初夢A
大塚家の隣人、宮田敬司の夢の話。
姉の綾、小学二年生、光圀が一年生、自身が幼稚園年中の頃に戻った夢。
その日は雨が降りそうな天気で、母親が帰っていないという状況だった。
そこに光圀がやってきた。
「綾、敬司。どうしたと?」
「いやぁ。」
姉は言うことを渋るが、幼児は素直である。
「母ちゃんが帰ってきてなくて、家に入れんの。」
「そいつぁ、てーへんだ。家に来るかい?」
「え、でも。」
「俺はこの町で誰一人泣いていて欲しくねぇんだ!」
そう言う光圀の鼻は膨らんでいた。
光圀は、江戸っ子の父、金一と御老公の国生まれ、時代錯誤な表記好きな母、光の血を継いだ子供なのだ。
「お邪魔します。みっちゃん。敬司も良いよね?」
「うん。」
『そこははいやろ?』
言葉が被ったことに対してか笑いが起こり、三人は笑いながら、大塚家へと入っていった。
「さて、敬司。何して遊ぶ?」
「おままごと。」
「またか。」
敬司の物心付いた時点で父親役光圀、母親役姉の綾、自身が子供というスタイルで何度もおままごとは行われていた。
しかも、綾と光圀がキスをして、それをきっかけに二人が喧嘩したこともあるのである。
〇
そして、現実の現在、あの町に敬司の運転によって、一人の女性がやってきた。
そこに光圀がやってくる。
「敬司。後ろの女性ってもしかして?」
「みっちゃん。将来のお嫁さんを忘れたと?」
「忘れてはいないっちゃけど、俺は既婚者やけんね。綾さん。」
「知っているよ。奥さんは指原莉乃さんやろ。」
「まぁね。」
「けど、ショックだな。敬司の前でキスまでした私を差し置いて、みっちゃん、結婚するなんて。」
「お前が奪ったんやろが!」
「変わってなかね。みっちゃん。」
「それはお前やろ。綾、さん。」
「二人共や。」
昔と変わらないものに、敬司は目を細め、自身は警察官として、市民を守ることに情熱を注ぐことに燃えるのだった。