上西姉妹
熱帯夜
恵さんの居ない日に怜ちゃんはやってくる。

親御さんには友達のところへ行ってくると言っているらしい。

「怜の特製玉子焼き、お待たせ。」

一人暮らし時代は卵かけご飯か、目玉焼きだった俺にとって、懐かしさがある。

四月の頃は、見た目が悪く、味だけ良かった玉子焼きがあったのさえ、懐かしい。

怜ちゃんは、高校とは別の制服を着ている。

「はい。先生にはビールとお薬。」

怜ちゃん曰く、シラフで自分を抱いたら姉に弁明が出来ないということらしい。

「先生。私、先生の赤ちゃん生みたい。」

怜ちゃんの呟き、学生時代の思い出、複合条件で思い出した。

俺が教師を目指した理由、安定した収入を得る為に、公務員を目指していたこと、歴史の素晴らしさ、世界の素晴らしさを人に伝えたかったこと、建前な欲望を上げればそうだが、結婚願望に関しては、同僚の女教師か元生徒と結婚したかったのだと。

怜ちゃんが、俺の中の火に油を注いだ。

もしくは、鴨がネギを背負ってきたと表現すべきかもしれないが、どうでも良い。

程よくアルコールが回り、俺は虎になった。

意識を取り戻したとき、怜ちゃんが俺の腕枕で眠っていた。

驚いたのは、ゴミ箱の中で、コンドームを一箱開けていたことだった。

■筆者メッセージ
小学校の集会で男性教師が学生時代に安いから卵をよく買って、食べていたと言っていたのを思い出して書きました。
今作は「彼女が・・・である」という作品にさせていただきます。
光圀 ( 2020/02/25(火) 19:58 )