第1章
05


4人は泰斗が言う当てのある人物を待っていた。しばらくして、誰かが事務所の扉をノックした。


「おっ。来たかな」


泰斗はソファから立ち上がり、扉へと足を進め扉を開けた。扉の先には1人の女性が立っていた。


「やっほ〜、泰斗」

「挨拶はいいから早く入れよ」


その女性はまさに容姿端麗という言葉がお似合いと言えるほどに綺麗である。そんな女性を雑な感じで扱う泰斗を見て彼女なのではと3人は考えるが、違ったら申し訳ないので一応質問してみることにした。


「あの〜、泰斗さん?そちらの女性は…」

「ん?あぁ、俺の姉ちゃんだよ」

「どうも〜、泰斗の姉の小嶋陽菜で〜す」


聞いて3人は納得した。どおりで泰斗が綺麗な顔立ちをしている訳だ。


「姉ちゃんは結婚してるから小嶋姓なんだ。んなことより、持って来たのかよ」

「むぅ〜、言われた通りのもの持って来たよ。はい」


陽菜はそう言うと紙袋を3つ泰斗に渡した。泰斗はそれを受け取ると3人にそれぞれ1つずつ渡した。

「とりあえず3人の服だ。また後日別の服装を姉ちゃんに用意してもらうから」

「これだけでも充分ですよ!そんなに用意してもらわなくても…」

「バカヤロウ。毎日毎日同じ服装だと怪しまれるだろうが。どこに奴らの目があるか分かんねぇんだからな」


泰斗が用心深いことがよく分かる。他にもいろいろと考えてはいるらしいが3人は聞かないことにした。


「じゃあ、姉ちゃん。サンキュー。また連絡するわ」

「うん、分かった。バイバーイ」


そう言って陽菜は事務所から出て行った。泰斗は陽菜を見送ると時計を見た。午後4時。とりあえずは新司の解析待ちになる。それまで暇だとはいえ、3人を連れて無闇に外に連れ出すわけにも行かない。悩んだ結果…


「全員分の飯作るか…」


時間も時間なので夕食の準備をすることにした。事務所兼自宅で新司と2人暮らししている泰斗は、新司が料理がてんでだめな為仕方なく覚えた。やっている内に腕も上達し余り物でどうにか作るほどの腕前になっていった。


泰斗が台所に立って数十分。食欲をそそる匂いが事務所の中にたちこめる。新司も匂いに釣られ部屋から出てきた。


「ほらよ。みんな腹減ってんだろ。食いな」


3人は目をキラキラさせると同時にこの短時間にこれだけの量を作れることに驚く。


「じゃあ、いただきまーす!」

「アホ。お前のはこっちだ」


その料理にがっつこうとする新司を止め、泰斗が指差した先には2人分の親子丼。滅多に豪勢にやらないため、ガックリ肩を落とす。


「いいですよ。みんなで食べましょう」

「パルちゃ〜ん…」

パルの優しさに新司は瞳をウルウルとさせた。結局、全員で泰斗の豪勢な料理を平らげた。











てねし〜 ( 2017/07/29(土) 16:26 )