結婚報告
尾崎さんは二人の話を聞いて納得していた。
「そうか。指原の腹に大塚君の子か。俺に言う前に御両親に報告すべきじゃないのか?」
「莉乃と話し合った結果です。尾崎さんにまず報告。次にメンバーに、ファンの人を中心として、世間に引退話をして、それから御両親という形です。」
「なるほど。覚悟は出来ているな?大塚君。指原も。」
『もちろんです。』
二人の息の合った返答がその場に響いた。
〇
メンバー、スタッフが一堂に会した。
「今日はみんなにおめでたい話がある。大塚君と指原が結婚するそうだ。」
『えー!』
『おめでとう!』
様々な声が響き渡った。
「大塚君。君の言葉で伝えるんだ。」
光圀は深呼吸をして、今までの事を浮かべながら、口をゆっくりと開いた。
「僕は、莉乃が、彼女のことを大好きでこの世界に入ってきました。今こうして喋っていることは偽りのない僕の本心です。でも、彼女は恋愛禁止のアイドルでした。その思いを振り切ろうと仕事に精を出し、過労で倒れたときに不思議な経験をしました。神様と出会って、その存在の代わりに愛を育むという試練を与えられました。そのとき、彼女を莉乃のことを本気で愛していることを突きつけられました。そして、彼女も同じ気持ちでした。どうか、僕達の事を許して頂きたい。ここにいる皆さんに納得して頂かなければ、彼女と結ばれることはない。お願いします。」
光圀は、最後まで言葉を紡ぐとその場に土下座した。
スタッフの一人、森さんが近づいていき、光圀に耳打ちした。
「大塚君。そんなもん。皆、知っているよ。」
「記者会見とかで全員で叩かれよう。大塚君。皆!」
「ありがとうございます。」
光圀の目からは涙が溢れていた。
○
「じゃあ、行ってくるね。光圀。」
「ごめんな。俺の為に。」
「何かあったら飛んできてね。私のヒーロー。」
「走るんだよ。ママ」
記者会見場の裏で光圀と莉乃はいちゃついていた。
莉乃は記者達の前に立ち、口を開いた。
「私、指原莉乃はHKT48及びAKBグループを卒業します。」
莉乃は、公式的に恋愛解禁の身となった。
今度は、結婚への挨拶が二人を待っている。