01
チームホルモンのメンバーが早朝七輪の準備をしながら、いつも通り参考書を読んでいる敦子とそれに並んでいるだるまに目を向けたあと、隆治へと目を向ける。
普段ならば教室内では珍しく授業の準備をしていたが、その日はただ呆然と席に着いていた。
「おい、アイツどうしたんだよ」
「オレらをやった罪悪感か?」
あからさまに違和感のある姿に、ウナギとアキチャは小声で言葉を交わす。
無言で彼の姿を見ていたヲタは腕組みをして笑みを浮かべた。
「バカ、あれは……オンナだよ」
「オンナぁ!?」
ヲタの言葉にチームのメンバーが声を上げるより先にだるまが声を上げる。
あまりにも大声であったことに声を出すことを忘れたチームホルモンが見守る中、だるまが隆治へと詰め寄った。
「お前、あつ姐に手ぇ出したら許さへんで!」
隆治の机を思い切り叩くとだるまが怒鳴り声を上げる。
驚く様子も見せなかった隆治はぼんやりと声を荒らげる相手を見上げた。
「えっ?ああ、うん」
心ここにあらずといった様子で生返事を返すと、そのまま教室から出ていった。
その後しばらく経ったあと、ふと参考書を閉じた敦子は彼と同じく教室を後にする。
「あつ姐!?待ってくださいよ!」
後を追うのが遅れたために見失ったのか、教室を出た後に左右を交互に見ただるまは大きな足音を立てて走っていった。
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「浮かない表情ですね」
ぼんやりと歩いていた隆治のもとに、敦子は声を掛けながら近寄る。
辺りに人影が無いこともあってか、彼女の雰囲気がいつもとは違うものであることにすぐに気付く。
「まあ、色々あって……わっ!?」
説明をしようとした最中、急に顔に向かって突き出された拳に思わず隆治は身体を背ける。
その反応を敦子はどこか冷めた目で見てから突き出している腕を下げた。
「今のはビビった奴の反応じゃなくて、避けれるタイミングで反応してる」
「そっか……うん、そうだったかも」
淡々と告げられた内容に隆治には一瞬迷いが生じるが、自らも納得したように小さく頷いてから答える。
「隠すなら、徹底したほうがいいと思いますけどね」
2人が立っている付近に大きな足音が聞こえてきたために、敦子はそちらに目を向けた。
その場にだるまが到着し、質問攻めにするものの言葉を聞き流しながら敦子がその場を立ち去る。
それを見送った隆治は悩みを振り払うよう大きく首を振ると、切り替えるように深呼吸を1つした。