家族の章A
二人目
莉乃のお腹が再び大きくなり、方々で新生活をおくる人々のいる中、光圀はメンバーを集めた。

「今日、みんなに集まってもらったのは他でもない。もうじき俺達の二人目が生まれるんだが、名前に晴れという字を入れる影響でみんなにてるてる坊主を作ってもらいたい。」

「解りました。」

メンバーから良い返事を受け、大量のてるてる坊主が作られた。

そして、その日、四月十二日はやってきた。

二回目ともなれば、陣痛の始まりがわからないはずはないが、大塚家のドライバーである光圀が仕事に出かけているのだ。

「タクシーをお願いします。」

莉乃は陣痛の痛みと闘いながら、各所に連絡を入れる。

「大塚です。陣痛がきたので、お願いします。」

「光圀。二人目、生まれるよ。早くきてね。」

「千尋。行くよ。」

千尋はお昼寝をしていた為、莉乃は怪我をしないように注意しながら、千尋を持ち上げた。



光圀は昼休みに入り、スマートフォンをチェックしていた。

それまでは、マナーの関係上、電源を入れていなかった為である。

留守番のメッセージを聞いた光圀は、上司である尾崎さんに連絡をいれた。

「尾崎さん。千尋が二人目を抱えて、莉乃を生もうとしているらしいんで、今日は失礼します。」

一人目が生まれるお父さんにありがちな言い間違いを二人目でする光圀なのだった。



産声が病院に響いたとき、光圀は分娩室に駆け込んでいた。

「莉乃。遅れてすまない。」

「相変わらずだな。」

「大塚さん。元気な男の子ですよ。」

「ありがとうございます。」

「この子の名前は?」

「あぁ。恩人の名前をとって。美晴(みはる)だ。」

「よろしくね。美晴。」

「千尋。弟だよ。」

千尋はきょとんとした顔をしていた。

光圀以外の人間には、朝長美桜と兒玉遥のことだと思うだろうが、美しいという漢字の持ち主は別の存在なのである。

光圀は、新しい家族が増え、新たな幸せをかみしめるのだった。

四人構成になった大塚家で、のほほんとした話やドタバタした話が起こるが、これからは彼等だけの話。
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■筆者メッセージ
もう少しやるつもりでしたが、削除までしている位なので、終わりにします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
光圀 ( 2018/06/11(月) 10:29 )