第24話
ゆりあの家のチャイムを鳴らすと、すぐにゆりあが出てきた。どうやらすでに玄関で待機していたようだ。
「やっほー。あれ、どうしたの?」
「あ、いや、なんでもない。気にしないでくれ」
口が裂けてもゆりあの私服姿に一瞬、見とれてたなんて言えない。
黒を基調としたワンピース姿がどうもよく似合っている。
「なるほどー。私のワンピース姿に見とれてたんだなー」
心読まれた。
「これだから男の子の前でこの服着たくないんだよなー胸ばっかり見てくるし」
断じて言う俺は見ていない。決して。
「さ、さてそれじゃあ早速行こうぜ!」
あまりこの話題を引っ張り過ぎると、ゆりあの胸元がどーたらこーたらで1日が終わってしまいそうなので話題を変えて遊園地に行くことにした。
自宅から徒歩で20分程歩いたところにある遊園地は、やはりオープンして日が浅いせいもあって人が多かった。
「うわーっ やっぱ人多いね。ねぇ見てジェットコースターなんて1時間待ちだって」
ゆりあが指差す方向を見るとホントに1時間待ちだった。世界一長いだけあって、待つ時間も長いらしい。そして遊園地内に入るまでにも時間がかかりそうだった。
「まー乗るんなら、それなりの覚悟が必要だぞ、これ」
「別にいいんじゃん、どうせ今日はまだまだ時間あるし。ここの営業時間22時までだし」
「ゆりあ、お前どんだけこの遊園地にいる気だよ」
「そりゃもう全てのアトラクションを制覇するまでに決まってるじゃん!」
どうやら今日の晩ご飯は遊園地で済ますことになりそうだった。っていうか、こんだけ広いのに全部のアトラクション1日で制覇なんてできるのだろうか。確か聞いた話によれば20個以上のアトラクションがあるとか・・・。
そしてほとんどのアトラクションに待ち時間があるだろうから・・・どうやら休みなく回ることになりそうだ。
入場門前にできた長蛇の列に並び続けて40分。やっと俺たちも遊園地内に入る事ができた。これはもう絶対に1人では来たくない。そして今度来るときには何かしらの暇つぶしを持ってこよう。
「ねー翔ちゃん。どれから乗るの?」
確かにそこは迷う。だからって俺に聞かないで欲しい。
「俺に聞くなよ。遊園地なんて初めて来たんだからな」
「へー意外だね。翔ちゃんの事だから小さい頃なんて暇があれば行ってると思ってた」
「んな訳ねぇだろ。近くに遊園地がなかったから行く機会がなかったんだよ」
「へー。ディズニーでも行けば良かったのに。そんな事より結局どれ乗るの?」
「よしじゃあオススメでも聞いてみようぜ。そこの常連客っぽい人に」
俺は見た感じで常連客な感じがした男性に声をかけオススメを聞いてみた。
そして気づいた。ここの遊園地でオススメと言ったら、あのジェットコースターしかないだろう。もちろん、それ以外のアトラクションがいいという人もいるだろうが大抵の人間はあのジェットコースターだろう。
結局、一番列の少ないアトラクションから回ることになった。