第13話
俺は夕食を作っている母さんを横目に見ながら2階の自室へ入った。
ドアの向かいにある窓を見るとお隣さんの部屋のカーテンが全開だった。
いつもなら気にせず着替えてベットにダイブするか母さんの手伝いに降りていたが今日はじっくりと観察していた。決して覗きではない。決して。
しばらく観察しているとゆりあが部屋に入ってきた。
そしてそのままカーテン全開で着替え始めた。高校生という思春期の中にいる俺はその様子を机に隠れてじっくりと見ていた。
結局、ばれなかった。
着替え終わったゆりあがカーテンを閉めようとコチラ側を向いたときにやっと気づいていただけたようだ。
ゆりあが窓のカギを開け始めたので俺もそれにならって窓のカギを開けた。
「翔ちゃんと家がとなりなら部屋まで隣だったかー」
窓に肘を置きながらゆりあが言ってくる。すでに陽は落ちているので外は暗い。
「そうだな。それよりも着替える時はカーテンぐらい閉めたほうがいいぞ」
「えー見る人なんていないからいいじゃん」
「ここにいるだろうがどう見ても」
「えっ翔ちゃん覗くの!?変態・・・」
「覗かねぇよ。これはあくまで警告だ警告。次からは知らんぞ」
心の中で、見ちゃいましたごめんなさい、と謝っておいた。
「まーバカの翔ちゃんなら覗きなんてしないよね。したら・・・ふふ」
ゆりあが恐ろしい笑みを浮かべながら言ってくる。
「の、のぞきなんてするわけがないだろ?それは変質者のやることだ」
「そうだよねーあのバカが覗くわけないもんねー。あ、ご飯だ」
ゆりあがごはんに呼ばれると同時に俺もご飯に呼ばれた。
「ちょうど俺も飯だわ。んじゃな」
「うん、バイバーイ」
電話を切るような喋りになったがまぁ気にしない。
俺は窓を閉めカーテンも閉め自室を後にした。