都内某所。
深夜になってなお灯る街灯によりほんのりと照らされた通りとは対照的に、ほぼ光の届かないビルの屋上で人影が動く。
目の前に広がる光景の一点を注視していたが、やがて何かを確認すると腕につけていた時計に目を落とした。
時刻は深夜2時。
静けさの中、遠くのほうで微かに聞こえる揉め事の声を認識し、確認するように眼下の通りを一瞥してから携帯電話を手に取る。
「報告、偽装効果有効範囲の必要最低基準値を確認。時刻誤差許容範囲、重要度判定D以下の生活行動パターン問題なし。明日の予定時刻から任務を開始する、以上……ふう」
一息で話し終えようやく緊張が解けたのか、通話を終了すると呼吸を整えて再び時計へと目を落とす。
先程までデジタルで時刻が表示されていたその盤面は、今現在ではバイタルサインを示していた。
“ホンジツ アト 2 カイ”
視覚的に詳細な情報が入れられるようグラフ等でデータが表示されている中、意図的に注視させるようデジタル表記で文章が記載されている。
「なるべく波風を立てず、か」
どこかで起こっていたいざこざが原因であろうか、サイレンの音が屋上へと届く。
しかしながら屋上には既に人の気配は無く、いつも通りの暗闇と静寂に包まれていた。










