04
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
病院から出ると冷たい風が吹きつけた。僕はちょうどロータリーに来たバスへ乗り込んだ。
美月が原因不明の体調不良に襲われたのは大学に入って間もなくのことだった。最初は慣れない環境下で体調を崩したのだろうと思っていたが、何日経っても一向に良くなる気配がなく近場の病院へと行くことになった。
そこでは原因がわからないと総合病院を紹介された。ただ事ではないと思い始めた美月の両親はすぐさま駆けつけると彼女は即入院を医師から告げられたという。
病名は不明。ただ血液検査の結果、全ての数値が基準値に達していない状況だった。何もわからない。病名も、完治するのかも。
美月が入院をすると知ったとき、僕は不安もあったがこの時代の医学の力で何とかなるだろうと軽い気持ちでいた。
若いし、ちょっと入院すればすぐに元通りの生活に戻るはずだ。
けれどいつまで経っても元通りの生活に戻ることはなかった。
どうしてこうなったのだろう。どうすればいいのか。
流れ行く車窓を見ながら僕は必死に答えを見つけようとする。けれど医者でもないただの僕が答えなんて見つけられるはずもなかった。
「美月……」
このままでは死んでしまう。けれど僕にはどうすることもできない。
無力な僕は人目につかないよう体を丸め、息を殺して泣いた。