魍魎の贄decadance〜pretty tied up 第二章
第二章 魔界の虜囚
『……ねる』
「……ん……」
『ねるよ……』
「んっ……だ、誰……?」
自分の名を呼ぶ不気味な声。どこか遠くから聞こえるようだった。
辺りを見る。暗闇だった。どういうわけか、海の底に沈んでいるように身体が浮遊している。光も温度も感じられない世界だった。
「……ここは?」
ねるが自分を抱きしめるような恰好をする。
心臓がドクドクとやけに高鳴っていた。寒気もないはずが、指先が震えている。手指を見てハッとする。爪までが青白く、生きた身体に思えなかった。
(……いる)
髪の毛をさわさわと撫でられたように錯覚する。見えない糸が、ぎっしりと辺りに張り巡らされたようだ。糸に触れたところが自分の身体から消えるような予感がある。
しかし誰もいない。瘴気はもちろん、気配もない。
「ハァ……ハァ……うぅぅ」
見えない恐怖に、呼吸が苦しくなってくる。ずんぐりとした太い指で、喉を締め付けられるようだった。
「ぜぇぇぇ、ぜぇぇぇぇ……んっ、うぅっ……まさか」
未曾有の恐怖がねるを襲っていた。整った顔立ちが歪む。
中空の一点を食い入るように睨んだその瞬間……!
『闇の世界へようこそ』
「……ここは」
『魔物の住処だ。ゲートの反対側とも言うが……』
「じゃあ、貴方は」
ねるの表情が強ばる。ゲートの裏側へ行って、帰ってきた人物はいない。魔法戦士なら尚更だ。
『さすがだ。ねるよ。最強魔法戦士と呼ばれるだけはある』
「……」
最強魔法戦士。これまで何度も呼ばれてきた。だが、気にも留めていなかった。まだまだ自分は成長途中であり、最強は未来にあると信じてきた。余計な称号はほしくない。油断して敗北するのが、目に見えていた。
『我はずっとお前を見てきた……。ここまで成長するとは期待以上だ』
胸が押し潰されるような、異様な威圧感があった。重い空気が、ねるの頭上にのしかかってくる。
『さんざん、手こずらせてくれた、ともいうがな……』
「……魔王」
これまで何度も問うてきた答えが、目の前にいる。強大な妖力で魔物を操り、人々や妖魔を恐怖に陥れた元凶である。
うっすらと目に浮かぶ魔王は黒いマント姿だった。姿形がつかめず、深部には禍々しく輝く小宇宙を抱いている。
『多くの魔物を失ったが、おかけで最強魔法戦士を手に入れた』
穏やかな口調だった。怒りに満ちてもおかしくないところである。それゆえに恐ろしいほどの闇を感じさせた。
「やっぱり……。本物の魔王は名乗らないのね」
ねるは何度も魔物に魔王かと問うてきた。探し求めていたからだった。いつしか知れ渡り、魔王を名乗る魔物に揶揄されるようになった。それでもやめなかった。好きに言わせておけばいいと思っていた。こうして魔王を見つけ出すと信じて……。
「聞く必要がないほど、妖力があふれているもの……」
一目瞭然だった。柔肌に縫い針がチクチク刺さるような、濃厚な瘴気が直撃する。
ねるはある意味、感動していた。ずっと探し求めていた魔王が今、目の前にいた。
「……みんなの敵」
ねるの仲間たちは魔王に殺されていた。
以来、あのとき力があればと、何度思ったことか……。
そして……ねるは魔法戦士になったのだ。
ねるにとって魔物退治は敵討ちであり、魔王を倒すことは本望だった。同じ犠牲者を減らせるのだから。
『憎みたいのなら好きにしろ。だがな、ねるよ……お前は今、闇の世界に閉じ込められたのだ。その強靭な精神は仇となるぞ』
ぶわりと生暖かな瘴気が、ねるの全身を撫で上げる。無数の蛆虫が這い回ってるような怖気が走った。あまりの嫌悪感にねるは奥歯を噛んだ。
「ふざけないで。ただ捕まったわけじゃないわ。地上で戦っても、貴方は一向に現れない。でもゲートを超えれば……闇の世界に入り込めば、魔王に近づける……。ずっと暗闇で怯える弱虫がどんな奴か……この目で確かめにきたのよ!」
数多の魔物と戦ってきたねるにはプライドがあった。どれだけピンチに陥っても、道は開けると信じていた。
これまで入念に魔王を倒す準備をしてきた。たとえ身が朽ち果てたとしても、チャンスを掴んでみせる。いつだって、命のやり取りも辞さない覚悟はあった。
『勇ましいな。だがいつまでそう言ってられるか……』
ぶわりと瘴気が噴き上がってくる。
「貴方が何をしようとも、私は負けないわ。ここへ連れてきたことを後悔させてみせる」
戦いに勝つごとに魔物も強くなり、ねるを苦しめた。だが、壁を越えるたびに、魔王を倒すという意志がより強固になっていく。
ラスボスである魔王を目の前にした今、闘志の炎がメラメラと燃えていた。
長い長い日々が今、走馬燈のようによぎる。
『お前はいつかは我の手に堕ちる。最強がゆえの脆さは、我がもっともよく知っておるからな』
「私は貴方を倒すっ……どこまでも追いかけて息の根を止めてみせるわっ!」
ねるが立ち向かおうとする……が、力が入らない。
魔王が闇に溶けていく。マントが透けて黒い霧が立ちこめていた。
ようやく魔王に接近できたというのに、そこに手が届くことはなかった。
『お前の強大な妖力は、存分に活用してやろう』
「何を言ってるの?そんなことさせるわけが……」
『我をがっかりさせるなよ。お前は最強魔法戦士なのだから』
「待ちなさい!魔王っ!!」
ねるの叫びが辺りに響く。
叫び声が木霊し、暗闇で繰り返していた……。
「……起きろって言ってんだろ!」
地震に遭ったかのように視界がぶれる。
重い瞼を開けると、目の前に牙の生えた恐ろしい形相があった。
「うぅ……。……ここは……」
頭が割れそうなほど痛む。手足が鉛のように重く、動かなかった。見えないロープに縛られているようだった。
記憶が蘇ってくる。ねるは魔物に捕まり、妖力で拘束され、ここへ連れて来られた。
ゆっくり辺りを見回す。暗い岩壁に囲まれていた。
寒いわけではないのに、空気に触れただけで鳥肌が立つ。凄まじい瘴気が漂っていた。魔物の発す毒々しさがある。静かに息を吸い込むと、肺が縮んでしまって息苦しい。
「……闇の世界ね」
「くく。そうだ。お前にとっては地獄の入り口だがな……いや?天国かもしれないなぁ」
傷のある片耳豚がわざとらしく笑い声をあげる。野獣の雄叫びのようで耳障りだった。
だが、ねるはひるまない。じっと片耳豚を睨み付けている。
「……来ないで」
「それは俺が決めることだ」
フガフガと鼻を鳴らしながら、片耳豚が接近する。
「くは!」
いきなり、片耳豚がねるのコスチュームを引き裂いた。
そして軽々と身体を持ち上げると、細身を強引に引き寄せる。
「くっ……何するのよっ」
「小さいなぁ。ねるは」
難なく内腿を掴み、脚を押さえる。むっちりとした太腿がむにゅりと歪んだ。陰部には片耳豚の巨根がぶつかっている。
「……汚い手でさわるな」
ねるが首を横に振る。密着すればするほど、生理的な嫌悪感が募ってくるが、手足はやはり鉛のように動かなかった。よほど強力な魔法にかけられたのだろう。
「さわるな?じゃあ、逃げてみろよ?」
興奮のあまり、片耳豚の吐息がブハーッとねるの顔にかかる。
「げほげほっ……」
唾液と口臭が混ざり合い、ひどい匂いだった。
「あはは!顔しかめやがって。くく……そんなにいやか?」
「そんな醜い顔を間近に見せられれば当然……」
ねるがぐっと怒りを抑えながら、悪臭を堪える。魔物特有の雄の臭いだった。この距離にいれば、延々と漂ってくる。気絶しそうなほどの目眩を覚えたが、なんとか我慢した。
「なあ、ねる。知ってんだろう?魔物の体臭や分泌物は雌を発情させるって」
片耳豚の尖った牙が耳元に迫ってくる。今にもねるを食おうとせんばかりだった。
「……」
魔物の匂いや体液は、雌にとって媚薬に等しい。ねるは熟知していた。何度も目の当たりにしてきた。
(魔物の体液は、ひどいものだわ。女の子を狂わせてしまう……)
触手に犯され、絶叫していたはずが、やがて尻を振って喘ぎ声をあげる。そんな女の子の末路は、想像に難くない。
「気付いてないのか?お前はこれまで大量の血を浴びてきた……。相当な淫乱になってるはずだぞ」
「あんなもの浴びたうちに入らないわ。いいがかりはやめて」
「ま、お前ほどの女が今まで無事に済んでたわけはないもんな」
片耳豚から見ても、ねるは類い稀な美少女だった。膨らんだ胸。締まったウエストライン。花弁のような唇。美貌もスタイルも、非の打ちどころがない。魅力にあふれており、どんな魔物でも襲いたくなるほどのポテンシャルがあった。
(私が淫乱だとでも言いたいのね。まったく……どこまで侮辱すれば気が済むやら)
ねる本人は自分の魅力に気付いていなかった。ただ、魔物を倒し、平和を守る。自分はその役目を純粋にまっとうする。そのためだけに生きてきた。
「最強魔法戦士だなんだ言ったって、所詮は発情した雌だ。なぁ?」
「……」
魔物の言う通り、魔法戦士になって以来、異変はあった。 魔物の体液で身体が疼いた経験はある。だが、ねるは鉄の理性で抑え続けた。
「イヒヒ。突っ込んでみればわかるさ」
「んぐぅっ!?」
片耳豚の巨大な肉塊が、ねるの雌穴を穿ろうとしていた。ひと目で挿入が不可能とわかるほど、サイズが合っていない。雌穴に対し目して、肉茎は倍はあるだろう。
「うぅぅ、やめなさい……入るわけないでしょう……」
ねるは努めて冷静さを見せていた。雌穴に巨根が入りかけており、心は掻き乱れたが、片耳豚ごときに悟られたくない。幾多の戦歴を越えてきた魔法戦士の矜持だった。取り乱す様は見せるものかと、心に強く誓っていた。
「くくくっ。知ってるだろう?チンポがどんなものか……」
ねるの太腿を掴む片耳豚の手に力が込もる。半ばまで埋まった肉棒を、ぐりぐりと回すように押し込んだ。
ねるがぎゅっと顔をしかめる。伸びきった膣穴が、ビリビリと裂けそうな予感がしていた。肉棒の揺れに比例して痛みが込み上げてくる。
「んんっ……ウゥゥ……」
「おおっと!喘ぎだしたか?」
片耳豚がご機嫌であるほど、ねるさ憎悪が募った。絶対に痛みを知られたくない。あくまでも普段の顔でいたい。気持ちに反して痛みが強まるが、必死に噛み殺す。
(そうよ。この程度の痛み……たいしたことないんだから)
男根が震えるたびに内蔵が痺れ、心身が穢れていく。ねるは幾度となくこみ込み上げる嗚咽を堪えた。
「うう、くは、……んんっ!クゥゥ……」
悲鳴などあげたくない。それほど弱くない。ねるは必死で痛みを押し殺し、唇を引き結んだ。雄の欲望の塊が、己の体内を侵食していく。
「ん〜?キツいぞ〜」
わざとらしく、片耳豚が小首を傾げる。半ばまで入ったところで、止まっていた。もっとも狭いところを、わざとゆっくりと責めていたのだ。
「うぐっ……はうぅっ!」
ねるが頭を左右に振り、苦痛を堪らえようと息を殺す。
片耳豚の口元がにやりと歪んだ。ねるが痛がり苦しみ、うめく姿を楽しんでいた。
「しっかし、チビマンだなぁ。チンポが進まないぞ?」
ぐいぐいと素早く突き上げながらも、決定打はあえて出さない。即座に奥まで挿入すればいいものを、わざと止めていた。ねるの苦痛を長引かせるためだった。
硬く重いものが、雌穴を少しずつ拡張していく。
「いやあ。思いだすなぁ。お前の魔法で切り裂かれたときを……」
「んんっ、うぐぅぅっ……くは、ああ!」
ねるがあまりの苦痛に頬を赤くする。泣き叫んで七転八倒したいところを、ぐっと堪えていた。
「バラバラの細切れになったかと思ったぞ。死がよぎったなぁ……」
片耳豚の身体が震える。肉棒の侵入を阻むものを味わっていた。雌穴はデコボコしながらも弾力があり、じっとりと濡れている。もうわずかな力でも、奥まで挿入できるだろう。だが、それでは面白くない。どこまでもねるをいたぶり続けたかった。
「ふは!あ、あぐっ……細切れにっ、くぅぅ、したはずだわ!くぅぅっ……」
あのとき、ゲートさえできなければ、こんな思いはしなくて済んだ。まさか、復讐されるとは夢にも思っていなかった。
「くく。ほら見ろよ。チンポがだいぶ入ってきたぞ」
ズンズンという肉棒の圧力が、また上がっていた。下半身が真っぷたつになってしまいそうだ。苦痛のあまり、ねるが身をよじらせる。
「……んん、ふは、あぁ……」
ねるの意志は変わらなかった。どれだけ苦痛を味わおうとも気持ちは変わらない。魔法戦士の高潔な心は、決してぶれなかった。
「おいおい。マンコがベトベトになってるぞ。気持ちいいんだろう?」
「はぁ、はぁ……違う!わ、私は魔物に……凌辱されて……感じたりしないっ!」
「くくく、そうか。なら、何をしても感じないな?」
「くぅぅっ、ふはっ!そうよっ……ンンッ!た、たとえ何をされたって……私は魔物になんか負けな……あがぁぁぁぁっ!!」
突然、身体が宙に浮かんだ。
ねるはあまりの衝撃に何が起きたか、理解できなかった。心臓が飛び出しそうなほど、鼓動している。下半身が痛みを通り越して、痺れていた。
「負けないなら……何されたって、どうってことないよな?」
「んんっ、くぅぅ!ふは、あぁぁ……」
ねるの視界が上下にぶれる。細身の身体がガクガクと飛び跳ねていた。
熱くたぎった男根が、激しく行き来している。狭い肉穴を無理やり押し広げ、当たり前のように揺れていた。
「ヒグゥゥ、くはっ……あ、あぁっ……」
パニックで混乱し、泣き叫んでもおかしくない状況だった。自分の女の子の部分を、ぞんざいに扱われてしまった。ショックを感じないわけがない。
飛び跳ねるほど背後から突かれ、想像を越える責め苦に翻弄されている。
「あはは!どうってことないんじゃないのかよ。この見えっぱりめが。ん?」
片耳豚が開ききった雌穴に目を留める。押し広げられた秘所から、赤い血がしたたり落ちていた。
「なんだ処女マンコだったのかよ!まさか処女だとは思わなかったなあ!」
片耳豚はねるの破瓜の血に興奮していた。
魔法戦士はその特性から、魔物に狙われやすい。戦歴を重ねれば、経験も比例するのが常だった。だが、ねるはその強さゆえに回避できていたのだ。
「んんっ。くはっ……うぅぅぅ、んんんん!!」
「くくく。最強魔法戦士が処女とはね……くくく……あははっ……てっきり、いろんな魔物とやりまくってると思ってたぜ!まさか処女とは……がはははは!」
「くぅっ!その口……塞いでやるっ!くは、あぁぁぁぁっ……」
ねるはつい、むきになってしまった。けたたましい笑い声が耳についた。
ねるにも乙女心はある。処女であることは、絶対に誰にも知られたくなかった。よりによって恨みのある片耳豚に奪われてしまった。
「ふは、ああっ……」
ズンズンと肉棒がさらに奥へと直進してくる。片耳豚は生き生きと雌穴を挿抜していた。
はずみでねるがガクリと首を反らす。より深いところへと、肉棒が挿抜していた。臓腑を掻き回されるようで、ねるは生きた心地さえしない。
「処女マンコにデカマラは、さぞ痛いだろうなぁ?だがな。お前につけられたこの傷は深いんだよ!」
「んあぁぁぁぁっ!!あ!あ!あ!あはあ〜〜〜〜〜〜〜っ!」
ねるが絶叫する。巨大な肉棒が速度を上げ、子宮口に届いたのだ。
力任せに突き上げ、雌穴をさらに拡張する。積年の恨みは根深いものがあった。
「くく。ほら痛いか?痛いなら、泣き叫ぶがいい。ガキみたいにさあ!」
ねるが首を横に振る。言いなりになるものかと、必死だった。
「んぐぅぅぅ!!あ、あぁぁっ!!」
片耳豚がさらにわざとらしく乱暴に雌穴を広げてくる。
「悲鳴が心地いいぜ!そのうち俺のチンポを求めて喘ぎだすぜ!あははっ」
魔物の体液を浴びた者は、たいていが欲望を剥き出しにする。媚薬の効果には抗えない。
快楽だけを求めて、尻を揺らし、絶頂の声をあげてしまうだろう。ねるがいつそうなってもおかしくない。だが、狂った者達の悔しさや末路を思うと、怒りが込み上げてきた。
「ハッ……ハッ……んん、くは、ううぅぅぅ……絶対に許さない!」
弱い者を助けるのが魔法戦士の使命だった。孤独に戦うねるの支えだった。罪のない弱い者が、力でねじ伏せられる。そんな世の中を変えるために、自分がいるのだから。
「フン。どうとでも言え。所詮お前も雌なんだよ!!」
「んん〜〜!」
ずりゅっ、ニチャニチャ、ずっちゅぅぅぅぅっ、というひときわ卑猥な音が響く。片耳豚が最後に向けて加速し始めた。巨大なペニスを引き抜かれるたびに、ねるの花弁が大量の愛蜜を零す。
「うぎぃぃぃ!ああぁ……」
太くたくましい片耳豚の剛直で串刺しにされ、突き上げられる。悲痛な声が漏れた。どんなに抗っても、もはや逃れることはできない。子宮まで届く長大な男根は、敏感な最奥部を責め続ける。片耳豚の男根の圧倒的な質量に、ねるは打ちのめされるしかなかった。
「孕めぇぇ!」
「ふあぁぁぁっ!?だ、だめぇぇ!中はぁぁぁ!ああああぁぁぁぁぁっ!!」
ねるが絶叫する。
片耳豚の白濁が子宮内へと注がれた。ドクドクと脈動しながら、熱くねっとりとした子種汁が噴出し続ける。想像以上に長時間だった。
「あはぁ……あ……ぁぁぁ……んぐぅぅ……絶対に……許さない……」
腹の奥に味わったことのない熱感があった。片耳豚の精液が溜まっているのだろう。そう思うと、ねるは背筋がゾクゾクと震え、嫌悪感が止まらなかった。
「フゥゥ、最強魔法戦士のマンコもやはり最強だなぁ!こいつはいい具合だ。くくく。あははは!」
「ぜぇぇ……ぜぇぇ……。くぅぅ……んん、うぅぅ……うぁ、あぁ……殺してやるっ!」
ねるは肩で呼吸していた。熱い湯を頭からかぶったように、汗が流れ出ている。
「どこまでも強がる雌め。だがな……まだ終わってないぞ?」
「……」
片耳豚の生殖能力は底知れない。何度でも勃起し、射精を繰り返す。たとえ雌が失神しようとも、生死不明になったとしても。
「ザーメンの効果は孕ませるだけじゃない。魔法戦士ならわかるだろ?」
「あ、あああ、アヒィィィィッ!」
片耳豚がまたも、巨根を揺らしだした。
ねるがビクビクと手足を震わせる。執拗な片耳豚の律動は、苦痛しかない。処女穴を掻き混ぜ、突き込んでくる。されるがまま、ねるが喉を見せ、背中をくねらせた。
「ふは、あぁ!アフゥゥゥ!!」
「淫乱になってきたなぁ。くくく……最強魔法戦士もザーメンに負けたんだよっ!」
「むおおおおっ!」
ねるの絶叫が響く。感じていない。気持ちいいわけがない。だが、雌穴がねっとりと白濁を零し、極太の肉棒に絡みついてしまう。
「んぐぅぅぅぅぅっ!」
魔物の精液は、他の体液とは比較にならないほど媚薬効果が強い。それを子宮に放たれれば、たいていの雌は快感に狂ってしまう。片耳豚の狙いはそれだった。
「負けないぃぃぃ!わ、私は……くは、あ、あああ〜〜〜っ!!」
ねるが腹を突き出し、苦痛から逃れようと悶える。背筋が震えるほどの恐怖が襲っていた。
もしや、自分もこれまで見てきたような、凌辱されて発情した子たちのようになってしまうのでは?一抹の不安がよぎる。それは絶対に避けたかった。
(お腹の奥が熱い……。子宮に出されたから、媚薬が効き始めてるんだ……)
「げへへ。腰が揺れてるぞ。マンコの奥がそんなにいいのか?」
ぶるぶるとねるが首を振る。片耳豚の思惑になど、はまりたくない。どれだけ精液の媚薬が強烈だろうと、強靭な精神力で振り切ってみせる。ねるは懸命に興奮を堪えた。
「はががっ……んぐっ……!アアァッ!」
だが、どれだけ拒絶しても、片耳豚の巨根は雌穴から離れない。延々と律動を繰り返す。中を搔き混ぜ、子宮口を狙い、摩擦し続ける。
「オラッ、俺のチンポが大好きなんだろ」
「そんなわけないでしょっ……くああぁ!」
片耳豚は前のめりになると、高速ピストンを繰り出してきた。ごりゅ、じゅちゅぅ、ズンズン、と深いところを叩く。
ねるの小さな身体は、玉のように飛び跳ねる。
「あぐぅぅ!ふは、あぁっ……」
ねるは子宮口を何度もノックされ、目を白黒させながらも確かに感じ始めていた。雌の最も敏感なところを重点的に責め込んでくる。
そんなねるを見た片耳豚がニヤリとほくそ笑んだ。太った腹を突き出すと、さらに速度を上げたのだ。
「オラオラ!なんでもないんじゃなかったのかよ!」
「あぎぃぃぃっ!?」
巨大な男根の凶行が続く。傷のある片耳豚にとって、ねるは憎しみの対象であり、孕み袋でしかない。
執念すら感じさせる凌辱に、ねるは頭がおかしくなりそうだった。
「ふは!や、やめぇ……あぁっ!止まりなさいっ!」
「うぉぉぉっ!!」
びゅるる、ビュクル、ドクドクン!膨れ上がった亀頭から、またも小種汁が噴出する。
再び子宮を媚薬ザーメンで満たされたねるは、背中を仰け反らせ、ガクガクと内腿を震わせた。悔しそうに顔をしかめる。
「んんっ、あ!あぁぁ……あ、熱い……」
子宮口が焼けたように熱い。ねるはまたも喰らった中出しが嫌悪でしかなかった。
「ぜぇぇ……ぜぇぇ……ま、また中に……」
「嬉しいだろ?お前のマンコは悦んでるぞ」
「くっ……」
ねるは怒りに拳を握り締めるが、媚薬を大量に出されたせいか、その手は細かく震えていた。
(身体が熱くなってきた……早く逃げないとまずいわ……)
こんなにも大量に放たれれば、妊娠してもおかしくない。魔物は妊娠させる力が非常に強い。一度で妊娠した女の子も少なくないのだ。
「イヒヒ。媚薬が回ってきただろ。俺のチンポを嬉しそうに締め付けてくるぞ」
片耳豚は勝ち誇ったように笑った。最強魔法戦士と言われていたねるが処女を失い、媚薬に侵され始める姿に、古傷の疼きも消えるようだった。愉快で笑いが止まらない。
「ゲヘヘ!こんなに面白いことはないぞ。チンポがほしいですって、ねだってみろよ」
媚薬が身体を巡っている。強靭な精神力でねじ伏せているが、余裕があるわけではなかった。
「ふざけないで!」
ゆっくりとねるが面を上げ、キッと片耳豚を睨む。赤くなった頬や潤んだ目には、凌辱のあとが色濃く残っていた。
「マンコは素直だぞ」
ねるの返事を促すように、片耳豚が秘部を掻き回す。
「くぅぅぅ!」
ねるは媚薬に侵され発情した体の反応を意志の力で抑えつけ、ゆっくりと口を開いた。
「んんっ!必ず殺してやるっ!?」
「ひひひ!!やれるもんならやってみな!」
片耳豚はねるの身体を持ち上げて肉棒から抜くと、そのまま放り投げた。
「ああっ!」
熱い身体がなすすべもなく、冷たい地面に転がり込む。
「ゲヘヘ。ブザマだな」
ゆらりと大きな影が落ちる。倒れ込んだねるを見下ろしていた。
起き上がろうとしたが、媚薬に侵された身体はいうことを聞かなかった。
「はぁぁ、はぁぁ……んくっ……」
「おお、お前の躾係がやってきたようだ」
ねるには暗闇しか見えなかったが、肌がヒリヒリと痺れる。魔物の瘴気を察していた。
「うぅ、どんな魔物だろうと……ぜぇ……ぜぇ……。私は絶対に負けないっ……」
気合を見せるが、手足はまだ思うように動かない。まだ、拘束された魔法が残っていた。くわえて、ひどく凌辱されたダメージは大きい。
「ゲヘヘ。チンポのことでも考えておけ」
片耳豚はそう言うと、笑いながらどこかへ行ってしまった。
凌辱の影響で震える脚に力を込め、よろよろと立ち上がる。秘部から子種汁が溢れ出し、太腿を伝い落ちる。
処女を奪われた屈辱、大量に中出しされた恐怖が蘇り、一瞬心が萎えそうになるが、魔法戦士のプライドがそれを抑え込んだ。わずかに回復した魔力を拳に込めて、ねるは瘴気の元を睨みつけた。
(負けない……ここから脱出して魔王を倒してみせる)
ねるがごくりと息を呑む。
背後に真っ黒い影が迫っていた。
すぐさま振り返ると……。
「キシャァァァッ!!」
複数の触手が襲いかかってきた。
ねるは妖力を込めた拳で迎撃しようとするが、大きく揺れた乳房から甘い痺れが走り、空を切ってしまった。
「しまっ……!うぐぅぅぅ!!」
すかさず、触手が口に入り込み、抜こうと伸ばした腕にも柔らかい感触が巻き付いた。
脚にも触手が絡みつき、股を広げられ、ザーメンを垂らし続ける秘部が晒された。
「ひゃめ……おごぉぉっ!ひゃめろ……んぐぅぅぅぅっ!!」
乱暴に引っ張り上げられた乳首に痛みが走り、ねるはふさがれた口から悲鳴をほとばしらせた。
口の中では粘液をまとった触手が暴れ、舌に身体を擦りつけてくる。鼻孔の奥までツンとするような苦みがあった。触手を抜こうと首を振るが、粘液は次々と溢れ出し、ついには喉の奥へと流れ込んできた。
(うぅ!!やめて!いや、こんなの飲みたくない)
逃れようと全身をばたつかせるが、触手の力は思った以上に強く、ねるの抵抗はすべて抑え込まれてしまった。
一瞬たりとも触れたくないほど触手の感触は気持ち悪かったが、意を決して噛みちぎろうと歯を立てた。
(か、噛み切れない……)
代わりに大量の粘液が溢れ出し、喉から胃へと流れ込んでくる。
「んん?んぐっ!ウグググッ……」
触手に嬲られた舌や大量の粘液を飲まされた胃の辺りが熱くなってくる。媚薬の効果が発揮し始めたことに恐怖したねるは触手を振りほどこうと、さらに手足に力を込めた。
そのとき、秘部に柔らかいものが触れる。
「ひっ!ひゃ、ひゃれなひゃい……」
片耳豚が残していった白濁が垂れている雌穴を、触手が狙っていた。先走り汁がポタポタと落ち、媚薬の効果が増幅して熱が高まってきた。
「んぐぅぅ、く、くりゅひゃっ……ジュル、んぐ、んむぅぅぅぅっ!」
ねるが腰をくねらせ、触手の侵入を阻む。入れさせまいと揺する腰が、いつの間にか媚薬で熱くなった秘部を触手にぶつけるように動いていた。
はっと気づいたねるは、慌てて触手から秘部を離したが、快楽を覚えた子宮がきゅんと疼いた。
(快感に負けてはだめよ!気をしっかり持つの)
触手をふりほどこうとするが、暴れるほど締め付けがきつくなる。腕や太腿はおろか、口内の触手もまたミチミチと責め立てた。
「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ずにゅうぅぅぅ!!ねるの決意を嘲笑うように、触手が膣穴を貫いた。
(あぁ、またあそこが……!き、気持ち悪い……)
片耳豚の男根とは違い、弾力のある触手が膣穴を自在に動く。しかも全体に粘液をまとい、秘部の隅々まで塗り拡げていった。陰唇は粘液まみれになり、残っていた子種と混ざり合って艶めかしく光っている。ねるが苦しそうにうめこうが、脚を震わせようが、延々と深いところを抉ってくる。
「放せえぇっ、このっ、ングゥゥ……じゅぽ!ジュズゥゥゥ、んぐぐぐっ……」
口に入り込んだ触手も、喉奥を犯すかのように激しく前後する。
膣穴からは快感が沸き起こっていたが、それ以上に喉を犯される苦痛にねるはもがき苦しんでいた。
(苦しいっ……うぅ、息ができない……おかしくなりそう……)
触手にしてみれば雌穴も喉奥も、まったく同じのようだ。ただただ突き上げ、掻き混ぜては歓喜する。呼吸を制限され暴れるねるをよそに、触手は歓喜しているようだった。
「んんっ!んんんんんんんっ!!」
ねるがビクンと全身を震わせる。引っ張り上げられた乳首を突然コリっと擦られたのだ。息苦しさの中、敏感な乳首を弄られたねるは思わず歓喜の声をあげてしまった。苦しみと快感。相反する感覚を同時に味わわされたねるは混乱し、触手を振りほどこうと身体をくねらせた。
「グジュ、ジュチュゥゥッ!んぐ、ジュル、ジュポポポ!!」
触手が急に速度を上げる。喉奥と子宮を突かれて、ねるの細身が反り返った。全身を締め上げる触手も同期しており、ねるは振動で目が回るようだった。
このまま触手に身を任せてしまえば、取り返しのつかないことになってしまう。ねるは自分を奮い立たせて、目に意志を宿らせた。
「んぐぐぅぅぅぅぅぅっ!」
心をしっかり保とうと、ぼんやりとした目を見開く。杖を呼び寄せるために残っていた妖力を集め、意識を集中する。
(今に見てなさい!これで……)
だが、妖力が高まったねるに興奮した触手は、さらに激しく前後させ、媚薬粘液にまみれた乳首を荒々しく摘まみ上げた。
「ひゃめ……んんんんんんっ!!ンンッ!んじゅぅぅ!!おごぉぉぉぉっ!!」
乳首からの快感で、集めていた妖力は霧散してしまった。
再び妖力を集めようとしても、そのたびに乳首を責められ、ねるは勝ち目のない消耗戦に追い込まれていた。
もう何度もこの攻防を繰り返していた。次第に体力を奪われるねると、延々と精力があふれる触手では結果は見えている。
「チュパチュパ……んじゅるるっ!」
触手が一段と膨らんではうねる、パンパンに張っており、さらに硬さを増していた。ずっちゅぅぅっ、ずずずっと、よりいっそう、獰猛に責めてくる。
陰部からは粘液や子種汁に代わって、愛液が溢れ出していた。
(うぅ……苦しい……息が……抵抗しないと……)
酸欠と快感でねるの思考はまとまりをなくしていく。
触手の先走りは、とめどなく延々と垂れてくる。片耳豚のように先端から滲むのではなく、常に触手全体から垂れ続けていた。
「んっ!?じゅうっぅ……じゅぷぷ、んぐぅぅ……」
もうどれだけ飲まされたのかもわからなかった。口、食道、胃での熱はさらに強まり、気を抜くとこの息苦しささえ愛おしいものに思えてしまいそうだ。
危険を感じたねるが粘液を吐き出そうとするが、膣穴を突き上げられるたびに、矯声とともに飲み込んでしまう。もうこれ以上飲みたくなかった。また媚薬の効果で発情してしまうだろう。特に敏感な乳首はじんじんと疼き、触手に絡まれながらも勃起していた。
「んぐ、じゅるっ……うぅぅぅ。これいひょうは……んぐぐ、じゅる……んぐぅぅ!!」
喉の奥までメチャクチャに犯されているにも拘わらず、ねるは快感だけを感じていた。
(我慢するのよ!このまま流されたら……魔王の思う壺にっ)
気付いたときにはもう遅く、触手が力強く揺れ始めていた。ズッパンズッパンと、喉奥と子宮口に高速ピストンを繰り出している。
「んぼぼぼっ……や、やめろぉぉっ……ちゅぽ!ちゅぽ!じゅるるるるぅぅっ!」
真っ赤に腫れた喉奥を責められ、同時に膣肉も圧迫されていた。
ずっちゅ、ずばずば、ずぽぽぽっ……最後に向かって触手が突き込んできたその瞬間。
「んごぉぉぉぉ!!」
ドクンドクンと脈打ちながら、喉奥に熱いものが流れ込んできた。
蜜壺の奥の触手も、先端を子宮口にピタリと張り付かせ、白濁液を撒き散らしている。まるで、タイミングを合わせたかのようだ。
「んごご……んんんんん、ゴクッゴクッ!」
続けざまに残滓までも、触手が解き放つ。
子宮も白濁で満たされ、熱を持った下腹部がわずかに膨らんでいた。呼吸ができない苦しさと、喉奥を何度も突き上げられた衝撃で、子宮がキュゥッと収縮する。
「チュルルルル……ンン、ううぅぅぅ……ゴクリ……ゴクゴク……」
夢現のままだったねるは、いつまでも流れ込み続ける粘液にはっと意識を覚醒させた。
媚薬に侵される恐怖に、首を振って触手を抜こうとするが、奥まで入り込んだものは簡単には抜けてくれなかった。それどころか、振り乱された髪が身体に触れるたびに快感が走り、ねるの恐怖が現実のものになりつつあった。
媚薬粘液は膣穴でも出続け、入りきらなかったぶんが触手の隙間からぼとぼとと零れていた。そのたびに気持ちよくなってしまい。ねるはビクビクと尻を震わせた。
「あ、あぐぐぐ……ごくり、チュプ……うぅぅ、しょんなっ……あ、うばぁぁ……」
発情した肉体に意識をもっていかれまいと耐えるねるを、さらに追い込むように触手が再び暴れだした。
気が付くと濁流のように白濁を注がれ、ごくごくと喉を鳴らしながら飲んでしまった。悔しくて情けなくて、思考が止まり、混乱してしまう。
「ングゥ!!ひゃめろぉ!ンブゥゥゥゥゥゥゥッ!ちゅぽ!ちゅぽ!ジュルルル、いいひゃげんにっ……ンゴゴゴ、しなひゃい……ズジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
肉体を媚薬に蝕まれていても抵抗を続けるねる。視界の端には、触手によって揉みくちゃにされる乳房があった。先端のピンク色の突起が、媚薬粘液まみれになりながら、執拗に責められていた。
(乳首もあそこも気持ちいいのが止まらない……このままでは身体を堕とされてしまう。早く触手から逃れないと……)
触手はそんなねるの決意など知ってか知らずか、再び喉奥と子宮に向けて白濁を吐き出した。すでに満たされていた胃にそれ以上入るわけもなく、逆流し、口や鼻から大量のは白濁が溢れ出し、ねるの肌や髪を汚していった。
「オゴォォォォッ!!グゥゥゥゥゥッ!!おぼれりゅ……じゅぼぉぉぉっ!」
ねるは呼吸が苦しく、意識が途切れそうになっていた。それでも気を失わずにいられたのは、皮肉にも乳首を責める触手のせいだった。敏感な突起をコリコリと転がされるたびに、頭の中が痺れるような快感に襲われ、ねるの意識を保たせていた。しかし、それもねるが絶頂し、快感に溺れてしまえば、淫獄への片道切符になるだけだった。
「チュパパッ、ジュル、じゅぽぽぽ、んぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
絶望的な状況だが、最後魔法戦士と呼ばれたねるは、正義感を胸に抗い続けた。
身体中が発情したねるは霞む視界のなか、瘴気の渦が近くに降りてきているのが見えた。見ているだけで嫌悪感を抱かせる渦の中心に光るものが見え隠れしていた。
「ふっ!!」
それは無意識の行動だった。触手によって拘束されていた右の手に妖力を込め、爆発させるように放った。
「グァァ!」
触手が一瞬、緩む。その隙にねるは飛び上がり、杖を呼び寄せた。
「ハアァァァッ!」
放たれた風の刃は渦の中心に存在していた何かを正確に切り裂いた。
「グギィィィィィィ!」
途端、金属を擦り合わせたような断末魔の悲鳴が辺りに響き渡る。
触手はねるを放し、のたうち回っていたが、その動きも緩慢になり、やがて動かなくなった。
「やった……!ま、魔法戦士を……甘く見ないで……」
残っていた妖力を使い果たしたねるは、もう意識を保つことができず、ゆっくりと目を閉じた。
「ううぅ……」
気絶していたねるが目を覚ました。
辺りを見回す。先ほど倒した触手の塊はすでに萎れ始め、形を失いつつあった。
危なかった。戦闘の積み重ねがなければ今頃は媚薬に溺れ、自ら望んで触手に犯されていただろう。
(大丈夫。私は戦える。魔王を……探し出してみせるわっ)
ねるは自らを鼓舞し、立ち上がった。洞窟の奥へと進んで行く。
狡猾な魔王が自分を放置するはずがない。必ずどこかから見ているはずだった。しかし痕跡はみつけられず、警戒しつつも歩き続けるしかなかった。
負けてたまるか……そう思いながらねるは前に進む。
「キシャァァァァァッ!!」
突然、左右から触手が飛びかかってきた。
いつものねるなら即座に叩き落とせる程度のスピードだった。しかし媚薬に侵された身体はコンマ一秒反応が遅れる。魔物との戦いではそれは致命的な時間だった。
「しまった!」
魔法を放つ前に魔物の接近を許した結果、衣服を破かれてしまった。むき出しになっていた乳首に魔物がめり込んでいる。
「あうぅぅぅ!!」
ありえない光景に、慌てて乳首に入り込んだ魔物を取り出そうとする。しかし、その行動はねるの失態だった。
「キシャァァァァッ!!」
続けて現れた触手に両腕を拘束され、上へと引っ張られた。
次の瞬間、痛みにも似た衝撃が両方の乳首に走ると、見る見るうちに熱くなってくる。
「い、いやぁぁ!!」
胸の熱感にねるは取り乱し、思わず魔法の杖を落としてしまう。
「しまっ……あひぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
激痛のあまり、叫ぶしかなかった。乳房の中で何かが動いていた。先ほど潜り込んだ魔物が暴れていたのだ。
「あふん!くあぁ……!で、出てきなさい!」
魔物が言うことを聞くわけでもなく、ねるは内側から刺激されて揺れ動くことしかできなかった。
次第に乳房は熱を持ち始め、それは徐々に快感へと変わっていった。
たいていの魔物は瘴気から想像できた。触手、亜人、獣……。多岐に渡る。戦闘能力の強弱もだいたい察知できる。だが、乳首に入り込むこの魔物は正体不明だった。
「……」
目を閉じて集中する。妖力が充填され、衣装が修復すると同時に、魔法の杖を呼び寄せた。
目を開けた瞬間、ねるは触手を振り払い、飛び上がる。
「はあぁぁぁっ!」
魔法を放った地面が削がれ、砂埃が舞っている。
「えっ……外した!?……んあぁぁぁぁぁっ!」
ねるが悲鳴をあげる。突然、ちぎれそうなほど両腕を引っ張られていた。足が浮きそうになるが、なんとか踏みとどまる。
同時にぐいぐいと胸を揉まれていた。服がまた引きちぎられ、なすすべがない。
「うっ……いつの間にっ……ンン!こんなに素早い触手が……くふ、んんんっ、いるなんてっ……ふああ!そ、そこはぁぁぁ……」
ねるが頭を揺らし、触手をはずそうともがく。
「くぅぅっ、え?乳首にっ……入らないでよっ!」
乳房の中で何かがうねうねと揺れているのが、はっきりとわかる。おそらく触手だろう。
「んっ……ふは!あぁぁっ、んんっ!ひぃぃぃ!?胸に触手が?あ、ああっ……なんてことをぉっ……私の身体……どうするつもりよっ……」
敏感な乳首にもその振動が伝わり、ねるは気が抜けてしまいそうだった。
「うぐぅぅっ……す、好きにっ……させるものですか……んんんんっ、早く出てよっ……くっ……気持ち悪いっ……」
胸の触手を振り払おうと上半身を揺さぶるが、意味をなさない。触手は乳房内に入ったままだった。がくりと膝が折れそうになる。
「んんっ、ふは、あふっ……ぼこって出てるぅっ、んんんっ、胸がぁぁぁっ……ヘンな形にっ!ふは、あ、あぁぁぁぁ……」
乳房の表面に棒状のでっぱりが、浮かんでは消えていた。目で追いきれないほどの速さである。苦痛のあまり、ねるが肩をこわばらせる。乳房だけでなく、全身のあらゆるところで這い回り、締め付けていた。
硬くなった乳首を揉みほぐされ、狂いそうなほどの快感が走る。硬く勃起し、ゴムのように伸びている。
「はぁぁ。はぁぁ……お、おかしいっ……私の……おっぱいっ、うぅぅ……ふは、あ、あんっ!!な、なにぃぃっ!?」
衝撃のあまり、ねるが声をあげる。目を見開き、唇でわなわなと震えていた。自分の身体に起きていることが、信じられなかったのだ。
いきなり乳首が膨らみだしたのだ。むくむくと風船のように膨張し続ける。
「どうなってるの!?ああ、胸がっ……ぐにゃぐにゃになっちゃうぅ!!」
ねるが喉を見せながら、乳房の劣情に耐えたその時だった。ついに乳房が数倍にまで膨れ上がったのだ。
「いやぁぁぁ……こんなでっかい胸にっ……ホントに私の胸なの……?」
丸くて白いふたつのものが、視界で揺れる。自分の胸だと思いたくない。こうも乳房が急激に膨らむわけがない。だが、乳首の快感もまた、胸の大きさに比例していた。
「んん……ふひっ、あぁぁ……」
乳房の中の触手が、コツコツと乳輪をつついてくる。ねるは未知の感覚に戸惑うしかなかった。甘ったるさを堪らえようと歯噛みする。乳房が大きくなったぶん、刺激も強くなっていた。肌がざわつく快感に、身をくねらせる。
「はぁっ……ヒン!」
乳房の中心から円を描くように、揉みしだかられていた。蕩けるような悦楽が湧いてくる。ハァと切ない溜息が漏れた。
(こんな胸になっちゃうなんてっ……これじゃ、バケモノじゃない……)
胸はひどく敏感になっていた。そこを狙ったかのように、巻きついた触手が大きな乳房を持ち上げてくる。風船のような胸が、ねるの顎にまで迫っていた。
「んうぅぅ!!うぅぅっ……な、中からっ、胸を揉むなんてっ……いやあっ……」
触手が先端を尖らせ、内側からもこりと乳房を押してくる。ねるのふっくらとした胸の中で、感触を楽しんでいた。ぐるぐると円を描くように、自由自在に蠢いている。
「はぁ。はぁ……うぅぅっ……ボールみたいじゃないっ……こんな胸っ……んんんっ、くぅぅ!最低よっ……ふああぁぁぁぁっ!!」
ねるが矯声をあげる。胸の先端が発熱していた。軽い火傷したように疼く。ねるはなすすべもなく、ただ唇を震わせていた。整った顔が次第に歪んでいく。
「ま、また触手がっ!?ああん、乳首にっ……あ、あふっ……入ろうとしてる!?」
触手の頭が乳首に入り込んでいた。中空で尻尾をフラフラとしならせ、弾みを付けている。中空を漂う不気味な様に、ねるは言葉を失った。
「もういやああっ!ふたつ入ってるのに……これ以上は裂けちゃうぅっ!ああぁ!」
触手はゆっくりと乳房に入り込んでしまった。中で触手が泳ぎ回る感覚が伝わってきた。複数が悠々と絡み合い、延々と回っている。
「ひっ……あ、ああぁぁ……また胸に入ってきてるぅぅ、うぅっ……え、抉れてるっ……ふあぁぁぁ……」
増えた触手がありありと目に浮かぶ。乳腺に絡みついて遊んでいるのだろう。ねるはあまりの状況に、歯がガチガチ鳴ってしまった。
「ふは!あぁぁ……ぶつかってるぅぅぅ。んっ……んん〜〜〜!」
入り込んだ触手がうっすらと肌に浮かぶ。長い棒状の形が見えた。
絶えず動いており、膨らんだ胸を揉みほぐすようだった。触手同士が引っ張りあったり、絡んだりしている。
「んううぅっ……ハッハッハッ……胸がっ……ああ、触手がぽこぽこ跳ねてるっ……ふああああああっ、ありえないぃぃっ……」
触手が速度を上げていた。ねるは乳首を撫でられたようで、脱力してしまう。少しでも快感を堪らえようと、懸命に背中を丸めた。
触手に内側から撫でられ、心臓がドクドクと踊る。ねるの本能を一方的に刺激していた。沸々と込み上げる劣情と、抑え込もうとする理性が、せめぎ合っている。
「うおぉぉぉぉぉっ!」
膨張した乳房がぶわりと波打つ。触手の表面にある細かな突起や吸盤までもが透けて見えた。熱湯でも詰まったかのように胸が熱い。中で何かがぐらぐらと煮えたぎっていた。「ふあ、ああふっ……む、胸がぁぁぁ……ぜぇぇ……ぜぇぇっ……破裂しちゃぅぅぅぅ、ふああああああっ!」
プッシャァァァッ、ねるが胸を突き出したそのとき、辺りに白い体液が噴射していた。
「あ、あわっ……ひぃぃぃ!む、胸から……何か出たぁぁ……ふあ、あぁぁぁぁ……」
ねるは大量の白濁を浴びてしまった。凄まじい勢いだった。なぜか鼻につく汚臭がない。むしろ甘ったるい良い香りがする。ねるがゆるゆると首を横に振った。
「ぜぇぇ、ぜぇぇ……これって……ま、ま……さかぁ……母乳?」
唇が震えて、舌を噛みそうになる。妊娠してもいないのに母乳を噴射するなどありえないことだった。それとも妊娠させられている?いや、勝手に乳腺をしつこく揉まれたからだろうか?ねるが唇を噛む。是が非でも後者であってほしい。
「い、いやぁぁぁっ……片耳豚か……触手の子供がお腹にいるなんてぇ……」
魔物は生殖能力に長けているだけではない。胎児の成長スピードが異常なケースもある。妊娠した直後に臨月に達したり、生まれた魔物がすでに大人と同等の生殖能力を持つこともあった。
「あ、あぁ……んんっ……そんなぁ……こんなぶよぶよのおっぱいにされて……う、うぅぅ……魔物の赤ちゃんまで……産んじゃうのぉ……」
ねるは打ちのめされていた。未だに触手は乳腺に絡まっており、ぐねぐねと揺れている。乳房の内側から胸を揉み、乳首をつつき、うろたえるねるを面白がっていた。
「ぜぇぇ、ぜぇぇ……んんっ、もうっ……やめてぇぇっ……あ、あぁぁぁ……」
ねるがくたりと倒れ込む。やや寄り目になっており、不自然に指先が震えていた。
拘束する触手が消えていた。魔王の命令で消えたのだろう。しかし、膨れ上がった乳房がビクビクと脈動している。乳首が痛むほど、感度が上がっていた。なんとかしたくて胸をまさぐるが、意味をなさなかった。心身ともに万策尽きた。
「……ん?うぅぅ……」
視界が二重になり、ぼやけて見える。大量に浴びた母乳には、媚薬効果のある触手の体液が混じっていた。
「ウゥゥ……目眩が……あ、あぁ……」
ねるが瞼をゆっくり閉じる。震えが全身にまで広がっていた。媚薬が回り、あちこちがむずがゆい。堪えるが、もはや気絶寸前だった。
ビクリと巨大な乳房がひくつく。黒い影が乳首の辺りに浮かんでいた。それが色濃くなり、乳首から触手がニュルリと顔を出す。
「んっ……うぅぅ……チクビ……あ、あぁ……」
ねるが眉をひそめる。朦朧としていても、乳房に違和感があった。
やがて触手は母乳を零しながら、つるりと流れ出た。続けて一体二体と現れると、中空へ吸い込まれるように消えてしまった。ねるの身体に満足したのだろう。
「……」
倒れたねるの乳房が徐々に小さくなっていく。触手と同時に、溜まった母乳も流れ出していた。膨らんだ胸は元のサイズに戻った。
ねるはそのことには気付かないまま、気絶していた。
「うーん……ここ……どこだろう……」
しばらくして目を覚ましたねるは、どこか、通路につながるところを探していた。
回復を待って探索を始めたため、正気が戻っていた。乳房も元に戻り、魔物は消えていた。ねるにとって心から喜ばしい出来事だった。
(……そうよ。いつまでもくよくよしてられないわ。できることをやらなくちゃ……)
魔王の思惑の範疇かもしれないとよぎるが、時間の許す限り、有効に使いたかった。
もしかしたら、魔法で壁を壊せるかもしれない。手をかざして集中する。
「うう……ダメか」
体力は回復したが、妖力は思わしくなかった。消耗の激しい魔法は使えないだろう。
辺りは暗いままだった。洞窟の広さすらよくわからない。
「んっ!あぁ……」
ふいに胸が壁に当たってしまった。ほんの少し擦れただけで、声が漏れていた。
ついさっき、胸が数倍にも膨らんでしまい、母乳を噴き出してしまった。以来、わずかな刺激でも悶えるほど、敏感になってしまったのだ。
(ぶつからないようにしなくちゃ。ふぅぅぅ)
気を取り直し、再び壁に手をかける。地道な作業だった。
冷静さを取り戻しつつある今、自分の暮らす街がどうなってるいるかを想像してしまう。魔法戦士がいないとなれば、魔物にいいようにされるだろう。そう思うと、いてもたってもいられなかった。
(急がなくちゃ。私のいないときを狙われたら、ひとたまりもない……)
最強魔法戦士であるがゆえに抑止力は大きい。不在となれば、歯止めが効かなくなる。
自分も魔物に辱めを受けた今なら尚のこと、つらさが骨身に染みた。
「ふぅぅぅ……ただの洞窟かと思ったけど……」
ねるが壁から離れる。壁の薄い場所を探っていたが、やはりみつからなかった。洞窟全体に魔法がかかっており、補強されている。
「対策済みというわけね。はぁぁ……どうしよう」
脱出する方法はないか、ねるが首をひねる。壁を壊せないなら、次はどうすべきか。妖力が復活するのを待つか。それとも……。
「きゃあ!!」
いきなり腕を引っ張られて、倒れ込んでしまった。
闇に潜んでいた凶悪な何かが、身体中に巻き付いていた。ふりほどこうとするが、あっけなく押さえ込まれてしまう。
「また触手!?んんっ。ふは、あぁぁぁぁぁっ!」
まるで蜘蛛の巣につかまった獲物のようだ。絡め取られ、徐々に動けなくなっていく。必死に抵抗するが、凄まじい力でねじ伏せられてしまう。
気がつくと、ねるは開脚させられ、羞恥極まりない格好で拘束されていた。
「ふは、ああっ……そんなところっ、来ないでぇぇぇっ!」
股間に圧力があった。何かが、ぐいぐいとアヌスにぶつかっていたのだ。ねっとりと濡れた粘液が棒状の形をしている。まるで透明の触手のようだ。
ねるが尻を揺らして逃れようとする。
「お尻なんてっ……冗談じゃないわ。くぅぅ、んっ……いやああぁぁぁ!」
身をくねらせ懸命に触手から逃れようとするが、ぴったりアヌスにくっついて離れない。
混乱するなか、両腕がぐいとあらぬ方向へと引っ張られる。
「ウゥゥッ……痛い、コレ……んっ!馬鹿力っ……はうぅ、う、腕が潰れるぅっ……」
白く綺麗な肌には触手が食い込んでいた。腹部にポタポタと粘液が垂れてくる。触手がまとっていたのだろう。付着したところが、くすぐったい。
「ううぅっ……ま、また……媚薬入りの粘液がっ……もうっ……ほんっとしつこいっ!」
ねるが振り払おうとするが抵抗にもならず、ただ下腹部へ垂れ続けるだけだった。なめくじのように股間へと粒が滑っていく。
「ああんもうっ……ヘンなところにいかないでよっ……くっ、うぅぅ、んんっ……ふは、あぁ……ひひ、耳が……んんっ!」
粘液は耳の辺りだけではなく、鎖骨や首筋、腹にまで流れていた。触手が狙って落としたのだろう。当然、もっとも敏感な胸にも伝わっている。
「んんんんんんっ!!」
ねるが唇を噛む。胸の快感は、想像以上に強くなっていた。片耳豚の言う通り、淫乱に近づいているかと思うと、いたたまれなくなる。
「ひぎぃぃ!?」
ねるが目を見開き、ガクガクと震えだす。あろうことか、硬いものがアヌスに侵入しようとしていた。明らかに切っ先が菊座をこねている。
「やめてってばっ……お、お尻になんて……くふ、ううぅぅ、入らないでっ!」
触手がアヌスにぶつかるたびに、怖気で背中がゾワゾワ震える。処女喪失して間もないというのに、乳房を膨張され、今度は排泄器官までとは、悪夢の連続だった。
「うぅぅっ……来ないで来ないでぇぇっ……だめぇぇぇっ!」
ねるが絶叫した瞬間、ずっじゅぅぅぅ、と触手がアヌスの中へと突き進んでいた。硬いゴムが伸びるように、アヌスがじわじわと広がる。
「う、っぐぐぅ……入って、くるなんてぇ……」
ねるが苦しそうに顔をしかめる。下半身が引き裂かれたようだった。
アヌスに挿入した異物が少しずつ揺れだす。
「ひいぃぃっ、出ていってよっ!くはっ……あ、ああ……はうぅぅぅぅっ!」
背中に冷たい汗が流れ、鳥肌が止まらない。触手が抜き差しするたびに、吐き気が込み上げる。力強いひと突きに、雄性を感じてしまう。直腸の深くを掘削するようだった。
「あ、あふっ!うぅっ……んんっ、ぜぇぇ、ぜぇぇ……くふぅぅぅ、お尻がぁ……」
ねるが苦しくて半目になる。ぶれた視界には、アヌスを犯す触手が映っていた。予想外の光景にねるが息を呑む。目を凝らすが、やはり変わっていない。
「んんっ!クゥゥ……ふは、あぁぁぁ……ポカンって……んんんん!あ、開いちゃってるぅぅぅ……ふは、あぁぁ……」
透明の触手に広げられた、真っ赤なアヌスの内部がわずかに見えていた。粘液をビシャビシャと散らしながら、激しく中を掻き回している。ねるはグロテスクな自分の下半身に、震え上がってしまった。
「あ、あはっ……透明なっ……んんっ、触手がぁっ……ひぃぃぃぃぃ!!どんどん……中に入ってくるぅぅ……」
押し広げられたアヌスは、クパクパと収縮していた。ねるが腹を突き出しながら、恐怖に顔をしかめる。自分の身体と思いたくなかった。硬く熱い肉棒が、確実に直腸を侵食していた。内部のヒダまで擦れて、腫れ上がっている。
「ふは、ああっ……奥にっ……ん!んんんんんっ、そんなぁぁっ……フヒィィィィッ」
苦痛に喘ぐねるを嘲笑うように、触手がピストン運動を繰り返した。どれだけねるが叫んでも、堪えても律動は止まらない。
混乱が加速するなか、ねるは抵抗が薄れていた。あれほど苦しかったアヌスが脈動している。
「あぁぁ……んんっ……お、おお、お腹がぁぁ……ひぃぃぃっ……膨らんでるっ!?」
引き締まったへその辺りが、波打つように膨らんでいた。
透明な触手は、容赦なくねるの体内を駆け上がっていた。アヌスから直腸へ、そして下腹部から上半身へと着実に逆行している。
触手の貫通したところが熱くて、妙にくすぐったい。おそらく媚薬をまき散らして、内部から発情させているのだろう。ついさっきの、乳房の触手と同じだ。
「んんっ……うぅぅ。お腹の……ぐは!な、中なんてぇ……卑怯よぉぉっ……」
ねるを押さえ込み、アヌスという敏感な粘膜を擦り上げ、腹の中でざわめく。最強魔法戦士だろうが誰だろうが、もはや関係ない。体内への一方的な凌辱だった。
「ハァ、ハァ……んっ!!最低よっ……うぅっ……吐きそうっ、ふは、うぅぅ……」
ねるは目を血走らせながら、拷問のような苦痛に堪えていた。
腹部の膨らみがじわりと胸の辺りへと移動している。触手がブルリと体内で跳ねた。恐ろしい魔物が、ねるの中で遊び回っている。それも臓腑を抉るように。
「うぐぐぐっ……ぎもぢっ……わる……うが、あがっ……んっ……ウゲェェ……」
ねるが舌を見せながら、えづこうとした瞬間。
「んぐぅぅぅっ!!」
ねるの腹部が空気でも入れたように、急激に膨らんだ。
地獄絵図だった。自分の身体が尋常でないほど、おかしくなっている。
「あ、あがっ……息がれきなひぃぃぃ……うぅぅっ……ろうなっちゃってるのぉ……こ、これぇ……私ぃぃぃ?」
瞳がブルブルと震える。妊娠したかのように腹がパンパンに膨れ上がっていた。
ねるが歯を食い縛って恐怖に耐える。ドッドッという、ありえない鼓動が聞こえていた。硬直していたねるが、がくりとうなだれる。
「ぜぇぇ、ぜぇぇ……おにゃかのぉぉぉ……しょくしゅがぁぁぁ……どろどろをっ……」
半ば放心しながらも、ねるは自身の変化に気付いた。
体内を泳いでいた触手が、じゅわりと温かな粘液を吐いたのだ。生ぬるいお湯を飲み込んだ感触に似ていた。
「んん、うぐ、うぅぅっ……これ以上……だめぇぇ、うが、あぁぁ……んぶぅぅぅ!!」
ねるがゆっくりと顎を上げる。喉の辺りに瘤ができていた。そこで触手が絡み合い、蠢いているのが浮かんで見える。このねっとりした動きや熱感。雌をただのおもちゃとしか思わない残虐さ。まさしく魔物だった。
「ふぎぃぃぃ〜〜〜〜っ!押さないれっ……うがががが、んぐうぅぅぅぅぅぅっ!」
触手が絡み合い、伸縮を繰り返す。喉の辺りの肉壁を擦り、粘液を塗りつけていた。ねるの喉奥をまるで女性器のように責め立てる。ずっちゅうぅぅ、ズリズリ、ズリュゥゥ、と硬いものがぶつかり合うように。
ねるがくわっと目を見開く。白目が赤く充血していた。
「ふぐぅぅ……お腹のっ……んぐぐ、じゅぷぷぷっ……しょくしゅがっ……押し出されりゅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
グポポポポッ!ひどい吐き気の後、熱い塊が口から飛び出していた。
ねるの視界に、うっすらと透明の何かが映る。棒状のようだが、液体にも思える。ぼやける目を凝らし、瞬きを繰り返していたねるが愕然とする。
「んごご、あがっ……これはっ……透明のっ……んごごっ……しょくしゅぅぅぅ……」
アヌスから入った透明な触手が、ついにねるの体内を貫通し、口から現れたのだ。
「うぐ、あぁ……んうぅぅ、水で……じゅる、んぐ、れ、れきて……いたんらぁぁ……」
涙と唾液が溢れてくる。喉を塞がれて、呼吸がままならない。
わずかに残る理性が、正体を突き止めていた。目に見えないほどの極小の魔物が粘液をまとったまま、棒状に固まったのだろう。たっぷりと媚薬の含まれたものが、そのまま触手のように体内を巡り、じわじわと溶け出したのだ。ねるが体内で感じた媚薬は、この粘液そのものだった。
「うっ……うごっ……んん!なんてことをぉ……んぐ、おひりからっ……んん、んごっ、ゴフゴフッ……おぐぢまれぇぇ……」
ねるは想像しただけで、発狂しそうだった。アヌスから胃腸を巡り、中を媚薬入りの粘液で満たしたのだ。ついには喉奥を通過し、口から外へ出たときにはもう、媚薬漬けを完遂していた。
「んごぉぉ!んぐうぅっ……ぐるじっ……はちきれるぅっ……あがっ……うあぁ……」
ボタボタと粘液が顔に落ちてくる。口から頭を出した触手が急激に溶け始めたのだ。鼻や口まで粘着質のもので濡れてしまう。氷が溶けるように、いつまでも垂れてきた。
腹は未だに膨らみ続けている。呼吸も苦しい。このまま、息絶えてしまうのだろうかと思ったそのとき。
「ぎゃはは!いい格好だな」
傷のある片耳豚が再び現れた。この片耳豚の執念深さは相当なものだ。
ねるは吐気と怖気をどうにか堪え、片耳豚を睨み付けた。
「そんなに睨むなよぉ。この痛そうな腹を治してやろうと思ってるのによ」
そう言って、体液と触手で膨らんだ腹をいやらしい手つきで撫でまわしてきた。
「うぅ!ひゃわるな!」
「遠慮するな、よ!」
ねるの無残に膨らんでいた腹に、片耳豚は拳をめり込ませた。
「うぐぅぅ!!」
突然の暴力にねるは目を白黒させたが、すぐに力を取り戻し片耳豚を睨みつける。
「いたぶってるわけじゃないぜ。出っ張った腹を治してやると言ってるだろ?」
「うごぉぉぉぉぉぉっ!!」
二度目の衝撃にねるは体をよじる。痛みで歯を食いしばりそうになり、そこでハッと気づいた。
(こ、この媚薬の塊みたいなものが、身体の中で弾けたら……)
口から肛門まで、体内のすべてを媚薬まみれにされることを想像し、ねるは怯えた。
「ひゃは!気づいたか?腹に力をいれておけよ」
「ひゃめ……んごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!んんんんんっ!!」
ねるが血走った目を見開く。片耳豚がねるの腹部に拳を叩き込んできたのだ。カエルのように膨らんだ腹を狙いすまして再び繰り出される拳。
ねるは体内のものが壊れないように、腹筋に力を込めて耐える。腹部に青あざがいくつも残されていった。
「ぎゃははははは!おら!綺麗な色になってきたぞ。もっと!もっとだ!」
(お腹が……息が……)
酸欠で朦朧とし始めたねるは、徐々に力が抜け、衝撃で体内の触手が壊れそうになっていた。
「うぐぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
力の抜けた腹部に、片耳豚の拳が深くめり込んだ。
衝撃で目をむいたねるは、腹部が変形するのを直視してしまった。
「ひゃ、ひゃだ……」
アヌスの内部が壊れていくのもわかった。次の瞬間、体内で熱が爆発した。
「ああああああああああああああああああああっ!!」
何が起こっているかねるにはもう理解できなかった。アヌスから媚薬粘液が噴き出していたが、もうそれを気にする余裕はない。
「ぎゃははははは!最強魔法戦士の無様な噴水だぜ!」
腹を抱えて笑う片耳豚の声もねるには届いていない。白目を剥いたまま壊れた人形のように、めちゃくちゃに身体を暴れさせていた。
「うぅぅぅっ……ぐふぅぅっ……」
あまりの暴力にねるが身を白黒させる。殴られた痕がありありと残っていた。殴打され、体内を抉られるような痛みにねるが身をよじらせる。
「ごぽぽぽぽぽぉぉぉぉ……」
ついには口から水が噴射した。透明の触手は、水風船が割れたように液体に変わっていく。拳を受けた衝撃で、体液をつなぐ粒子が壊れたのだろう。
意識が朦朧とするなか、妙に下半身が生ぬるい。ぼやける目で追っていく。
「んぐ、うるるっ……おしりぃぃぃ……う、うぅぅ……こわれちゃったぁ……」
肛門からあふれ出た粘液が、太腿を伝い地面に流れ落ちていた。じわじわと広がり、大きなシミができていく。
「ぎゃはは!おいおい漏らしまくりじゃないか」
「ぶはっ!あ、あがががっ……ひんっ!!」
ねるが眼球をぐるりと回すと、不自然に手足を痙攣させ始めた。だらりと舌が見えており、意識が朦朧としている。奇妙にも視点が合っていない。
「あ、あふっ……まさか……」
味わったことのない快感が、瞬く間に全身へ広がっていった。まるで、全身が超敏感な性器になったようだ。乳首もクリトリスも限界まで勃起していた。
「げへへ、がはは!あははは!こいつは愉快だ。笑いが止まらん」
アヌスから口内に至る臓腑の感度までも、上昇している。ねるの腰が意志とは無関係に、ゆるやかに揺れていた。
「お前、絶頂してるんだなぁ。くく……イキ顔さらしまくりじゃないか」
「うぅぅ……あ、あは……」
吹き飛ぶような高揚感に、興奮が止まらない。細い肩がピクピクと震える。とうとう限界を超えてしまった。ねるは薄れる意識の中で自覚した……これが絶頂だと。
「がははは。あははは!!よかったなぁ。イキまくりでさ。くくく。あはは……」
「うううう……ああぁ……」
「ああそうだ。いいこと教えてやろう。お前がここへ来てからのことはな。全部記録に残してあるんだよ。くくくっ……」
「……」
ぼんやりしていたねるが、ぴくりと眉を寄せる。
「くくく。あーっははははは。魔王様も粋なことをなさる。くく……ははははは……」
ようやくねるは意味を理解した。魔王がねるの痴態を魔法で記録したのだろう。いわゆる動画撮影のように。きっと今も……。
「う、嘘……私のエッチなところ……が……あ、あぁ……」
ねるはそうつぶやくと、ぐったりとうなだれてしまった。
動画撮影されれば、永遠に記録が残る。どこにだって流出する可能性があるのだ。
「くくく。あははは!あっはははは」
片耳豚の笑い声が辺りに響く。相変わらず、耳障りなほどけたたましい。
だが、それも次第に遠ざかっていった。