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不滅の愛を誓ってくれますか?
春の
宵に漂う
沈丁花の香り。秋の
金木犀と同じくらい香るその匂いは『沈香』という香りに似ており、春の到来を告げる匂いとされている。
原産地は中国で、日本は室町時代から栽培をされていたとされる
古深き花である。二月ないし、三月に淡紅色の花弁を広げ、咲き乱れる。強い芳香はその存在意義を強くアピールするためか。
春といえば真っ先に桜を思い浮かべる。僕もそうだった。
沈丁花など、見向きもしなかった。せいぜい有名な『あの歌』に使われているだけだと思っていたのだ。
沈丁花の花言葉は『栄光』『不死』『不滅』『歓楽』『永遠』。貴女はいくつ僕に与えてくれることでしょう。僕もいくつ貴女に与えることができたのでしょう。
もう一度、問います。
貴女は不滅の愛を誓ってくれますか?
久美――。