事件
二千十八年、その事件は起こった。
新潟の地でメンバー、山口真帆が男性から暴行を受けた事件だ。
光圀も内側の人間として、AKSに連絡を取るが、
「運営として現在情報収集に全力を上げているので、お待ちください。」
と言われ、尾崎さんに新潟出張を依頼したが、
「君が行って解決する問題じゃない。それに君が今やるべきはメンバーと家族を守ることだ。」
そう断られた。
そして、結果的に事態は最悪な形へ向かってしまった。
光圀が採った方法はメンバー、スタッフを一堂に会させ、福岡県警に協力してもらい、ある程度の護身術、変質者への対応の講義を行うことだった。
この方法は姉妹グループでも行われ、新人研修にも取り入れられた。
護身術の際、メンバーに腕を後ろに回されるのがドMなスタッフに好評なようだ。
◎
美音は総監督就任祝いでグラビア撮影をしている。
進士は美音のことを直視はしていないが、それでも気になるのかチラチラ見ていた。
今朝、進士は生まれて初めての夢精を経験していた。
昨夜、今日の予習を兼ねて、美音の画像を見ていたが、それが夢精に繋がるとは思っても見なかった。
「はい。オッケー。」
「向井地さん。タオルをどうぞ。」
「ありがとう。」
どうしても、今日の進士は美音を直視出来ない。
「百田君。喉乾いたから、お茶買ってきて。」
「あ、はい。行ってきます。」
(あの感じは反応じゃなくて、昨夜から今朝にかけて、私で抜いたってところかな?)
新しい物語がひっそりと始まろうとしていた。
それもそのはず進士は様々な種類のお茶を買ってきて、その絵面に美音は笑ってしまった。