夏休み
恵さんとはすれ違いが多いけど、順調なお付き合いを経て、同棲を始めることになった。
そして、夏がやってきた。
恵さんに頼まれ、中学生の妹、怜ちゃんへの夏期講習をお願いされた。
勉強の息抜き、俺と恵さんのデートとして、海へやってきた。
俺は今日程目の遣り場に困った日はない。
海水浴場だから水着の女性は少なからず存在し、俺が面倒を見ないといけない二人も例外ではない。
裸を見たこともあるとはいえ、恵さんは相変わらず魅力的だった。
そして、スクール水着を着ているわけだが、DNA、血の繋がりで怜ちゃんも出るところは出ていて・・・という昭和な表現がぴったりくる体つきをしていた。
(このまま行って、義理の妹になる子に、ほぼ生徒に欲情するわけにはいかない。)
煩悩を振り払うように俺は海へ向かい、泳いだ。
二十歳の頃のようにはいくはずもなく、一往復して、ビニールシートに身体を横たわらせるしかない俺なのだった。
「だーれだ?」
いつの間にか眠ってしまった俺の視界を奪う女の子がいた。
「何?怜ちゃん。」
「当たり〜。先生、すごーい。」
手が離されると俺は目を丸くした。
「チュッ」
「怜ちゃん。何を?」
怜ちゃんが俺の唇に自身の唇を触れさせてきたのだ。
「先生がお姉ちゃんの彼氏だって分かっているけど、私も好きって思ったら、駄目?」
「俺の彼女は恵さんだ。」
「じゃあ、先生が私の事を見るようにしてみせますから。」
夏が見せた夢ではなく、これは現実で、俺と上西姉妹との奇抜な三角関係が始まってしまったのだった。