君に出会えたから - 第1章〜出会い〜
第2話
2012年4月 俺は龍ケ崎高校に入学した。
公立高校なので教科書などは無償配布だがそれ以外は自己負担であるが俺は特待生で入学したのですべてを学校側で負担してくれている。
特待生ではなく普通の一般入試で受験し合格した生徒はやたらとお金が必要になるらしい。一般入試で入ってくるのは女子だけらしいのだが。

俺がこの高校への入学を決めたのは隣の県で何かと近かったからという理由のほかにこの高校がある地域の人たちに“魔の城”と呼ばれている理由が知りたいという単なる好奇心に負けて進学を決めたというのもある。
なにはともあれ大の苦手である勉強をせずして入学しこれからも大好きな陸上競技がしかも強豪高校でできるとなると胸が踊った。

この学校には寮がないので全生徒が電車や自転車などで通学したり近場まで引っ越してくる生徒もいる。俺も例外ではなく隣の県から電車に乗って通学している。最寄駅からこの学校までは徒歩10分程度。

そして今日が魔の城通学1日目。入学式である。
今年の入学者数は男女で200人 男子が150人 女子が50人。
俺は龍ケ崎高校の校門の目の前に立ったが地域の人々が魔の城と言って恐る理由がなんとなくわかる気がする。 とんでもなくでかいのだ。
野球場やサッカー場、そして陸上競技場などこの学校に存在する全部活動の活動場所が完備され野球場はドーム球場、サッカー場と陸上競技場は屋根完備だ。
恐らく全国どこの学校探してもここまでスポーツに力を入れているのは間違いなくここだけだろう。工費が総額いくらになったのかは想像もつかない。
俺は意を決して校門をくぐった。

校門をくぐり50mほど歩くとクラス分けが張り出されていた。
なんとか人ごみをかき分けクラスが張り出されているボードの前に立つと5組まで貼られているクラス分けの一番上1組から順に名前を探していった。
「1組・・・ない。2組もない。3組・・・4組もないか。ってことは5組か」
素早く見ていき結局一番下の5組に俺の名前はあった。出席番号は5番。
これなら一番下から見たほうが早かったなと俺は後悔しながら校舎へと向かった。

下駄箱で靴を履き替え教室に入るとかなりの人数の生徒が既に教室内にいた。
1クラス40人。男子が30人女子が10人ずつ各クラスにいるわけだが中々に女子が少ないため気まずい雰囲気になるものだと想像していたがクラスの女子は既に男子と馴染んでおり気軽に喋っていた。これだと遅めにきた俺の方が1人ぼっちになりそう。
心の隅っこで密かに心配しながら前の黒板で自席を確認し席に着くと隣の女子生徒と目があった。
「あ、どうも」
「あ、どうも」
・・・会話終了。これで終わらせてはまずい。
とりあえずここは話を繋げなければ。
「俺、霧崎翔一。一応、陸上の特待生で入学した。よろしく」

「私は木崎ゆりあ。知ってのとおり一般入試で入学。私も一応陸上部のマネージャー希望なの!よろしくピース!」
なかなかにパワフルな挨拶をする子だった。

「へぇ陸部希望なんだ。なんかこの学校の陸部のマネージャーはしんどいって聞いた気がするけど・・・」

「あー私そういうの慣れてるから。中学の時もマネージャーしてたしね」

「そうなんだ。んじゃ部活も一緒だな。これもなんかの縁ってことでメアド交換しようぜ」

「うん、いいよー」
俺はカバンの中からケータイを取り出し木崎ゆりあという女子生徒とメアドを交換した。

「えっと・・・あの木崎さん?したの名前のゆりあってどんな漢字?」
勉強が大嫌いな俺は不覚にも漢字が分からなかった。
「あーゆりあはそのまま平仮名だよ?そんぐらい考えればわかるでしょ?バカなの?あとゆりあって呼んでくれていいよ?」
ものすごく冷たい目で見られたがすぐに小動物のような笑顔に戻り言った。
「まー私も人のこと言えないんだけどね。この学校に入学するのは無理だって中学の先生にも言われたけどね!」
自分でバカと言うことをカミングアウトしてくれた。
「へぇそうなんだ。きざ・・・ゆりあもバカなの?」

「うぐ・・・ま、まぁそんなところです。それでさ霧崎くんの漢字って霧に長崎の崎で将軍の将で一でいいの?」

「んー将軍の将じゃなくて空を翔かけるの方の翔が正解だな。あとはあってるよバカ」

「へぇ・・・難しいね。あ、あと!私はそんなにバカじゃないから!入学できたのは奇跡だけど」
苦笑いするようにゆりあが笑った瞬間、チャイムが鳴った。
俺は急いでカバンをロッカーに放り込み席に戻った。

■筆者メッセージ
どうもAliceです。

もう2時か。久しぶりですこんな時間に書くのは(笑)
そしてまだ眠たくないので続きでも書いていこうと思います。

とか言ってたら日が昇ってたなんて事にはならないようにしたい。

にしてもこの小説、一応どんな感じにするかは頭の中で考えてはあるんですけどよくよく考えるとかなりの長編だということに気づきました。
1話1話区切るというのが苦手なので読み切りにでもしようかと思ったけどそれだといつまでかかるかわからないし・・・ま、頑張っていきます。

感想、コメントお待ちしています。
Alice ( 2013/12/01(日) 01:52 )