決意
総選挙の為に、国内のAKBグループのメンバー、スタッフは沖縄県に来ていた。
当然、正輝もいるのだが、一つ顔が足りず、博多サイドでキョロキョロしていた。
「ちょっと聞いて良い?」
「はい。何ですか?」
そう言って、メンバー田島芽瑠に質問をした。
「大塚さんってどこにいるかな?」
「大塚支配人のことですか?大塚さんはさしこちゃん。奥さんの予定日の関係で有給を取っていて、ここには居ません。」
「そっか。ありがとう。頑張ってね。」
「なんかあの人、大塚さんに似ているかも。」
難波サイドに正輝が戻ったとき、彩が膨れていた。
「遅いで。加藤さん。」
「大塚さんに会いに行ったら、居なかった。」
「加藤さんが無事ならえぇけど。何をずかずかと博多の方に行っとんねん。」
「ごめん。さや姉。今回の一位候補が怒ったら可愛い顔が台無しになるで。」
「知っとるわ。」
彩は半分ドヤ顔をしながら、半分は笑いを堪えていた。
意中の男性に可愛いと言われて悪い思いのする女性は居ないだろう。
ただ速報一位はNGTの荻野由佳である。
台風接近でイベントは中止となり、結婚宣言を経て、選抜メンバーに吉田朱里、白間美瑠の名前が呼ばれ、正輝は祈っていた。
「第一位。NMB48、山本彩!」
「まず、こんな私に投票してくださったファンの皆さんにありがとうを言いたいと思います。・・ありがとうございました。・・後で家の後輩のりりぽんには小言を交えながら、話をしたいと思います。そして、全てのファンの皆さんに台風の影響でイベントが中止となったことを謝罪させてください。・・」
彩はファンへの感謝と謝罪を込めてスピーチをした。
「加藤君。」
「はい。」
「山本に花束を贈呈してやってくれ。あいつにとって君は大事な相棒だからな。」
「はい。わかりました。」
全ての行程が終わり彩が裏側にやってきた。
「さや姉。おめでとう。」
「加藤さん。ありがとう。」
周りの目がある為、二人はこれ以上のことができない。
〇
二人は本州、大阪府某所にある愛の巣で一戦を終えて、正輝の腕枕に彩が頭を乗せていた。
「なぁ、正輝。」
「ぅん?」
「私は決めたで。」
「何を?」
「・・・。」
彩の決意とは?