1st
お互いの距離感
奏翔が、帰る準備をしていると友梨奈に声をかけられた。

友梨奈「君の言ってた作戦、明日必ず、成功させるから…ただの無茶では終わらせないよ。」

奏翔は、友梨奈の言葉に笑顔で頭を下げると菜緒が肩をふいに叩いたため奏翔は驚いて振り向いた。

美愉「何か言いなよ。
菜緒ちゃんは、応援したいらしいけど何言えばいいかわかんないっぽいね。」

美愉は、「まぁ、うちらも応援される側だけどね〜」とふざけて言うと愛佳、理佐、瑞穂も近づいてきた。

理佐「もう眠いんだから、帰ろうよ。」

愛佳「ってか、後輩囲んでカツアゲしてるように見えるよ。」

瑞穂「奏翔、行こう。準備終わったでしょ?」

3人同時にバラバラなことを話したため、奏翔は苦笑いして「同時に話さないでください」とだけ言った。

理佐と、愛佳はそのあとは何も言わずにその場をあとにしようとすると奏翔は大きな声を出して「渡邉先輩、志田先輩!明日頑張ってください!僕も頑張るから助けてくださいね!」と言うと理佐、愛佳は振り返って笑顔でピースサインを作った。

美愉「理佐たちも行ったしうちらも行きますか。
瑞穂、奏翔じゃねん。また明日♪」

美愉の言葉に、友梨奈と菜緒も付いて歩き出すと2人に手を振ってそのまま出ていった。」

瑞穂「うちらも行こうぜ?
もう帰れるだろ…あ、その前にさっきはごめん。うち短気だし、負けず嫌いなとこあるだろ?
だから、あーいうふうになるんだよね。」

奏翔「気にしてないですよ。僕の作戦が無茶苦茶なのは重々承知なので…
あ、そういえば明日伝えようと思ったけど…一目惚れした人…土生先輩が言ってた人であってます…」

奏翔は、校門を出て家路へと着いた時に唐突に瑞穂に伝えた。その時の奏翔は、耳まで真っ赤になっており瑞穂の方を向けずにいた。

瑞穂「間違ってた時より、これたぶん今の方が恥ずいよな。でもうちもあんたの事は気に入ってるよ。」

奏翔と瑞穂は、そのあとはお互いを見ることも無く歩いていたが、駅の近くまで来ると奏翔が瑞穂の方を真剣な目をして見つめた。
瑞穂はそれに気づくと、普段のかっこいい笑顔を見せて「ん?」と言って奏翔の方を見るとその場で止まった。

偶然にも駅のすぐ前で2人は立ち止まったため、駅の明かりで2人の顔は照らされてよく見えるようになった。

奏翔「まだ、知り合って1週間もしてないけど、瑞穂先輩に会えて良かったです。」

瑞穂「はぁ?急になんだよ。
照れるからやめてよね。ってか、先輩って付けなくて…呼び方変わった…よね。」

奏翔「はい。変えました。
ほかの先輩方も瑞穂先輩みたいに言ってくれるでしょうけど、僕は後輩なので…
でも、みんなとも仲良くしたいから瑞穂先輩で実験したって言うのが正解ですけどね?」

奏翔は、普段の様子とは打って変わって笑顔を見せていたが、奏翔は嫌な気持ちにはならなかった瑞穂達のおかげなのかもしれないと考えていると瑞穂はクスッと笑って

瑞穂「まぁ、そうだよな。
こっちもさっきはありがとうだよ。うちらふたりの距離はこんなもんだけど、これからだんだんと近づけてこ?みんなとの距離もね?
じゃあ、電車来るしいくよ。じゃあな!」

瑞穂は話しながらわざと距離を少し離すように歩いてまた近寄ると拳を突き出した。
奏翔は、言わんとしていることが分かると拳をコツンと当て、瑞穂はそれに満足したのかニヤリと笑うと駅の中に入っていき、それと同時に駅に入り奏翔に挨拶しようと低い塀の上に顔を出したが電車が来たためなにも言えずに別れてしまった。

奏翔は少しだけ残念な気持ちになったが、家へと向かって歩き出した。

玲亜 ( 2019/07/12(金) 19:58 )