04
突然のシャッター音に固まる矢神。目をパチクリとさせながら椎名の顔を見る。
笑っていた。椎名はお腹を抱えながら笑っていた。状況を把握できていない彼女は、戸惑いの表情を見せる。
「え? なに。どうなってんの?」
あたふたと戸惑う矢神。椎名は笑いながら彼女の前に機械から出て来た写真を見せた。
「ふふ。よく撮れてるよ」
「ああっ! 哲也君!」
勝ち誇った顔を見せる椎名に対し、矢神は抗議の声を上げる。そこに映し出されていたのは、目を閉じながらカバンを漁る矢神の姿だった。
「ちょっと! なんで急に撮るわけ?」
「いいじゃん。まだ撮れるからさ」
「そういう問題じゃなくて」
「まあまあ」
矢神の抗議にも、椎名はへらへらとしながら受け流す。強襲に成功した彼は満足そうだ。矢神は「もう!」と言いながら、再び機械を操作し始めた。ついでに椎名の足を踏むことも忘れない。
「痛ッ!」
「今度はどうしよっかなー」
痛みに悶える椎名の横で、彼女は鼻歌を歌いながら操作をしていた。