第1章〜出会い〜
第3話
担任が教室に入ってきた。年は50代ぐらい、髪の毛はフッサフサ。背筋は曲がっておらず姿勢はよかった。
担任が教壇の前にたつと少しざわついていたクラスの面々も静かになりゆっくりと口を開いた。
「私がこのクラスを担任することになった秋元康です。もちろんご存知ではあると思いますが私はこの学校の校長でもあります」
クラスが一瞬どよめく。もちろん俺も驚いた。今この場所で始めて校長の名前を知った。ってかなんで校長が俺のクラスの担任してるんだよ。
怖いもの知らずの生徒が挙手をしつつ質問をした。
「先生!いや校長先生!なぜ貴方はこのクラスの担任なんですか!?」
「理由・・・ですか、そうですね。簡単に言えばこのクラスには特待で入った男子生徒だけが集められ女子に関しては受験時の点数で上位5人もしくは下位5人がいるからと言っておきましょうか」
この校長は優秀な人材もしくはバカを集めたこのクラスを自分の手で指導したいという好奇心的なものでこのクラスの担任になったのだろう。なにかと自由な学校だな。
女子はこのクラスに上位5人と下位5人がいるということになっているが恐らくゆりあは下位の5人に入るのだろう。自分でバカって言ったからな。
男子の中で入学時ワースト1位探しが始まっていたが校長が口を開くと静かになった。

「私の担任するクラスの生徒になったからには体育祭で全学年総合優勝していただきます」

思わず口から えっ・・・って言葉がもれてしまった。
この高校は3年制の高校なのでもちろん1年から3年まで学年が存在するわけだが、この校長は2年3年の先輩たちを倒して体育祭で優勝しろといっているのだ。
「せ、先生!俺、この学校で1年生が上級生に体育祭で勝ったことが1度たりともないと聞いたのですが!」

「はい、1度もありません。そのなかで優勝していただきます」
今度こそクラス全員が絶句した。今まで誰も勝てたことがない上級生に勝てるはずがない。
しばらくクラス全員が沈黙しているとまた校長が口を開いた。
「ですが我が校の体育祭は陸上競技がメインで行われます。そしてこのクラスには中学3年間、100mと200mで全国覇者の座から落ちたことのない生徒が1人います」
再びクラスがざわめく。恐らくこの校長が言っている生徒のことは俺なのだがバレるまでは隠しておくことにした。違ったら恥ずかしいし。
そこまで考えると隣でゆりあが囁いてきた。

「もしかして、あの人が言ってる生徒って霧崎くんのこと?」

「た、たぶんな」

「へぇ・・・そうなんだぁ・・・ふーん」
興味深そうにゆりあが視線を注いでくる。しばらく観察されたあとでゆりあが発言した。

「校長先生!もしかしてその人ってこの人ですか?」
ゆりあが俺のほうを指さしながら校長先生に問うた。
「いかにも。そのマヌケそうな生徒がその人です」
未だかつて人にマヌケと言われたことがなかったのでかなりダメージを負ったがなんとか持ちこたえられた。
「まぁそんなわけで最強の子がこのクラスにはいます。彼を最大限に生かして頑張って優勝してください。優勝した暁には何かプレゼントを用意しましょう。できなければ・・・まぁそれはそれで」
それだけ言うと校長改め5組担任、秋元康は教室から出て行った。


■筆者メッセージ
気づけば日にちが変わってた。明日学校だわ・・・いや今日か。
とりあえず次回の分までは書けました。これからまた受験勉強やらなんやらで更新は遅くなります。

感想やコメントお待ちしております。
Alice ( 2013/12/02(月) 00:12 )