ハロウィン@
光圀が出勤するや否や、矢吹奈子がやってきて、両手を差し出し、口を開く。
「トリックオアトリート。お菓子くれないと悪戯しちゃうぞ。」
「ハロウィンな。ほらよ。」
事前準備をしていた光圀は子供メンバーに悪戯されずに済んだ。
この日も劇場公演があり、開演二時間前、光圀の元に非通知の電話がかかってきた。
「はい。どちら様でしょうか?」
「大塚光圀だな?」
「誰だ?」
「フフフ。お前の大事な人を預かっている。」
(落ち着け、光圀。)「悪いが、俺は両親を早くに亡くしていて、独身なんだけど。」
「お前がHKTのマネージャーなのを承知の上で電話をしている。お前にとってメンバーは大事じゃないのか?」
「てめぇ!メンバーの誰を誘拐しやがった!」
「指原莉乃。」
莉乃の名前を聞いた瞬間、光圀の心の活火山は噴火した。
「あの人に指一本でも、触れてみやがれ!てめぇを見つけた瞬間、法律の代わりに俺が裁いてやる!」
その言葉を言い終わったとき、光圀の肩を誰かが叩いた。
「何を騒いでいるの?」
その場で振り向いた光圀は目を見開いた。
「指原さん。誰かが悪戯の電話をかけてきた。それだけです。」
「そう。」
「尾崎さんに報告してきます。」
動き出そうとした光圀の前に田中奈津美が現れた。
「大塚さん。ごめんなさい。悪戯電話をしたのは私です。」
「なんで、あんなことをしたの?」
「今日、私じゃお菓子もらえないと思って、先に悪戯しました。」
「正直に言ったことに免じて、許してやる。それとご所望のお菓子だ。ただし、次はねぇぞ。」
「すみませんでした。失礼します。」
「大塚さん。もしかして、私が誘拐されたって言われたの?」
「えぇ。ただ、どのメンバーが対象でも、同じこと言っていたと思います。」
「そう。」
「ホッとした影響で、トイレに行ってきます。」
光圀はトイレに行き、莉乃はスマートフォンを起動する。
「バーカ〇私が誘拐されて良いのは光圀だけ〇今日も誘拐してね〇」
こんなラインメッセージが光圀の手元に届いたのだった。