花嫁修業
伝言
光圀と美音の会話を聞いていたのは、恋愛の観察が三度の飯より好きになった魔法使い白間美瑠と、どうしても二人の会話が気になった少女田中美久である。

美瑠の方は魔法を介して聞いている為、一言一句漏らさずに聞き取ることが出来たが、美久の方はそうもいかない。

美久が聞いた部分はこうである。

「・・大塚さんなら私の気持ち解るでしょ?」

「ちょっとだけ、昔の莉乃を思い出した。俺で良いって言うなら、一肌脱ごうじゃねぇか。」

「よっ、クニさん。」

「俺とお前の仲だ。これからは俺のことはクニさんと呼んでくれよ。美音。」

「はい。クニさん。」

このとき、美久はスマートフォンを起動させ、今までのことをメッセージに打ち込む。

その間も二人の会話は続く。

「まずは、何が知りたい?順番にやらないといけないぞ。」

「やっぱり、まずは厚焼き玉子からお願いします。」

「帰ったら作って作り方教えるよ。」

「お願いします。」

身体を翻させた光圀に、咄嗟に美久は物陰に隠れてしまった。

そして、メッセージを完成させ、莉乃へと送信するのだった。

「さしこちゃん(泣)大塚先生とみーおんさんが内緒話していたよ。それだけだったけど、もしかして、これって浮気なのかも(汗)」

「どんな会話していたか、分かる?」

「みーおんさんが大塚さんなら私の気持ち解るでしょ?先生が昔の莉乃を思い出した。人肌脱ごうじゃねえかって。」

この文章なら完全に浮気の線のままである。

「後、俺とお前の仲だって言って、先生の呼び方がクニさん、先輩が美音になったよ。」

「とりあえず、帰ってきたら、本人に聞いてみるわ。」

不安と怒りが混じった莉乃が福岡にいるなど、光圀は知る由もないのだった。

■筆者メッセージ
アンジャッシュのネタ状態(^_^;)
水戸黄門の映画村等で売っている五大老公の話の一話ピックアップしたDVD、東野老公の話『助さんの出発時のお見合いの相手に好きな人がいて、事件に巻き込まれている。助さんは志乃さんと結婚する気である。』の東野さんの台詞「事件に巻き込まれている二人の気持ちは解るね?」(好きな人と一緒になりたいでしょ?)と同型の言葉をみーおんに光圀さんは言われているだけなので問題はない(^^)v
光圀 ( 2020/01/24(金) 16:05 )