第22話
「・・・あれ、うまい・・・」
正直な感想がこれだった。臭いこそアレだが味はなかなかのものだった。臭いさえなければ素直に美味しいと言える。
その感想を聞いた部長がおかわりを作り出した。そしてすぐそばにいたハゲ先輩に渡した。
「ハゲも飲んでみろよ。うまいらしいぜ?」
「い、いやでもよぉ・・・めっちゃ臭いぜこれ?」
「大丈夫だって。良薬はなんとかって言うだろ?」
部長の曖昧知識も飛び出したがハゲ先輩は腹をくくったらしくグラスを手に持つと一気に飲み干した。
全部混ぜドリンクを一気に飲み干したハゲ先輩は一瞬迷うような表情を作ってから言った。
「うん、うまい。うまいんだけどなんだか・・・ちょっとトイレ」
どうやら美味かったようだがハゲ先輩は1人でトイレへと向かっていった。ハゲ先輩の反応を見た部長はまたしてもおかわりを作ろうとしたが長い髪の女子、ハゲ先輩の彼女の北澤早紀が止めにかかった。すると、女の子には弱いらしい部長はおかわりを作るのをやめた。
結局、ハゲ先輩が帰ってきたのは焼肉パーティも終わり店を出ようと準備をしていた頃だった。ハゲ先輩曰く、あのドリンクは超即効性の便秘解消薬であり禁断のドリンクらしい。
「マジであれ即効でくるからトイレ入ってから使用すべきだ」自らを犠牲にして体感した事を男子部員全員に伝えてから先輩は彼女の元へと向かっていった。全員の帰宅準備が終わったところで部長が全員をもう一度席に座らせ店内にてミーティングを始めた。始めたまではいいのだがどうやら話す内容もないようなのですぐに解散となった。もちろん支払いは部長の金と書いて部費と読むらしい金で払ってもらった。
店の外に出るとすでに日は落ちていた。店に入ったときはまだ明るかったのでかなり長い時間いたようだ。そして春にも関わらず寒い。俺はあまりに寒いので少し小走りになって駅に向かっていたところをゆりあに捕まえられ一緒に帰ることになった。