第1章〜出会い〜
第8話
無駄に広い校舎から職員室を探し当てるのにかかった時間、実に5分。
昔から方向音痴が治らない俺にはこんな広い校舎は似合わない。
とりあえず職員室のドアの前に立ち一度深呼吸してからドアを開けた。
「山本先生いらっしゃいますかー?」
「どうした?今は部活時間のはずだが」
流石、体育教師だ。かなりがっちり・・・あ、これ脂肪かな。
「ちょっとお伺いしたことがありましてですねぇ・・ちょい時間いただけます?」
「ほう・・・いいぞ。言ってみ?」
「ここじゃあれなんで生徒指導室なんてどうです?」
「あそこは今使えない。そうだな・・・カウンセリングルームでも使うとするか」
俺は、そうですねと答え山本先生の後ろをついていった。

やたらクネクネと校舎を巡った末にかなり端っこにあるカウンセリングルームについた。
山本先生がカギを開けると中は異様な雰囲気をまとっていた。
これはカウンセリングルームというより本物の生徒指導室ぽかった。
山本先生が手前の椅子に腰を下ろし俺は反対の椅子に腰を下ろした。
「それで?用件はなんだ?時間がないから早めに頼むぞ」
「そうですね。なら単刀直入にお聞きしましょう。先生、あなた木崎ゆりあの頬を叩きました?」
山本先生の表情が一瞬変わる・・・がすぐに戻る。
「なにを言ってるんだお前は?教師が生徒に暴力をふるってどうする?」
「それじゃ先生はさっき言ったことを否定なさるんですね?」
「もちろん。そんなことはしてないのだからな」
・・・簡単には口を割らないか。と思わず刑事ドラマ風に考えてしまった。しかしこうなったらどうしようもない。時間をとってすいませんでしたとでも謝って撤収するか、他の手を考えるか・・・

ふとドアの方へと目線を向けると少し開いたドアの隙間から誰かが覗いているのが見えた。
わずかな隙間からでもわかる大きな目と丸い輪郭。それだけで俺には誰かがわかった。
ゆりあだった。
今日、学校に来てから絡んだのが、ゆりあと目の前にいる先生と戸賀崎先生だけだったからだ。これで男子生徒とかだったらちょっと・・・
そこで俺はいい案を思いついた。

「先生?もし俺がここでその叩かれた木崎ゆりあご本人をここに呼んでも否定します?」
「あぁ否定するとも」
「あ、そーですか。なら呼びますねー。・・・ゆりあ。覗いてないで入ってこいよ」
山本先生の顔がマジで!?みたいな表情に変わった。恐らくビンゴのようだ。

「あちゃーバレてたかー」
まったく緊張感のない口調で入ってきたゆりあは俺の横に椅子に座った。

「はーい。先生これでも否定しますー?」
「くっ・・・してない!コイツを連れてきたところでなんだっていうんだお前は!」
半ば叫ぶような声で山本先生が声を上げた。
「ゆりあ。ほっぺの痕見せてやれよ」
そういうとゆりあは頬を隠していた手を退け先生に見せつけていた。
「せんせー私の白いほっぺたに赤い痕つけるなんてサイテーですね」
緊張感皆無のゆりあの喋り方は流石だと思った。状況を把握してないバカかもしれないが。
ついに山本先生が沈黙した。俺は勝ちを確信した。

■筆者メッセージ
はい、Aliceです。

・・・書くことないです。
感想お待ちしております。
Alice ( 2013/12/06(金) 17:42 )