諸悪の根源
性奴隷売買を主導している株式会社リバティスターの社長である赤井涼。この男も昔はアイドルのファン、いやオタクと言った方が正しい。坂之上46が誕生するよりも前の話であるが、赤井が大学生の頃から握手会に通い、ライブにも参加する生粋のオタクだった。決して裕福な家庭ではなかった赤井が上京し、大学に入学したばかりの頃は節約の日々の中で、少ないお金を費やして積極的にアイドルを応援していたのだが、それから2年も経つと大学生エンジニアとして認められるようになっていく。そして当然アイドルに費やすお金も増えていったが、それと同時に嫌なものを感じるようになっていった。それは、赤井を太客であると認識したアイドルの対応の変化だ。明らかに媚びを売るような口調、言葉、態度、そんなものが見えるようになった時、赤井のアイドル熱は一気に冷めると同時に夢を壊されたことと、お金がなかった頃には適当な対応をされていた、言い換えれば見下されていたんだということに強い憤りを覚えたのだった。
それからまた何年も経ち地位も名誉も手に入れたこの男の考えたこと。それがルックスを売りにして自分を見下す立場の女達への復讐だ。赤井も株式会社リバティスターもそもそも性奴隷売買というリスクを負わなければならないほどお金に困っていない。それにも関わらず、このような罪を犯す理由がその過去にあった。しかし、そんなものは赤井の身勝手な言い分であり、そもそも赤井にそのような対応をとったのは性奴隷として捕えられ、売り飛ばされてきた女達ではないし、坂之上46すら関係ない話なのだからたまったものではないだろう。だが、そんな正論を述べたところで心には響かないだろう。赤井はとんでもない男と出会ってしまったのだから。