心配
光圀が家で料理を作っていると、何やら外から物音がした。
(泥棒?それか奴のクライアントが直接?)
『ガチャッ』
音の主は鍵を持っているらしく、玄関の施錠を解いた。
「只今。光圀、大丈夫?」
「あぁ。莉乃か。」
光圀は呑気に料理をお皿に盛ったところだった。
「老婆に襲撃されたって聞いてきたのに、何してるの?」
「どいつもこいつも俺のこと、そんなに信用出来ないのか?」
「心配してきたのに何よ!」
「余計なお世話だ。」
「ふん。千尋ともう一度実家に帰らせて頂きます。」
「おい。莉乃。」
光圀襲撃事件の担当は敬司で、莉乃に連絡を入れた為、現在に至るが、莉乃が忘れ物をしていることに光圀は気が付いたのだ。
「肝心な千尋は?」
「良かった。」
「もしかして?」
「記憶を吸収されたって聞いていたし、万が一のことを考えて、実家に置いてきたの。」
「俺は絶対にお前達、家族を忘れないから。」
「千尋を置いてきた理由、もう一つあるの。今日、そういう日。」
光圀が莉乃に釣り上げられたようだ。