4. 混乱
頼もしい男
組織犯罪対策課 捜査本部

「どうしてリバティスターを調べてもこんなに決め手がないの!?」
絵梨花は自分の考えが間違っているとは思えなかったが、どうしても確実な証拠を見つけることが出来ないでいた。そんな時...
「ちょっと失礼〜」
入ってきたのは見覚えのない男、イライラしている絵梨花には火に油だった。
「ちょっと!あんた誰?見覚えないけど?間違いならすぐに出ていってよね!」
頬を膨らませながら可愛らしい顔で怒り出す。
「まぁまぁ落ち着いて、今日からここに配属になったんだよ笑 出戻りというか、とりあえずよろしく」
ニコッと笑う男。
「あ、そうなのね...ちょっと行き詰まってて...ごめんなさい」
急に恥ずかしくなってしまい、目線を外して謝る。
「俺、萩原健二ね。君は?」
「生田絵梨花...です」
「絵梨花ちゃんね、同期だか先輩だかよくわかんないけどとりあえずよろしく」
どことなく適当な空気感に不安を感じてしまう。
「ところでさ、あいつらどこか知らない?」
「あいつらって...初対面の人のあいつらが誰だか分かるわけないでしょ?」
呆れたように答える。
「あぁ...あの豊と飛鳥、捜査一課の。俺同期なんだ」
屈託なく笑う健二だが、捜査一課を目の敵にしてる絵梨花からすればはらわたが煮えくり返る質問だった。
「そんなの知るわけないでしょ!!‪💢捜査一課室にでも行けば!?今忙しいの!」
とうとう噴火させてしまった。
「じゃあちょっと行ってみるか〜、すぐ戻るから〜」
そんなことはなんのその気にせず同じトーンのまま出ていく健二。
「もう二度と戻ってくんな!」
力一杯に叫んで発散する。
「イーッだ!」
ある程度スッキリしたら仕事に戻るのだった。

警視庁捜査一課室

「おーい!豊〜!飛鳥ちゃーん!」
嬉しそうにやってきたのは当然健二。
その姿を見て目を丸くする豊と飛鳥。
「萩原くん!?」
「なんでお前がここにいんだ?」
「ただいまってところかな〜」
健二は2人と警察学校の同期。適当な面もあるが、豊に勝るとも劣らない優秀な刑事で最初の半年はこの捜査一課にいた。だが、ある事件の捜査で犯人に発泡。脳天を撃ち抜かれた犯人は即死だった。しかし、犯人が持っていたのはナイフであり、殺す必要はなかったとされて左遷処分にされていた男だ。
「お前熊本の駐在所にいたんじゃなかったのか?」
「あぁ、だけどなんか帰って来れた。何でもすんげぇ事件があって早く解決したいから俺の力が必要だったんだってさ〜、それで今日から組対課」
「それって...」
飛鳥の考えた通り、現在捜査一課の3人も追っている事件のことだろう。
「そっかそっか、最初は捜査一課の事件だったんだもんな...で、豊」
真剣な眼差しに変わり、豊に肩を組んで耳打ちする。
「ヤツらが関わってると考えて間違いないな?」
「...あぁ、多分な」
「飛鳥ちゃん関わらせてねーよな?」
「それが...」
事の経緯を説明する豊。
「.......ま、それだけ立派になったってことだよな、ただ、危険なことはさせんじゃねーぞ?万が一があるなら俺のことも使ってくれ」
「助かるよ」
2人の内緒話に入り込んでくる飛鳥。
「ねー!どうせ私が危険だーとか話してんでしょ?子供じゃないし、あれからもう5年も経ってるんだからもう大丈夫だよ」
「子供じゃない?.....顔はいつまでもお子ちゃまじゃんか!!」
神妙な面持ちからイタズラに笑ってからかい始める健二。
「うるさっ...!...でも、ありがとう。萩原くんには言われてもしょうがないね」
俯いて視線を下げてそう言う飛鳥。
「そっか、じゃあ戻るわ俺」
「あぁ」
「2人とも無理はすんなよ〜、あくまでもうこっちの事件なんだからさ〜」
左手をポケットに突っ込み、右手を上げて去っていく健二。
「あいつが戻ってきたからには更に頑張んないとな、飛鳥」
「そだね」
健二の後ろ姿を見つめる2人の目はどこか遠い過去を見つめているようであった。

ブラッキー ( 2023/01/28(土) 12:28 )