初デート・前編
莉乃は、深呼吸をして、光圀に口付けをした。
「おはよう。莉乃」
光圀は、ゆっくりと起き上がった。
「ねぇ、今日はどこに連れて行ってくれるの?」
そう、今日は光圀と莉乃が恋人同士になって初めてのデートなのである。
同棲していた二人が恋愛禁止のルールを無くしてもらったから、恋人同士になれたのである。
手を繋いで歩くこともできなかった為に、買い物に行くときでも少しよそよそしかったが、それも可能になった。
「兒玉一押しのデートスポット。」
「早くご飯食べて、行こうよ。」
「わかったよ。お姫様。」
もう既に莉乃の体内では変化が起こり始めていることをまだ二人は知らない。
〇
「福岡タワーで愛を語り合った恋人達は永遠に結ばれるんだって。」
兒玉の言葉を聞き、目を閉じて、莉乃の顔を思い浮かべる光圀。
「よし、行くぜ。福岡タワー。にしても、なんでお前が福岡タワーの伝説を知っているんだ?兒玉。」
「細かいことは気にしちゃだめですよ。」
恋愛禁止のルールはあれど、将来のことを考えているメンバーもいて、兒玉もその一人で、福岡タワーに行きたい相手が目の前にいて、その人物があさっての方向を向いている為に、背中を押すことにしたのである。