第26話
止まってから2分後、アナウンスがあり動き始めた。
どうやら電気トラブルだったらしく慌てた係員が間違って非常停止ボタンを押してしまったようだ。
無事にホームまで帰ってくると安心感が湧いた。
とりあえず降りて帰ろうと思った時に係員が来た。
「この度はコチラの不備でご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。お詫びとしてホテルの1泊2日無料券をご用意していますので受け取ってかえってください」
はて、この遊園地にホテルなんてあったっけ。ホテルがあるのなんてディズニーランドぐらいだと思ってた。詳しくは知らないけど。
結局、どこのホテルかの説明もないまま、どこかへ行ってしまった。
ゆりあの様子が気になり横を見てみるとゆりあは鏡を取り出し髪型をチェックしていた。
「ねー翔ちゃん?私の髪型、変じゃない?」
「変じゃねぇよ。たぶん」
「ほらぁ、またそうやって見ずに返事するぅ」
っち、バレたか。
仕方なく、ゆりあの方を振り向いた。
パッと見たところ特におかしいところはない。
「んー大丈夫、大丈夫」
「大丈夫じゃなかったら許さないからね」
そう宣言すると、ゆりあは再び鏡でチェックしていた。
「でさ、結局ホテルってどこの事なの?」
どうやらゆりあも同じ事を思ったらしい。
「しらん。このあたりにホテルなんて・・・」
「ホテル?ラブホテルならいくらでもあるじゃん、このあたり」
まさか、まさかね。行っても休憩しかしないよね。絶対。そうだと信じたい。
言われた通りに宿泊券をもらったい裏に書いてある住所を確認しスマホで検索にかけてみた。どうやら、普通のホテルみたいだった。念のため、そのホテルの名前を検索してみると普通のホテルだった。どうやらお詫びなだけあって結構高級な感じのホテルらしい。
「ねぇ翔ちゃん?このホテルって今日泊まるの?」
「アホか。明日学校だぞ。泊まるのは来週にでも泊まったらいいじゃねぇか」
「ふ、ふたりっきりですか!?」
何を驚いているのだろうか。誰も2人っきりなんて言ってないし、なにより最初から一緒の部屋に宿泊するつもりなんてない。
「あ、もしかして翔ちゃん、バカだからちゃんと読んでない感じ?真ん中ぐらい読んだらすぐ分かるよー」
俺は言われた通りに読んでみた。どうやらカップル限定らしい。しかも同室。
「残念だが俺には素敵な彼女がいないんでな。誰かに譲るかー」
「えっ?その時だけカップルのフリでもしとけばいいじゃん?」
「えー勘違いされたら、めんどくさい」
「じゃーちゃんと正式に告白したら付き合ってくれる保証付きなの?」
一瞬、俺は言葉を失った。