたいになってる、超痛ぇ。これがさっき言ってた痺れってわけだな……痛い!触んなって!」
説明を受けていた際にはイメージ出来ていなかったものの、現状その症状が出ていることによりヲタは納得したように呟きながら箸を触るが、痛みが走るためかすぐに手を引っ込める。
一部始終を見ていたムクチが笑いながらその手を指先で突くと、ヲタはイライラとしたように声を荒らげた。